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第一章 帰還と波乱
第五十二話 おかしなお城(セイ視点)
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城への潜入は、それなりに楽にできた。問題は、相手の位置なのだが、これがさっぱり分からない。
「セイ、鋼、探知できますか?」
「今やってるけど、全く……」
「ぼくも……」
ティアルーン国の城内は閑散としており、その分、余計な気配を感じることはない。しかし、それでも、邪神を消滅させたと思われる存在の気配はどこにも見当たらない。
「逃げられた、のでしょうか?」
ミーシャの言葉に、その可能性は高いと感じつつも、相手の手がかりが少しでもほしいところだった。
「仕方ない。ちょっと、人間の方を調べてみよう。もしかしたら、何か異変があるかもしれない」
邪神を消滅させるほどの存在が見つからないということは、相手は、本気で姿をくらませたのだろう。そして、その技術は僕達の追跡の力では超えられないものなのだということ。ならば、城内で人間達が感じている異変でも何でも探すしかない。それすらなければ手詰まりにはなるものの、現状で手がかりの欠片もない状態なのだから、何もしないよりはマシだ。
「では、手分けをして探しますか?」
「いや、相手が逃げたかどうか分からない以上、できるだけ固まってた方が良いと思うよ」
「ぼく達、全員違う力だから、一緒の方が分かること多い!」
と、いうわけで、僕達は、城内の人間を観察して、時には使用人に紛れて話を聞いて、情報を集める。ただ……。
「……おかしいですね。人が、随分と少ない」
確かに、最初から閑散とした印象はあった。しかし、実際に人間の姿を確認するにつれ、それが異常な状態だということに気づく。
「でも、人間達、違和感、感じてなかった」
「そこ、なんですよね……」
確かに、日々の生活に支障が出るほど人が少ないのかと問われれば、そうではない。ここには、国王と王妃、王子が二人に姫が二人住んでいる。それを賄うだけの使用人は居る。しかし、護衛という面が、あまりにも薄すぎた。
「騎士が、一人も居ないのは異常です」
「護衛に立ってるのって、明らかにただの貴族だったしね」
いや、実際、その貴族が護衛なのかどうか定かではないが、それでも、扉を背にして立ち続ける貴族なんていうのはさすがにおかしい。しかも、戦闘訓練など受けたことのなさそうな、ごく普通の貴族だ。
「この国って、武力を疎んでたりしてたっけ?」
「いえ、そんな話は聞きませんが。むしろ、少し前まで戦争をしていたのですから、これはかなり危険な状態ですよ?」
「んー、さっきから、ここ、変な匂い」
そんな話をした直後だった。膨大な神力が、この城を包み込んだのは。
「セイ、鋼、探知できますか?」
「今やってるけど、全く……」
「ぼくも……」
ティアルーン国の城内は閑散としており、その分、余計な気配を感じることはない。しかし、それでも、邪神を消滅させたと思われる存在の気配はどこにも見当たらない。
「逃げられた、のでしょうか?」
ミーシャの言葉に、その可能性は高いと感じつつも、相手の手がかりが少しでもほしいところだった。
「仕方ない。ちょっと、人間の方を調べてみよう。もしかしたら、何か異変があるかもしれない」
邪神を消滅させるほどの存在が見つからないということは、相手は、本気で姿をくらませたのだろう。そして、その技術は僕達の追跡の力では超えられないものなのだということ。ならば、城内で人間達が感じている異変でも何でも探すしかない。それすらなければ手詰まりにはなるものの、現状で手がかりの欠片もない状態なのだから、何もしないよりはマシだ。
「では、手分けをして探しますか?」
「いや、相手が逃げたかどうか分からない以上、できるだけ固まってた方が良いと思うよ」
「ぼく達、全員違う力だから、一緒の方が分かること多い!」
と、いうわけで、僕達は、城内の人間を観察して、時には使用人に紛れて話を聞いて、情報を集める。ただ……。
「……おかしいですね。人が、随分と少ない」
確かに、最初から閑散とした印象はあった。しかし、実際に人間の姿を確認するにつれ、それが異常な状態だということに気づく。
「でも、人間達、違和感、感じてなかった」
「そこ、なんですよね……」
確かに、日々の生活に支障が出るほど人が少ないのかと問われれば、そうではない。ここには、国王と王妃、王子が二人に姫が二人住んでいる。それを賄うだけの使用人は居る。しかし、護衛という面が、あまりにも薄すぎた。
「騎士が、一人も居ないのは異常です」
「護衛に立ってるのって、明らかにただの貴族だったしね」
いや、実際、その貴族が護衛なのかどうか定かではないが、それでも、扉を背にして立ち続ける貴族なんていうのはさすがにおかしい。しかも、戦闘訓練など受けたことのなさそうな、ごく普通の貴族だ。
「この国って、武力を疎んでたりしてたっけ?」
「いえ、そんな話は聞きませんが。むしろ、少し前まで戦争をしていたのですから、これはかなり危険な状態ですよ?」
「んー、さっきから、ここ、変な匂い」
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