悪役令嬢の神様ライフ

星宮歌

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第一章 帰還と波乱

第五十一話 新たな邪神(セイ視点)

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「実は、リリアナ様から呼ばれているんだ」


 申し訳なさそうに告げるアメリアだが、リリアナ様……神としてのミーシャの姉であり、剣の神である彼女と、アメリアの関係がどうにも結びつかない。そもそも、二人の間に交流があったことさえ知らない。
 そして、それはミーシャも同じらしく、少し首をかしげている。


「その、リリアナ様から、度々剣のご指導をしていただいていて、恐らくは、師匠として、何か話さなければならないことがあるのではないかと……」

「リリアナ様が」

「師匠……?」


 リリアナ様といえば、わりと雑な性格の女神であり、対するアメリアは几帳面で礼儀正しい性格だ。そのこともあって、二人が交流するということを想定していなかったものの、どうやら、いつの間にか師匠と弟子なんていう関係になっているらしい。


「リリアナ姉様が、師匠……アメリア、それは、相当に厳しくしごかれてるんじゃあないですか?」

「問題はないな。私の希望でご指導をいただいているので」

「いや、うん、まぁ、話は分かったよ。なら、アメリアに行ってもらうのでも構わないかな? あっ、行く前に、ちょっと話したいこともあるから、すぐには出発しないでほしいけどね?」

「アメリアが良いのであれば、それで良いと思いますよ」

「なら、私が調査を担当しよう。ついでに、知り合いの神々にも協力を仰いでこよう」


 アメリアの頼もしい宣言に、僕達は、少しだけ安心する。これならば、ユレイラ達の情報もすぐに集められるだろうと思えたからだ。そうして、僕が創世神様に抱いた疑念を伝えて、アメリアを送り出した直後……それは起こった。


「「「っ!?」」」


 この国に居たらしい別の邪神の気配が、突如として膨れ上がり、弾けるように消える。それまで、その邪神の存在を捕捉できていなかったこともあり、僕もミーシャもコウも、咄嗟に戦闘態勢に入って辺りを警戒する。


「そういえば、ここって、問題のティアルーン国だったよね」

「はい。妄想の邪神は捕らえましたが、他にも邪神が居て、しかも、それが討伐されたように感じました」

「ぐるるるっ、でも、相手、分からない……」


 黒目黒髪が迫害され、天使が讃えられる国。天使に関しては、恐らくは妄想の邪神によって操られていたのだろうという結論に至っていたものの、もしかしたら、まだ、別の何かがあるのかもしれない。


「僕達は、この国についても調べてみようか」

「そう、ですね。もしかしたら、ここにはまだ、他の邪神が居るのかもしれませんし、ね」

「僕も、手伝うっ」


 ようやく、体調も戻りつつある今、いきなり戦闘となったら少し困るかもしれないが、ある程度は動ける。コウも、鳴き声以外を出せるようになったことだし、このメンバーで動けば問題ないはずだった。


「なら、まずは、さっきの気配があった場所に行ってみようか」


 目指す場所は、ティアルーン国の城。きな臭さ抜群の場所を前に、僕達は急いでその場所へと向かった。
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