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第一章 帰還と波乱
第五十七話 保護(ミーシャ視点)
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罠の演出というのは、まず、冷静さを失わせることから始めなければならない。局地的地震装置と呼んでいるお姉様お手製の魔導機械。本来、この世界には地震は存在しないため、耐震強度、なんていう概念もない。むしろ、外敵に攻め込まれないようにするために、高く積み上げた塀だとか、地中からの侵入を防ぐべく構築された地下室だとかは、地震がくれば真っ先に凶器となり変わる存在だったりする。
もちろん、攻城戦を仕掛けようというわけではないので、塀が崩れないように、耐震強度を考えない地下室に落下しないように、色々と親切に補強しておいてからの地震だ。その後は、とても簡単な作業。一人一人の人間達にこっそりつけた感情の揺れを観測する装置で、取り乱した者を保護できるように、地面がくり抜かれたような幻覚とともに一箇所に纏まってもらえるよう、空間を繋いだ穴へと落とす。そうすれば、あら不思議。
「操られていない人間の保護は完了ですね」
これが全員という保証はない。それでも、操られている人間達であれば、本人の感情は眠ったままで動きなどない。つまりは、感情の揺れが見られた人間は、確実に操られていない存在というわけだ。
「うぅーん」
「落ちるっ、落ちるぅうっ」
「ムニャムニャ……」
私の目の前には、即席で作り上げた異空間がある。ある程度の守りを誇るその場所は、真っ黒なベッドの上、のような地面が広がるだけの場所であり、今は、そこに保護した人間達を眠らせておいている。
「うーん、できれば、王族を捕まえておきたいんですけど……こちらの王族には、まだほとんどお会いしたことがないんですよね……」
もちろん、罠はまだまだこれで終わりというわけではない。むしろ、これからが本領発揮となるのだが、その前に、もし、保護した人間の中に王族が居れば、少し話をしたいところだった。
(本当は、私がこの国に来ていることはバレない方が良いけど、変装してしまえば問題ないしね)
これから、罠の発動によって、もしかしたら傷つく人間が出てくるかもしれない。ただ、それは必要なことだったのだということの証明として、見届けてほしいというのが私の願いだ。
「……この三人が、怪しいですね」
そうして見つけたのは、そこそこ上等な服を身に纏った三人の男。自分よりも年上かもしれない三人だが、この国の王子の一人が二十六歳だったことを覚えているため、彼らのうちの誰かが王子かもしれないと思えた。ただし……。
「……誰かは分からない、ですね……」
そもそも、王子が居るのかどうかも定かではない。一人は、一見すると地味だが、誰よりも上質な服を纏った男。一人は、その整った顔立ちから、王子っぽい男。最後の一人は、王子の噂として聞いたことのある、真面目な性格を体現したかのようなモノクルをかけた男。年代も、二十代ではないかと思える彼らは、もっとも有力候補だった。
「……まぁ、三人でも良いか」
分からないのであれば、三人とも起こすしかない。私は、その手に気付け薬(人間に使える市販のもの)を持って、彼らの側へと近づいた。
もちろん、攻城戦を仕掛けようというわけではないので、塀が崩れないように、耐震強度を考えない地下室に落下しないように、色々と親切に補強しておいてからの地震だ。その後は、とても簡単な作業。一人一人の人間達にこっそりつけた感情の揺れを観測する装置で、取り乱した者を保護できるように、地面がくり抜かれたような幻覚とともに一箇所に纏まってもらえるよう、空間を繋いだ穴へと落とす。そうすれば、あら不思議。
「操られていない人間の保護は完了ですね」
これが全員という保証はない。それでも、操られている人間達であれば、本人の感情は眠ったままで動きなどない。つまりは、感情の揺れが見られた人間は、確実に操られていない存在というわけだ。
「うぅーん」
「落ちるっ、落ちるぅうっ」
「ムニャムニャ……」
私の目の前には、即席で作り上げた異空間がある。ある程度の守りを誇るその場所は、真っ黒なベッドの上、のような地面が広がるだけの場所であり、今は、そこに保護した人間達を眠らせておいている。
「うーん、できれば、王族を捕まえておきたいんですけど……こちらの王族には、まだほとんどお会いしたことがないんですよね……」
もちろん、罠はまだまだこれで終わりというわけではない。むしろ、これからが本領発揮となるのだが、その前に、もし、保護した人間の中に王族が居れば、少し話をしたいところだった。
(本当は、私がこの国に来ていることはバレない方が良いけど、変装してしまえば問題ないしね)
これから、罠の発動によって、もしかしたら傷つく人間が出てくるかもしれない。ただ、それは必要なことだったのだということの証明として、見届けてほしいというのが私の願いだ。
「……この三人が、怪しいですね」
そうして見つけたのは、そこそこ上等な服を身に纏った三人の男。自分よりも年上かもしれない三人だが、この国の王子の一人が二十六歳だったことを覚えているため、彼らのうちの誰かが王子かもしれないと思えた。ただし……。
「……誰かは分からない、ですね……」
そもそも、王子が居るのかどうかも定かではない。一人は、一見すると地味だが、誰よりも上質な服を纏った男。一人は、その整った顔立ちから、王子っぽい男。最後の一人は、王子の噂として聞いたことのある、真面目な性格を体現したかのようなモノクルをかけた男。年代も、二十代ではないかと思える彼らは、もっとも有力候補だった。
「……まぁ、三人でも良いか」
分からないのであれば、三人とも起こすしかない。私は、その手に気付け薬(人間に使える市販のもの)を持って、彼らの側へと近づいた。
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