悪役令嬢の神様ライフ

星宮歌

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第二章 異質な神界

第八十二話 似たもの

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「あ、あんたっ! 私を誰だと思ってるのよっ! ヒロインよ!?」

「あら? あなたこそ何をおっしゃっているんです? ヒロインというものは、こんなアバズレがなって良いものではありませんよ?」

「ア、アバズレ!?」

「っ、リエラに対して、あまりにも侮辱が過ぎるぞ!?」


 真っ先に口を開いたピンク頭に応じれば、なぜだか絶句されてしまいます。そして、取り巻きの男神がどうにか口を開いて、ピンク頭を庇うことにしたようです。


「侮辱? そうでしょうか? ですが、通常、ヒロインと呼ばれる存在は、こんな風に姉を虐めようだなんて考えないものかと思いますよ?」

「虐めなどではない! 我々は、ただリエラのために注意していただけだ!」

「三人が寄ってたかって? ふふっ、随分と高圧的ですね?」

「そ、それは……」


 さすがに、三人で一人を注意するという場面が異常であることには気づいたようです。


(常識を考える頭は残っているのですね?)

「っ、その女の言葉に惑わされないで! そいつは、悪役令嬢なのよっ!?」

「っ、そうだ。リエラの言う通りだ!」

「そうっ、この女は悪役令嬢だから、そんな女の言葉など聞くに値しませんっ」


 ただ、頭の悪いその論理にもなっていない言い分を肯定してしまえるのを見ると、随分と、強く魅了の力に侵されているのだということが見て取れます。


「そうですか。私は悪役令嬢ですか。ねぇ? ピンクのお花畑頭で自称ヒロインなリエラさん? その辺りを詳しく教えていただけませんか? どうして、私が悪役令嬢なのかを」


 単刀直入に聞いたところで答えてもらえるとは限りませんが、いい加減、この面々を相手取るのが面倒になってきたので、少しばかり尋ねてみます。


「そんなの決まってるじゃない! この世界は、『神なる花嫁は偏愛される』の世界で、私がヒロイン、あんたが悪役令嬢なんだからっ」

「……偏愛、ですか?」


 ピンク頭の言葉に、私は大きな引っかかりを覚えます。


「溺愛ではなく……?」


 そう、私が知っている乙女ゲームは、『神なる花嫁は溺愛される』というタイトルだったはずです。確認をするようにラルフへ視線を向けると、ラルフもうなずいて反応してくれます。


「はっ、そうか! あんたも転生者ね! 溺愛の方は、最新の方よ! 元々は偏愛の方で出ていたんだからっ」

(どうやら、これはもう一度調査が必要なようですね)

「そうですか、教えてくださり、ありがとうございます。では、少し、眠っていてください」

「は?」


 実を言うと、『神なる花嫁は溺愛される』の内容を読み取る限りでは、特に何も問題のない乙女ゲームとしか思えませんでした。悪役令嬢であるフィオナが悲惨な目に遭うことも、ヒロインが失敗すると世界が滅ぶなんてこともなく、平和に進むゲームです。だから、似たタイトルのゲームがあったという情報は、私達にとって大きなものとなりました。
 キャンキャンとうるさい面々を眠らせて、そのまま床にゴツンと頭をぶつける様子を眺めた私は、クルリとラルフの方を振り返って宣言します。


「ラルフ、一緒にデートしてください」

「ふぇっ?」

「いいよ」

「えぇっ!?」


 近くでレレアが驚いている声が聞こえますが、問題ありません。さっさと、調査続行です。
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