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第二章
第二十一話 最悪の婚約破棄
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獣人国家、モビア王国の城で行われる生誕祭は、豪華絢爛な城の大ホールで……ではなく、自然豊かでありながら、美しく整えられ、装飾された広大な庭園で行われる。
人間の魔法技術によって結界を張ることで、たとえ雨の日でも、それを遮断して過ごしやすい空間で生誕祭を行うことが可能だ。
「ケイン、ごめん」
「いや、リコのエスコートができるのは光栄なことだ」
今日の天気は、そんな結界を使うまでもなく快晴だ。しかし、それとは対象的に私の気分は沈み込んでいた。
「……迷惑、かけてる」
「違う。俺は、望んでこの役を引き受けたんだ。だから、リコには喜んでもらわないと、俺も悲しいんだからな?」
社交辞令だとは分かっている。それでも、ケインの言葉は、私にはとても温かくて、気づけばしっかりとうなずきを返していた。
「バルトリア伯爵家より、リコ・バルトリア及び、ポロック子爵家より、ケイン・ポロックの入場!」
庭園の入口では、必ずこんな紹介がある。とはいえ、それは基本的に伯爵家以上の家に属する者のみの紹介ではあるのだが、伯爵家以上の者とともに入場する場合はその爵位に関係なく、相手の名前も読み上げられる。
「おぉっ、こんな風に入るのは初めてだ!」
ケインは喜んでいるようだが、あまり目立ちたくない私としては、このシステムだけはどうにか変更してほしいところだった。
「バルトリア?」
「あの、バルトリア家か?」
「騎士団長の?」
伯爵家ともなれば、入場する順番も遅い方になる。なんせ、伯爵家以下の爵位を持つ者は多いものの、伯爵家以上の爵位を持つ者は少ないのだ。自分と同等。もしくはそれ以下の爵位の者達から向けられる無粋な視線から逃れようと、私はそっと、ケインの背に隠れようとして……。
「ゼラフ・ドーマックの入場!」
なぜか、公爵家であるはずのその人物の入場を知らせる声に、私は慌てて背後を振り向く。
本来、女性は誰かパートナーを必要とするが、男性は一人でも問題ないとされるのが、こうしたパーティーの常だ。しかし、婚約者が居るはずの男が、婚約者をエスコートせずに、一人で入場する場合は、答えなど決まっている。
「ふんっ、どうやら、とんだ阿婆擦れだったようだな」
婚約者が何らかの事情で来られない場合、もしくは……。
「婚約者が居ながら、他の男と浮気とは、随分と舐めた真似をしてくれるっ」
婚約者が浮気をしたか、だ。
「たかだか黒豹というだけで、僕の番になれると思うな! お前とは、婚約破棄だ!!」
現実は違う。しかし、それを周りの者が理解するはずもない。
嵌められたのだと気づいた時には、すでに、取り返しなどつかなかった。
人間の魔法技術によって結界を張ることで、たとえ雨の日でも、それを遮断して過ごしやすい空間で生誕祭を行うことが可能だ。
「ケイン、ごめん」
「いや、リコのエスコートができるのは光栄なことだ」
今日の天気は、そんな結界を使うまでもなく快晴だ。しかし、それとは対象的に私の気分は沈み込んでいた。
「……迷惑、かけてる」
「違う。俺は、望んでこの役を引き受けたんだ。だから、リコには喜んでもらわないと、俺も悲しいんだからな?」
社交辞令だとは分かっている。それでも、ケインの言葉は、私にはとても温かくて、気づけばしっかりとうなずきを返していた。
「バルトリア伯爵家より、リコ・バルトリア及び、ポロック子爵家より、ケイン・ポロックの入場!」
庭園の入口では、必ずこんな紹介がある。とはいえ、それは基本的に伯爵家以上の家に属する者のみの紹介ではあるのだが、伯爵家以上の者とともに入場する場合はその爵位に関係なく、相手の名前も読み上げられる。
「おぉっ、こんな風に入るのは初めてだ!」
ケインは喜んでいるようだが、あまり目立ちたくない私としては、このシステムだけはどうにか変更してほしいところだった。
「バルトリア?」
「あの、バルトリア家か?」
「騎士団長の?」
伯爵家ともなれば、入場する順番も遅い方になる。なんせ、伯爵家以下の爵位を持つ者は多いものの、伯爵家以上の爵位を持つ者は少ないのだ。自分と同等。もしくはそれ以下の爵位の者達から向けられる無粋な視線から逃れようと、私はそっと、ケインの背に隠れようとして……。
「ゼラフ・ドーマックの入場!」
なぜか、公爵家であるはずのその人物の入場を知らせる声に、私は慌てて背後を振り向く。
本来、女性は誰かパートナーを必要とするが、男性は一人でも問題ないとされるのが、こうしたパーティーの常だ。しかし、婚約者が居るはずの男が、婚約者をエスコートせずに、一人で入場する場合は、答えなど決まっている。
「ふんっ、どうやら、とんだ阿婆擦れだったようだな」
婚約者が何らかの事情で来られない場合、もしくは……。
「婚約者が居ながら、他の男と浮気とは、随分と舐めた真似をしてくれるっ」
婚約者が浮気をしたか、だ。
「たかだか黒豹というだけで、僕の番になれると思うな! お前とは、婚約破棄だ!!」
現実は違う。しかし、それを周りの者が理解するはずもない。
嵌められたのだと気づいた時には、すでに、取り返しなどつかなかった。
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