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第二章
第二十六話 獣人と魔族
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「っ、ありがとうございます! あ、リコさんは、甘いものは大丈夫ですか?」
「大丈夫……です」
蕩けるような笑みを浮かべたセインさんを直視してしまった私は、プイッと顔を逸らして答える。
その態度が褒められたものではないことくらい分かってはいるのだが、きっと、このまま見ていたら目が潰れるだろうとの判断だった。ただ……やっぱり反応が気になって、目が潰れない程度にチラッと見て、すぐに目を逸らす。
心臓に悪い……。
優しくて、蕩けるようなその笑みは、容易く私の心臓を暴走させると同時に、獣としての本能を呼び覚ます。
私の番。わたしの、わたしの、はやく、捕まえナキャ……。
今にもセインさんに飛びかかりそうな体をどうにか抑え込まなければならない私は、そのままセインさんから顔を逸らし続けることとなる。
「その、リコさんは、好きなお菓子はありますか?」
「……プリン」
衝動を抑え込みながら告げる言葉は、いつも以上にぶっきらぼうになってしまう。
「プリンですね! 俺も、プリンは好きなんですよっ」
ふいに一人称が変わったことに気づいて、チラッと視線をセインさんへ向けると、自分でもそれに気づいたのか、慌てて口を押さえるセインの姿を目撃することとなる。
「そ、その、すみません。つい……」
「……大丈夫……『俺』でも、良い」
そんなセインさんを可愛いと思ってしまう私は、きっと重症だ。ついでに、セインさんもプリンが好きだという情報が嬉しくて仕方ないというのも、重症だと判断する要素だ。
「そ、そうですか? その、顔に似合わず粗野だとか、思いませんか?」
「? ……思わない」
何を心配しているのかは分からないが、セインさんが『俺』という言葉を使えば、少しドキドキするし、素を出してもらえていると実感できて嬉しい。
「っ、ありがとうございます! リコさん!」
「ん」
私の番が可愛い。早く、抱き締めてあげなきゃ……。
って、違う!
ぼんやりと本能に流されかけて、セインさんをまともに直視していた私は、慌ててまた視線を逸らす。
危ない……。セインさんは魔族で、番なんて言われても分からないし、そもそも魔族なら……そう、だ。魔族、なら……片翼じゃ、ないと……。
私達獣人には、運命の番という概念がある。それは、本能的に惹かれる相手のことを呼ぶものだが、魔族にも似たような概念が存在していた。
『片翼』と言われるそれは、まだ解明されていない点も多い概念ではあるものの、私達の運命の番のように、ただ一人とは限らない。いや、同時期に二人以上存在することはないとされているものの、片翼が死ねば、またその魔族にとっての片翼がどこかで生まれる。そのため、魔族の中には、生まれ変わりを信じる者が多かった。
「それなら、プリンが美味しいお店を紹介しますね!」
セインさんのきらめくような笑みを見ていると、片翼なんていう概念を忘れそうになる。それでも……。
迷惑は、かけちゃ、ダメ……。
セインさんの負担にはなりたくない。その一心で、私は、この想いを封じることにした。
「大丈夫……です」
蕩けるような笑みを浮かべたセインさんを直視してしまった私は、プイッと顔を逸らして答える。
その態度が褒められたものではないことくらい分かってはいるのだが、きっと、このまま見ていたら目が潰れるだろうとの判断だった。ただ……やっぱり反応が気になって、目が潰れない程度にチラッと見て、すぐに目を逸らす。
心臓に悪い……。
優しくて、蕩けるようなその笑みは、容易く私の心臓を暴走させると同時に、獣としての本能を呼び覚ます。
私の番。わたしの、わたしの、はやく、捕まえナキャ……。
今にもセインさんに飛びかかりそうな体をどうにか抑え込まなければならない私は、そのままセインさんから顔を逸らし続けることとなる。
「その、リコさんは、好きなお菓子はありますか?」
「……プリン」
衝動を抑え込みながら告げる言葉は、いつも以上にぶっきらぼうになってしまう。
「プリンですね! 俺も、プリンは好きなんですよっ」
ふいに一人称が変わったことに気づいて、チラッと視線をセインさんへ向けると、自分でもそれに気づいたのか、慌てて口を押さえるセインの姿を目撃することとなる。
「そ、その、すみません。つい……」
「……大丈夫……『俺』でも、良い」
そんなセインさんを可愛いと思ってしまう私は、きっと重症だ。ついでに、セインさんもプリンが好きだという情報が嬉しくて仕方ないというのも、重症だと判断する要素だ。
「そ、そうですか? その、顔に似合わず粗野だとか、思いませんか?」
「? ……思わない」
何を心配しているのかは分からないが、セインさんが『俺』という言葉を使えば、少しドキドキするし、素を出してもらえていると実感できて嬉しい。
「っ、ありがとうございます! リコさん!」
「ん」
私の番が可愛い。早く、抱き締めてあげなきゃ……。
って、違う!
ぼんやりと本能に流されかけて、セインさんをまともに直視していた私は、慌ててまた視線を逸らす。
危ない……。セインさんは魔族で、番なんて言われても分からないし、そもそも魔族なら……そう、だ。魔族、なら……片翼じゃ、ないと……。
私達獣人には、運命の番という概念がある。それは、本能的に惹かれる相手のことを呼ぶものだが、魔族にも似たような概念が存在していた。
『片翼』と言われるそれは、まだ解明されていない点も多い概念ではあるものの、私達の運命の番のように、ただ一人とは限らない。いや、同時期に二人以上存在することはないとされているものの、片翼が死ねば、またその魔族にとっての片翼がどこかで生まれる。そのため、魔族の中には、生まれ変わりを信じる者が多かった。
「それなら、プリンが美味しいお店を紹介しますね!」
セインさんのきらめくような笑みを見ていると、片翼なんていう概念を忘れそうになる。それでも……。
迷惑は、かけちゃ、ダメ……。
セインさんの負担にはなりたくない。その一心で、私は、この想いを封じることにした。
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