悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第一章 幼少期編

第九話 空の魔石

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 私は、部屋に帰って眠った後……見事に、体調を崩した。熱を出して、寝込んでしまったのだ。


(さすがに、幼児の状態で頑張り過ぎた……)


 熱が出ていようと、メイド達が何かをしてくれることはない。むしろ、何かをやらかさないか心配なくらいだったのだが……私の熱に気づいたメリーが、ほぼつきっきりで看病をしてくれたため、特に嫌がらせを受けることはなかった。


「お嬢様、ゆっくりお休みになってください。メリーは、ずっと側に居ます」


 一年前より弱々しくなった声で、それでも優しさにあふれたそれを受けた私は、ぐっすりと眠り、回復するのだった。

 それから三日後……。


「じゆーっ、なにょ! (自由っ、なの!)」


 すっかり体調が戻った私は、心配するメリーに何度も大丈夫だと言い聞かせて、言い聞かせて……ようやく自由時間を得る。実際、体調そのものは一日で元に戻ったのだが、心配したメリーが中々離れてくれなかったのだ。しかし、メリーが長く側に居てくれたおかげで、色々と食べられるものがあったのは良かったのかもしれない。今の私は、今までで一番元気がある状態だった。

 いつものごとく、メイド達が私の部屋に近づいてこないことを確認して、早速、空の魔石を利用することにする。
 ストレージから出したのは、透明なガラス玉のようなもの。大人の拳大ほどもあるそれこそが、空の魔石だ。普通は、中の魔力を使いきったら捨てる代物ではあるのだが……魔道職人のジョブを持つ私なら、しっかり有効活用できる。


「ちっぱい、でちにゃいっ(失敗、できないっ)」


 ただ、問題なのが、この魔石にどんな効果を持たせるかということだ。本来予定していたのは、防御魔法や攻撃魔法、さらに、転移魔法や補助魔法などをそれぞれの魔石に注入することだったのだが、空の魔石が一つしか得られなかった以上、そんなことはできない。どれか一つを選ぶしかない。


「みゅー」


 防御魔法……危険があるかもしれないと考えれば、できる限りほしいところだ。攻撃魔法は、後回しでも構わない。転移魔法は、ここから離れて素材採取するのに必須で……補助魔法は、今の体で動くためには極力ほしい。

 そう考えると、選択肢は一つしかない。


「ちぇんいっ、ちゅーにゅー、にゃにょ(転移、注入ー、なの)」


 身を守る手段も、自由に動く手段もほしいところだが、そもそも素材採取ができる場所に行けなければ、それは意味がない。自然と、私が選ぶ魔法は限られてくる。


(それに、防御とか攻撃とかは、全部種類が豊富過ぎるしね)


 防御魔法を何種類か、攻撃魔法を何種類か、といった具合で込める予定だったが、それができない以上、諦めるしかない。
 魔道キットを取り出して、その中の透明なガラスケースに魔石をセットすると、そこから伸びたコードの先の赤い水晶に手を置いて魔力を込める。


「みゅーっ!」


 気合いを入れて魔力を込めれば、透明だった魔石は、どんどん青く変わっていく。


「でちちゃっ(できたっ)」


 転移魔法が込められた魔石の完成、だった。
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