66 / 412
第一章 幼少期編
第六十五話 新たな企み
しおりを挟む
あのお手紙を送った翌日、イルト王子からの手紙が届いて、私はドキドキしながら自室でそれを開く。
簡単な挨拶の後に綴られていたのは、『やりすぎだ』という苦言が少しと、感謝の言葉。それから、近況の話を私を絡めて行い、最後に『だいすきなゆみりあじょう。むちゃはしないでほしい』という、何とも胸を打つ感動的な言葉。
「みゅうぅぅぅうっ、どうしようっ、イルト様がっ、イルト様がっ、尊いっ!」
私用に用意されている小さな机の上に広がる手紙へ、私は何度も何度も……主に、最後の一文を読み返しては、悶える。
「ユミリア様、何か、手紙を収めるための箱でも買うか?」
「買う!」
後ろでお茶を持ってきていたローランの提案に、私は即座に飛び付く。
これはもう、厳重に保管しなければならないお宝だ。家宝……だと、他の家族のものにもなってしまうから、私だけの大切なお宝ということで、しっかり、がっちり保管したい。
手紙から離れた場所に紅茶を置いてくれたローランにお礼を言った私は、ひとまず、誰にも手が出せないであろうストレージに手紙を収納しておく。
「とりあえず、表立ってイルト様を害するような奴らは、今回の件であらかた捕縛されたはずだから、次のフェーズに移るよっ」
「って宣言するってことは、俺も何か役割があるのか?」
保管用の箱を手配しようとしていたローランに、私はそう宣言して引き留める。そう、次の作戦には、ローランの力が必要不可欠なのだ。
「もちろん、手紙の仕組みはそのまま持続させるけど、本命はこっちだからね。ローランには、色々と調べてもらいたいの」
表立って騒ぐのは、正直、小物でしかない。それももちろん、幼いイルト王子にとって脅威の一つではあるのだろうが、一番怖いのは、裏で暗躍できるような奴らだ。そんな奴らを牽制するために、私には情報が何よりも必要だったのだ。
「そりゃあ、面白そうだ。でも、時間もかかるぞ?」
「うん、それは分かってる。だから、イルト様のところには、私の守りが効くようにしておくし、私自身も自分の守りを強化しておく」
「なら、セイ達とも相談だな」
「うんっ」
今はまだ、イルト王子を害そうとする奴らは、王家の護衛、もしくは、我が家の護衛がどうにかしてくれている状態だ。しかし、これがずっと続いてくれるとは限らない。陛下がイルト王子に内緒で、色々とイルト王子を守るための魔導具をイルト王子の周りに設置はしているらしいが、基本的に、この世界の魔導具はそこまで威力のあるものはない。せいぜい軽い妨害ができる程度で、大勢でかかられたら足止めにもならないようなものしかないのだ。
(イルト様のために、私はどんなものでも作ってみせるっ!)
材料の足りないものは、お父様に言うか、セイ達に言うかで大抵解決する。もう、昔のように私が直接取りに行く必要はないのだ。
ローランに保管用の箱の件と、セイ達をこちらに呼ぶ件を頼んだ私は、頭の中で必要な材料を並べながら、イルト王子を想うのだった。
簡単な挨拶の後に綴られていたのは、『やりすぎだ』という苦言が少しと、感謝の言葉。それから、近況の話を私を絡めて行い、最後に『だいすきなゆみりあじょう。むちゃはしないでほしい』という、何とも胸を打つ感動的な言葉。
「みゅうぅぅぅうっ、どうしようっ、イルト様がっ、イルト様がっ、尊いっ!」
私用に用意されている小さな机の上に広がる手紙へ、私は何度も何度も……主に、最後の一文を読み返しては、悶える。
「ユミリア様、何か、手紙を収めるための箱でも買うか?」
「買う!」
後ろでお茶を持ってきていたローランの提案に、私は即座に飛び付く。
これはもう、厳重に保管しなければならないお宝だ。家宝……だと、他の家族のものにもなってしまうから、私だけの大切なお宝ということで、しっかり、がっちり保管したい。
手紙から離れた場所に紅茶を置いてくれたローランにお礼を言った私は、ひとまず、誰にも手が出せないであろうストレージに手紙を収納しておく。
「とりあえず、表立ってイルト様を害するような奴らは、今回の件であらかた捕縛されたはずだから、次のフェーズに移るよっ」
「って宣言するってことは、俺も何か役割があるのか?」
保管用の箱を手配しようとしていたローランに、私はそう宣言して引き留める。そう、次の作戦には、ローランの力が必要不可欠なのだ。
「もちろん、手紙の仕組みはそのまま持続させるけど、本命はこっちだからね。ローランには、色々と調べてもらいたいの」
表立って騒ぐのは、正直、小物でしかない。それももちろん、幼いイルト王子にとって脅威の一つではあるのだろうが、一番怖いのは、裏で暗躍できるような奴らだ。そんな奴らを牽制するために、私には情報が何よりも必要だったのだ。
「そりゃあ、面白そうだ。でも、時間もかかるぞ?」
「うん、それは分かってる。だから、イルト様のところには、私の守りが効くようにしておくし、私自身も自分の守りを強化しておく」
「なら、セイ達とも相談だな」
「うんっ」
今はまだ、イルト王子を害そうとする奴らは、王家の護衛、もしくは、我が家の護衛がどうにかしてくれている状態だ。しかし、これがずっと続いてくれるとは限らない。陛下がイルト王子に内緒で、色々とイルト王子を守るための魔導具をイルト王子の周りに設置はしているらしいが、基本的に、この世界の魔導具はそこまで威力のあるものはない。せいぜい軽い妨害ができる程度で、大勢でかかられたら足止めにもならないようなものしかないのだ。
(イルト様のために、私はどんなものでも作ってみせるっ!)
材料の足りないものは、お父様に言うか、セイ達に言うかで大抵解決する。もう、昔のように私が直接取りに行く必要はないのだ。
ローランに保管用の箱の件と、セイ達をこちらに呼ぶ件を頼んだ私は、頭の中で必要な材料を並べながら、イルト王子を想うのだった。
370
あなたにおすすめの小説
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
幽霊じゃありません!足だってありますから‼
かな
恋愛
私はトバルズ国の公爵令嬢アーリス・イソラ。8歳の時に木の根に引っかかって頭をぶつけたことにより、前世に流行った乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったことに気づいた。だが、婚約破棄しても国外追放か修道院行きという緩い断罪だった為、自立する為のスキルを学びつつ、国外追放後のスローライフを夢見ていた。
断罪イベントを終えた数日後、目覚めたら幽霊と騒がれてしまい困惑することに…。えっ?私、生きてますけど
※ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください(*・ω・)*_ _)ペコリ
※遅筆なので、ゆっくり更新になるかもしれません。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる