悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第一章 幼少期編

第九十話 王妃様のお話2

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 王妃様の母国へ戦を仕掛けた国、メイリーンは、呪術の国として知られている。代々強力な呪術使いが国を治めており、その力でもって、周辺国へと圧力をかけるような国だ。
 呪術は本来、膨大な魔力を必要とするはずが、メイリーンでは何らかの方法で魔力消費量を減らし、普段でも使えるようにしてあるらしく、それが、今回の事件にも深く関わるとのことだった。


「最初は、普通に捕まえて尋問をしようとしたのですが、捕まえて一時間も経たないうちに、彼らは苦しみ出して、息絶えました。それを繰り返せば、原因が呪術によるものだと、そして、目的が私の身柄を確保することだとも分かってきて、私の影武者を立ててその者を誘拐させ、情報を得ることにしました」


 そこまでの話を聞いて、ならば、今回も王妃様自身ではなく、王妃様の影武者を誘拐させる予定だったのだろうか、と思い至る。しかし、どうやらそれは間違いらしい。


「順調に、影武者が眠らされて誘拐されかかったところで……実行犯達は苦しみ出し、亡くなりました。メイリーンでの本当かどうか分からない噂の中に、呪術に条件を組み込み、それによって複雑な発動をさせることができる、などというものがありましたが、その時、その噂は正しいのだと確信しました」


 つまりは、実行犯達には、もれなく『王妃様を誘拐しなければ呪術が発動する』とか、『王妃様を間違えたら呪術が発動する』とか、そういったものがかけられていたと見て良いのだろう。そうして、今回のお茶会で、王妃様は自分自身を囮にして、今度こそ確実に、メイリーンが関与している証拠を手に入れようとしたらしいのだが……。


「もしかして、襲撃者があまりにも馬鹿だった、とか?」

「……そう、ですね……」


 ニコニコとした笑みを浮かべながらも、どこか遠い目をしている王妃様に、私はついつい同情してしまう。
 王妃様は、覚悟を決めて、あらかじめ警備を手薄にして、襲撃者達をおびき寄せたらしい。計画としては、王妃様が一人で居るところを襲撃者達が捕まえて誘拐する。それを、潜ませておいた尾行役の騎士達に追跡してもらい、決定的な証拠を掴む、という流れだったらしいのだが、今回の襲撃者達は、あまりにも頭が足りていなかった。騒ぎになれば、すぐにでも騎士達が動くというのに、貴族令嬢達を捕らえて、脅しをかけるなどという暴挙に出たのだ。王妃様も騎士達も、頭が痛いどころの騒ぎではなかった。とにかく、安全にレイア嬢達を助けようと、機会を窺っていたところ……私が乱入して、全てを引っ掻き回した、というわけだった。


「お騒がせして、申し訳ありません」

「いえ、おかげで助かったのは事実です。むしろ、ユミリア嬢が居なければ、彼女達はもちろん、私の命も危うかったでしょう」


 それはつまり、王妃様はどうにか襲撃者達を説得して、レイア嬢達を解放し、予定通り誘拐されるつもりだった、ということなのだろう。しかし、あそこまで頭が残念な奴らを相手に、ずっと上手く立ち回れるかと問われれば……きっと、それは難しかっただろう。そもそも、レイア嬢達を解放したかどうかも怪しいのだ。


「咄嗟に、『王家の守り人』という称号を与えることになりましたが、この件は、後程陛下とも話し合わなければならないので、また今度、お話しましょう」


 とにかく、王妃様からすれば、私の行動はとてもありがたいものだったらしく、お咎めはないらしい。
 少しだけ、肩の力が抜けたところで、王妃様は、もう一つの件に関して話を始めた。
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