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第一章 幼少期編
第百二十一話 刺客達
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案内された場所は、メリーの自室だった。セイの話からして、刺客達は拷問を受けたのだろうと思って覚悟はしていたのだが、頑丈に縛られた二人の刺客に、大きな怪我は見当たらない。襲撃の際には顔など見えなかったものの、今は、どこにでも居る、ごくごく普通そうな……黒目黒髪の男達の姿が露になっていた。
(黒ってことは……まぁ、その境遇は、そういうもの、何だよね?)
最近まで知らなかったことではあるのだが、基本的に、黒を持つ者は、この国で人として認められていない節がある。少なくとも、平民の間では、黒は殺しても構わない存在として認知されている。その現状を陛下は変えようとしているらしいのだが、如何せん、完全に根付いてしまったその認識を覆すのは難しく、陛下の代では不可能だと思われていた。
そんな彼らは、私の姿を見ても、特に何も反応しなかったのに対して、メリーの姿を認めるや否や、ガタガタブルブルと、こちらが心配になるくらいに震え出した。
刺客達は、もちろん拘束されている。猿轡も噛ませてあり、自殺の防止も完璧だ。そんな彼らは今、少しでもメリーから距離を取ろうと悶えている。
「うふふっ」
「……メリー?」
「大丈夫でございます。ユミリアお嬢様を害そうなどという輩は、私がきっちり、みっちり、身の程というものを教え込みましたのでっ。万が一、反抗的な態度を取るようであれば、もう一度しつけ直すのもやぶさかではありませんしね?」
『可愛い可愛いユミリアお嬢様に手を出したのだから当然です』と笑うメリーを前に、刺客達はボロボロと涙を溢して首を横に振っている。彼らはきっと、一刻も早くメリーの側から離れたいのだろうが、残念なことに、拘束は頑丈で、動けたとしても数センチくらいのものだろう。
「さて、では猿轡を外しますので、聞かれたことにしっかりと答えてくださいね?」
にっこりと微笑んで刺客達に言い放ったメリー。それに対して、刺客達は鼻水まで垂らしながら、ガクガクブルブルと震えて泣く。
(何をしたら、大の大人があそこまでなるんだろう……?)
疑問は、確かにある。しかし、世の中、知らない方が良いことだってあるのだ。きっと、今回はそれに該当するだろうと判断した私は、刺客達の様子など綺麗さっぱり無視して、質問することにした。
「じゃあ、まずは、雇い主はだぁれ?」
猿轡を外された刺客達にそう問いかければ、なぜか、『ひっ』と怯えたような声を出した後、メリーから笑顔で『話してくださいます、よね?』と催促されて、必死に口を動かし出した。
「ボンボ男爵だっ!」
「俺は、誰かは知らないっ!」
「依頼内容は?」
「もう一人の黒い髪の子供に、もらった指輪を当てることだっ」
「お、俺は、その、女の子の方を、えっと、こ、ころ……ひぃぃいぃいっ! ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ」
最初に仕掛けてきた刺客は、どうやらイルト王子に『呪言の石』を触れさせる役目を、ボンボ男爵とやらから受け持ったらしい。それは、ある意味予想通りではあったのだが……もう一人の方が気になる。恐らく、雇い主は別人であり、私を殺す任務を背負っていたようだ。
(イルト様なら分かる。でも、私を狙うことに何の意味が……?)
これが誘拐ならば、公爵家への攻撃材料として確保したとも言える。しかし、殺すとなると、一気にその目的が分からなくなる。私はまだ、イルト王子の婚約者としても、『王家の守り人』としても、発表されていなかったはずなのだから。
うーんと考え込んでいると、私の後ろに居たお父様がいつの間にか側に来ていて、口を開く。
「どういう経緯で雇われたのかを話してもらおうか?」
そうして、お父様による尋問が始まった。
(黒ってことは……まぁ、その境遇は、そういうもの、何だよね?)
最近まで知らなかったことではあるのだが、基本的に、黒を持つ者は、この国で人として認められていない節がある。少なくとも、平民の間では、黒は殺しても構わない存在として認知されている。その現状を陛下は変えようとしているらしいのだが、如何せん、完全に根付いてしまったその認識を覆すのは難しく、陛下の代では不可能だと思われていた。
そんな彼らは、私の姿を見ても、特に何も反応しなかったのに対して、メリーの姿を認めるや否や、ガタガタブルブルと、こちらが心配になるくらいに震え出した。
刺客達は、もちろん拘束されている。猿轡も噛ませてあり、自殺の防止も完璧だ。そんな彼らは今、少しでもメリーから距離を取ろうと悶えている。
「うふふっ」
「……メリー?」
「大丈夫でございます。ユミリアお嬢様を害そうなどという輩は、私がきっちり、みっちり、身の程というものを教え込みましたのでっ。万が一、反抗的な態度を取るようであれば、もう一度しつけ直すのもやぶさかではありませんしね?」
『可愛い可愛いユミリアお嬢様に手を出したのだから当然です』と笑うメリーを前に、刺客達はボロボロと涙を溢して首を横に振っている。彼らはきっと、一刻も早くメリーの側から離れたいのだろうが、残念なことに、拘束は頑丈で、動けたとしても数センチくらいのものだろう。
「さて、では猿轡を外しますので、聞かれたことにしっかりと答えてくださいね?」
にっこりと微笑んで刺客達に言い放ったメリー。それに対して、刺客達は鼻水まで垂らしながら、ガクガクブルブルと震えて泣く。
(何をしたら、大の大人があそこまでなるんだろう……?)
疑問は、確かにある。しかし、世の中、知らない方が良いことだってあるのだ。きっと、今回はそれに該当するだろうと判断した私は、刺客達の様子など綺麗さっぱり無視して、質問することにした。
「じゃあ、まずは、雇い主はだぁれ?」
猿轡を外された刺客達にそう問いかければ、なぜか、『ひっ』と怯えたような声を出した後、メリーから笑顔で『話してくださいます、よね?』と催促されて、必死に口を動かし出した。
「ボンボ男爵だっ!」
「俺は、誰かは知らないっ!」
「依頼内容は?」
「もう一人の黒い髪の子供に、もらった指輪を当てることだっ」
「お、俺は、その、女の子の方を、えっと、こ、ころ……ひぃぃいぃいっ! ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ」
最初に仕掛けてきた刺客は、どうやらイルト王子に『呪言の石』を触れさせる役目を、ボンボ男爵とやらから受け持ったらしい。それは、ある意味予想通りではあったのだが……もう一人の方が気になる。恐らく、雇い主は別人であり、私を殺す任務を背負っていたようだ。
(イルト様なら分かる。でも、私を狙うことに何の意味が……?)
これが誘拐ならば、公爵家への攻撃材料として確保したとも言える。しかし、殺すとなると、一気にその目的が分からなくなる。私はまだ、イルト王子の婚約者としても、『王家の守り人』としても、発表されていなかったはずなのだから。
うーんと考え込んでいると、私の後ろに居たお父様がいつの間にか側に来ていて、口を開く。
「どういう経緯で雇われたのかを話してもらおうか?」
そうして、お父様による尋問が始まった。
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