悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第一章 幼少期編

第百二十三話 緊急事態?

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 お父様達に、情報収集を宣言してから三日。私は、ついにそれを完成させた。メイリーン国にまで『影の耳』達を送り届けてくれるであろう、『青い鳥』だ。私の身長とあまり変わらない大きさの『青い鳥』ならば、『影の耳』達を何十匹でも送り届けてくれるはずだ。

 早速、どのくらい飛べるのかを試してみようと、窓を開けたところ、何やら、屋敷が騒がしいことに気づいた。


「みゅ?」


 今日は特に、来客の予定はない。実際、外を見ても、馬車が停まっている様子はない。と、なると、屋敷の中で何かがあったのだろう。


「セイっ、屋敷で何があったの?」


 部屋の外に待機していたセイへと声をかければ、セイは一瞬視線をさまよわせる。


「えーっと、ユミリア。その……多分、こういうことは、旦那様とか、奥様から聞くべき話だと思うんだけど……」

「みゅ? お父様達に何かがあったわけではないの?」

「うーん、何かがあったといえばあった、かなぁ?」

「……危険は、ない?」

「危険……今すぐどうにかなる危険は、多分、ないよ?」


 随分とぼかして答えるセイに、とりあえず緊急事態ではなさそうだと判断して、部屋に戻ろうとすると……。


「いやいやいや、待って! ほら、気になるんでしょう? 聞きに行こうよっ」

「みゅ? でも、緊急事態でもなんでもなさそうだし、お父様達が話せるタイミングで話してもらった方が良いと思ったんだけど?」

「いや、緊急事態だからっ! ある意味ではあるけど、ものすごく大変なことが起こってるからっ!」

「みゅう?」


 危険がないのに緊急とは、いったいどういうことかと首をかしげれば、セイの両手が私の両肩をがしっと掴む。


「ほら、聞きに行こう? ねっ?」

「み、みゅう」


 何が何だか分からないが、とにかくセイは、私に行動してほしいらしい。私としては、さっさと『青い鳥』の動作確認をすませてしまいたいところなのだが、セイが私を逃がしてくれる気配はなかった。


「おっ、ユミリア様? まだこんなとこに居たのか? 早く旦那様と奥様のところに行かねぇとっ」

「ユミリアっ、乗る?」


 そうこうしていると、ローランと鋼までやってきて、早くお父様達のところへ向かえと急かしてくる。


「う、うん? えっと、分かったから、ちゃんと行くからっ」


 せっせと私を背中へと導いた鋼は、そこから危険ではない程度の速度で廊下を駆け抜ける。そして……。


「あ、お父様、お継母様」


 目的の二人の姿が見えて、声をあげれば、お父様とお継母様はとびっきりの笑顔で出迎えてくれる。
 鋼から降りた私は、両腕を広げて待ち構えるお父様へと飛び込んで、はて、何が緊急だったのだろうかと、首をかしげる。


「ユミリアっ、弟か妹ができるぞっ」


 ぎゅっと抱き締められながら紡がれた、喜びに満ちた言葉。その言葉の意味を、ゆっくりと理解した瞬間、私も、お父様達と同じく、喜びに満ちた笑みを浮かべるのだった。
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