悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第一章 幼少期編

第百四十九話 脱出方法(セイ視点)

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(さて、どうしたものか……)


 部屋には結界を張っていたおかげで、今現在、この部屋に入室できる者は居ない。しかし、音まで遮断するものではなかったため、外は大騒ぎになっているようで、その声がこちらまで聞こえてくる。


「殿下、ご無事ですか!! 殿下っ!! おいっ、早く結界を破れっ!」

「ぐっ、無茶なことを言ってくれるっ」

「きゃーっ! 側妃様が倒れられたわっ!!」

「私が、お側を離れたばかりに……イルト殿下ぁぁあっ」


 以上が、扉の外から聞こえてきた一部始終だ。


(このまま、結界を解くのは、なしだね。ここに来てもらったら困るし)


 一応、第一王子の方は、僕が守護しているから、瘴気の影響を受けることはない。僕は、光と水の属性を持つ星妖精。そして、光の属性による結界は、瘴気を退けることができる。
 この場においては、僕とローラン、そして、第一王子がその恩恵を受けている状態であり、扉の外の人間には瘴気を退ける力はない。この部屋に入れば、あっという間に瘴気で狂ってしまうことだろう。


「この部屋は封鎖するよ。それで、第二王子の方は、変則的ではあるけど、光の結界の中に入れて、瘴気が漏れ出さないようにするから、それを抱えて、窓から脱出しよう」

「分かった」

「えっ? えっ?」


 状況をいまいち掴めていない第一王子には申し訳ないが、ここはさっさと王様のところに行って、騒動を鎮めてもらう方が先だ。


「あと、こっちの説明はしておくから、ユミリアへの連絡は任せたよ」

「おぅっ!」


 何者かに気絶させられ、ユミリアに迎えに来てもらうなどという失態を犯した僕達だったが、今回のことで、少しは挽回できたかもしれない。
 ユミリアの記憶によれば、魔王の力は最初、瘴気として出てくるのだと言う。瘴気の特性は、負の感情の増幅。そのため、瘴気に侵された人間は、そのまま放置していれば確実に犯罪へと走ることとなる。


『イルト様の中にあった禍々しい魔力。多分、あれが瘴気なんだと思う。そして、そんなものを身の内に抱えているイルト様の精神状態がまともかどうかは、かなり怪しいの』


 そう言って、本来ならば鋼に第二王子の護衛を任せようとしていたところを、僕達が名誉挽回のために名乗り出て、現在の状況というわけだ。


(さすがに、ユミリアもここまでの事態は想定してなかったかもしれないけどね?)


 第二王子を光の結界に閉じ込めた上で、柔らかな毛布で簀巻きにし、窓を大きく開け放つ。


「そういえば、ローランって飛べるんだっけ?」

「今、それ聞くか!? まぁ、ユミリア様のおかげで飛べるけどよ」

「なら、問題ないねっ。じゃあ、まずは謁見の間に突撃してみようか」


 そうして、僕達は、窓の下の方にも集まっている騎士達を見下ろすと、そのまま、ちょっとした空の旅へと出かけるのだった。
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