悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第二章 少女期 瘴気編

第百九十七話 クリスタルロード攻略8(セイ視点)

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 マルディックの頭は、水晶の天井から斜めに生えるような形で存在しており、だからこそ、その顎を切り落とす云々の話も出ていたのだが……今は、イルト殿下のかかと落としによって、天井に対して直角に近い曲がり方をしている。


《ぐ、ぉ…………》


 そして、マルディックは痛みのあまり、声も出ないという様子で悶絶している。


「口を開けてくれなきゃ、困る」


 かかと落としの直後、マルディックの頭に掴まっていたイルト殿下は、無慈悲にそう言うと、自身の魔力……闇魔法によって、黒い鎖を生み出し、未だに悶絶するマルディックの上顎と下顎にそれぞれ絡ませると、鎖の両端を対称の方向で水晶の天井に埋め込み、そのまま勢いよく鎖を短く調整する。


《ごぉぉぉおっ!!!》


 途端に、パッカリと開かれるマルディックの口。恐らくは、相当に痛いのだろう。竜が涙を流す光景を、僕は初めて見た。


「何か見える?」


 と、そこで、マルディックの頭から闇魔法で足場を作って下りてきたイルト殿下が問いかけてくる。しかし……。


「普通の口、みたいだねぇ」


 苦しそうにピクピクしては居るものの、下から見えるそれは、牙が生え揃った竜の口の中でしかない。封印の場所への入り口などとは、全く思えなかった。


「ここは、実際に中に入ってみるのが妥当でしょうか?」

「いや……さすがに気の毒になってきたんだが?」

「何をおっしゃいますかっ。相手は竜ですよ? ユミリアお嬢様の方がよほどか弱い存在なのです。そんな、ユミリアお嬢様を助けるためならば、頑丈そうな竜がいくら苦しもうとどうでも良いではありませんかっ」

「きゅーん」

「……まぁ、その、魔王のことなんて知らないって言ってたし、もしかしたら、入り口とは本当に関係ないのかもしれないよ?」


 メリーさんとローランの会話に怯えるコウを見て、一応、そんな意見も述べてみる。


「いや、もしかしたら、アレを討伐すれば道が開けるのかも?」

《ひっ、ひゃめっ、ひゃめりょぉっ》


 気位の高い竜。その中でも、一際貴重な聖竜が、恥も外聞もなく泣いて命乞いをしている。ただ、そんなもの、ユミリア至上主義なイルト殿下とメリーさんには通じない。


「なるほど、それは名案です。では、さっさと試して「ダメェェェエッ!!」……ミーシャ様?」


 これから、竜の頭がミンチになるだろう未来を漠然と予測していた僕は、突如として腕の中からあがった叫びに、ビクリと肩を跳ね上げる。


「その竜を助けないとっ、道は開かれないからっ!」


 何かを思い出したのか、真剣に告げるミーシャ嬢に、全員の視線が集中した。
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