200 / 412
第二章 少女期 瘴気編
第百九十九話 クリスタルロード攻略10(ミーシャ視点)
しおりを挟む
「う……ん……?」
ゆっくり意識が浮上したところで感じたのは、ズキズキとした頭痛だった。
(……うーん? この感じは、魔力不足で起こる頭痛に似てるような……?)
浄化魔法を使いまくるような出来事があっただろうかと思いつつも、そっと目を開ければ……そこは、真っ暗で何も見えない空間だった。
「?? とにかく、光、かな?」
闇の中で光を求めるのは、ごくごく自然なことだ。そのため、私はそっと体を起こし、何の疑いもなく、光の玉を一気に五つ生み出した……のだが……。
「えっ……?」
そこは、私がとても良く知る場所。いや、前の私が、良く知っていた場所だ。
「クリスタルロード、最深部……?」
クリスタルロードにおける、最終到着地点。凶悪な魔物が守る扉が、すぐそこに見える。
「って、ことは……?」
扉の両隣を確認すれば、そこには十メートル以上の身長を誇る、二体の鬼の像があった。
「欺王と、偽牙……」
門を守るのは、二体の鬼。どちらも性格が悪そうな笑みを浮かべ、ランランと瞳を輝かせている。しかし、そんな中にも救いはあった。あの二体は、誰かが扉に手を触れない限り、動き出すことはない。
「……うん、何で、私一人が、こんな場所に居るんだろう?」
クリスタルロード最深部。その場所に、私は一人っきりだった。
「確か、クリスタルロードは、入った瞬間に、バラバラの場所へと転、移…………まさか、今がその状態!?」
徐々に、意識を失う前のことを思い出した私は、その結論が妥当ではないかと思い至る。
「セイさんの結界が間に合わなくて、水に流されてはぐれて、そのまま、クリスタルロードの入り口にイン、しちゃった?」
誰も、助けになる存在が居ない状態での、危険地帯に取り残された現状。
戦闘能力、皆無。浄化魔法特化の、高所恐怖症な女の子がただ一人。死と絶望が渦巻くダンジョンで戦わなければならない。しかも、周りは全て、高レベルで厄介な敵ばかり。
「……詰んだ」
明らかに、生き残れる気配がない。欠片たりとも存在しない。
「私からアクションをしなければ、安全な場所ではあるけど……食料、切り詰めたら、十日くらい、いけるかなぁ?」
荷物らしい荷物を持っていない私ではあるものの、昔、極貧生活だったことから、食料への執着は並々ならぬものだったらしく、お姉様に頼んでは、服に縫いつけられる小型で栄養価の高い食料を作ってもらっていた。そして、私が身につけるアクセサリーはお姉様の魔導具であり、その内の一つである指輪が、無限の水を生み出す能力を持っていたりする。
「人間、水だけだったら、何日生きられるんだったっけ?」
恐らく、助けが来るまでに、私は息絶えているだろう。クリスタルロードは、超巨大ダンジョンだ。攻略するのに、最短でもゲーム内の時間で一月かかると言われている場所。最初のランダムの転移は、合計三人までなら、手を繋いでいたら同じ場所に飛ばしてもらえるため、その手法で、何とか乗りきっていた。ただ、今回のように最深部の方へ転移させられることは稀で、そうなった場合、いきなりの高レベルな魔物との接触でゲームオーバーか、必死に別の仲間と合流するために魔物を避けて上の階へと戻るかのどちらかしかなかった。
「戦闘、無理。一人。救助は望めない…………はぁ…………」
こんなところで、人生終了かと嘆きながら、まずは食料を確認しようと服に手をかけたところで…………。
「ん……」
誰かの声が、聞こえた…………。
ゆっくり意識が浮上したところで感じたのは、ズキズキとした頭痛だった。
(……うーん? この感じは、魔力不足で起こる頭痛に似てるような……?)
浄化魔法を使いまくるような出来事があっただろうかと思いつつも、そっと目を開ければ……そこは、真っ暗で何も見えない空間だった。
「?? とにかく、光、かな?」
闇の中で光を求めるのは、ごくごく自然なことだ。そのため、私はそっと体を起こし、何の疑いもなく、光の玉を一気に五つ生み出した……のだが……。
「えっ……?」
そこは、私がとても良く知る場所。いや、前の私が、良く知っていた場所だ。
「クリスタルロード、最深部……?」
クリスタルロードにおける、最終到着地点。凶悪な魔物が守る扉が、すぐそこに見える。
「って、ことは……?」
扉の両隣を確認すれば、そこには十メートル以上の身長を誇る、二体の鬼の像があった。
「欺王と、偽牙……」
門を守るのは、二体の鬼。どちらも性格が悪そうな笑みを浮かべ、ランランと瞳を輝かせている。しかし、そんな中にも救いはあった。あの二体は、誰かが扉に手を触れない限り、動き出すことはない。
「……うん、何で、私一人が、こんな場所に居るんだろう?」
クリスタルロード最深部。その場所に、私は一人っきりだった。
「確か、クリスタルロードは、入った瞬間に、バラバラの場所へと転、移…………まさか、今がその状態!?」
徐々に、意識を失う前のことを思い出した私は、その結論が妥当ではないかと思い至る。
「セイさんの結界が間に合わなくて、水に流されてはぐれて、そのまま、クリスタルロードの入り口にイン、しちゃった?」
誰も、助けになる存在が居ない状態での、危険地帯に取り残された現状。
戦闘能力、皆無。浄化魔法特化の、高所恐怖症な女の子がただ一人。死と絶望が渦巻くダンジョンで戦わなければならない。しかも、周りは全て、高レベルで厄介な敵ばかり。
「……詰んだ」
明らかに、生き残れる気配がない。欠片たりとも存在しない。
「私からアクションをしなければ、安全な場所ではあるけど……食料、切り詰めたら、十日くらい、いけるかなぁ?」
荷物らしい荷物を持っていない私ではあるものの、昔、極貧生活だったことから、食料への執着は並々ならぬものだったらしく、お姉様に頼んでは、服に縫いつけられる小型で栄養価の高い食料を作ってもらっていた。そして、私が身につけるアクセサリーはお姉様の魔導具であり、その内の一つである指輪が、無限の水を生み出す能力を持っていたりする。
「人間、水だけだったら、何日生きられるんだったっけ?」
恐らく、助けが来るまでに、私は息絶えているだろう。クリスタルロードは、超巨大ダンジョンだ。攻略するのに、最短でもゲーム内の時間で一月かかると言われている場所。最初のランダムの転移は、合計三人までなら、手を繋いでいたら同じ場所に飛ばしてもらえるため、その手法で、何とか乗りきっていた。ただ、今回のように最深部の方へ転移させられることは稀で、そうなった場合、いきなりの高レベルな魔物との接触でゲームオーバーか、必死に別の仲間と合流するために魔物を避けて上の階へと戻るかのどちらかしかなかった。
「戦闘、無理。一人。救助は望めない…………はぁ…………」
こんなところで、人生終了かと嘆きながら、まずは食料を確認しようと服に手をかけたところで…………。
「ん……」
誰かの声が、聞こえた…………。
139
あなたにおすすめの小説
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
幽霊じゃありません!足だってありますから‼
かな
恋愛
私はトバルズ国の公爵令嬢アーリス・イソラ。8歳の時に木の根に引っかかって頭をぶつけたことにより、前世に流行った乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったことに気づいた。だが、婚約破棄しても国外追放か修道院行きという緩い断罪だった為、自立する為のスキルを学びつつ、国外追放後のスローライフを夢見ていた。
断罪イベントを終えた数日後、目覚めたら幽霊と騒がれてしまい困惑することに…。えっ?私、生きてますけど
※ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください(*・ω・)*_ _)ペコリ
※遅筆なので、ゆっくり更新になるかもしれません。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる