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第二章 少女期 瘴気編
第二百七十二話 存在しない王子(ミーシャ視点)
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「ミーシャ嬢……兄様は、幼い頃から、ずっと、私の側に居たと記憶している。だが、調べてみたところ、ロード・ラ・リーリスなる人物が存在していた痕跡は……どこにも、ない」
少しだけ、顔色を悪くしながらも、そんな事実を教えてくれたアルト様。下手をしたら、様々な捏造まで行われているかもしれないと思っていただけに、その綻びは貴重なものだった。
「ならっ、お姉様達をこちら側に引き込むこともできますかっ?」
「ユミリア嬢とイルトは、難しいだろう」
この事実さえあれば、と思っての提案だったが、アルト様には、どうやら懸念事項があるらしい。
「ユミリア嬢とイルトに近づこうとすれば、必ず、ロードが現れる。手紙で何かを伝えようとしても、全て、ロードが確認しているらしい」
「なら、二人同時に、別々で接触するのはどうです?」
「……それも、ダメだった。人を使って、全く別の場所に居たユミリア嬢とイルトに、ほぼ同時に接触しようとしたが、そのどちらにも、ロードが現れたと聞いている」
「ぶ、分身?」
「どんな仕掛けかは分からないが、これ以上、動けばロードに不審がられる」
そこまで言われて、まだ強行しようとは思わない。
「なら、教会に行ってみませんか? お姉様が居ないから無理かもしれませんが、もしかしたら、女神から直接話を聞けるかもしれません」
「あぁ、それは、私も考えていた。ミーシャさえ良ければ、この後、向かわないか?」
「はいっ」
女神から話を聞こうという話が今まで出なかったのは、お姉様に現状を伝えることを諦めていなかったからだ。お姉様さえまともになれば、打開策も出てくるはず。そう思っていたが、それが無理ならば、私達で何とかするしかない。
「そう言ってくれると思った。馬車は用意してあるから、すぐに出られそうか?」
「大丈夫です。よろしくお願いします」
「あぁ」
アルト様と一緒に乗り込んだのは、お忍び用の馬車。御者は、いつもの人とは違う男性だったが、それを気にすることなく、私達は、教会に着くまでの道のりで議論を交わす。ただ……外の景色を見ていなかったせいで、私達は、目的地とは別の場所に連れられていることに遅れて気づくこととなった。
「アルト様、これ……」
「っ、何者の手引きかは分からないが、ちょっと不味いかもな」
外の景色は、木々が生い茂る森の中。しかし、舗装もされていない道を走っているというのに、振動はほどんどない。つまりは、それを実現させるだけの魔法が使われているということだ。扉を開けようとしても、外から鍵がかけられているらしく、びくともしない。魔法を放とうにも、この狭い馬車の中では危険だということで、大人しく、扉が開くのを待つことにする。
「巻き込んで、すまない」
「アルト様のせいじゃありません。それに、私達二人ともが狙われている可能性だってあります」
何が原因かなんて分からない。アルト様の地位が邪魔になった人間による仕業である可能性はもちろん高い。しかし、私達が何かをしようとしていることを察知したロードの仕業、というのもあり得る。
そうして、しばらくすると、音もなく、扉が開かれた。
少しだけ、顔色を悪くしながらも、そんな事実を教えてくれたアルト様。下手をしたら、様々な捏造まで行われているかもしれないと思っていただけに、その綻びは貴重なものだった。
「ならっ、お姉様達をこちら側に引き込むこともできますかっ?」
「ユミリア嬢とイルトは、難しいだろう」
この事実さえあれば、と思っての提案だったが、アルト様には、どうやら懸念事項があるらしい。
「ユミリア嬢とイルトに近づこうとすれば、必ず、ロードが現れる。手紙で何かを伝えようとしても、全て、ロードが確認しているらしい」
「なら、二人同時に、別々で接触するのはどうです?」
「……それも、ダメだった。人を使って、全く別の場所に居たユミリア嬢とイルトに、ほぼ同時に接触しようとしたが、そのどちらにも、ロードが現れたと聞いている」
「ぶ、分身?」
「どんな仕掛けかは分からないが、これ以上、動けばロードに不審がられる」
そこまで言われて、まだ強行しようとは思わない。
「なら、教会に行ってみませんか? お姉様が居ないから無理かもしれませんが、もしかしたら、女神から直接話を聞けるかもしれません」
「あぁ、それは、私も考えていた。ミーシャさえ良ければ、この後、向かわないか?」
「はいっ」
女神から話を聞こうという話が今まで出なかったのは、お姉様に現状を伝えることを諦めていなかったからだ。お姉様さえまともになれば、打開策も出てくるはず。そう思っていたが、それが無理ならば、私達で何とかするしかない。
「そう言ってくれると思った。馬車は用意してあるから、すぐに出られそうか?」
「大丈夫です。よろしくお願いします」
「あぁ」
アルト様と一緒に乗り込んだのは、お忍び用の馬車。御者は、いつもの人とは違う男性だったが、それを気にすることなく、私達は、教会に着くまでの道のりで議論を交わす。ただ……外の景色を見ていなかったせいで、私達は、目的地とは別の場所に連れられていることに遅れて気づくこととなった。
「アルト様、これ……」
「っ、何者の手引きかは分からないが、ちょっと不味いかもな」
外の景色は、木々が生い茂る森の中。しかし、舗装もされていない道を走っているというのに、振動はほどんどない。つまりは、それを実現させるだけの魔法が使われているということだ。扉を開けようとしても、外から鍵がかけられているらしく、びくともしない。魔法を放とうにも、この狭い馬車の中では危険だということで、大人しく、扉が開くのを待つことにする。
「巻き込んで、すまない」
「アルト様のせいじゃありません。それに、私達二人ともが狙われている可能性だってあります」
何が原因かなんて分からない。アルト様の地位が邪魔になった人間による仕業である可能性はもちろん高い。しかし、私達が何かをしようとしていることを察知したロードの仕業、というのもあり得る。
そうして、しばらくすると、音もなく、扉が開かれた。
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