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第二章 少女期 瘴気編
第二百八十九話 竜神様と俺の話1(ローラン視点)
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勇者になるよりも、もっと前。まだ、竜人達と共に暮らしていた頃。
竜人の国は、とても高い山の上に存在し、俺達竜人は、その強靭な肉体故に、冷たく、過酷な環境のその場所で生きてこれた。
そんな竜人が信仰するのは、竜神様。かの方は、俺達竜人の祖であるとされ、様々な加護を授けてくれる美しい男神だ。俺は、生まれた時からその身に宿す膨大な魔力故に、竜神様の愛し子だと呼ばれ、育ってきた。そしてそれは真実でもあった。
「……よしっ、誰も居ないっ! 竜神様ーっ!!」
「あぁ、ローラン。私の愛しい子。今日も、遊びに来てくれたのかな?」
「うんっ! 竜神様っ、今日も、色々なお話聞かせてくださいっ」
俺が向かった場所は、竜神様の像が奉られている教会……ではなく、誰も寄りつかない、雪でできた大きな洞穴の中だった。そこに居たのは、俺と同じ、黒目黒髪の美しい男性。そのあまりの美しさに、俺は、初めて出会った時、すぐにこの方が竜神様なのだと思えた。
「では、今日は、こことは違う国の、冒険者のお話をしましょう」
竜神様の愛し子として生まれた俺には、多大なる期待がのしかかっていた。両親は、厳しい教育を課して、一度も褒めてはくれない。周りは嫉妬するか、媚びを売るかの二通りしかなく、幼い頃、それに気づいた時は、随分と落ち込んだりもした。
過酷な環境を生き抜く竜人。もちろん、その環境を選んだのは、俺達のご先祖様なのだろうが、誰だって、楽に生きたいと思う気持ちは存在する。それは、この国を出て、別の国を見てきた者ほど、強く思うことだ。だから、愛し子であるとされる俺は、この環境を改善することを求められた。今にして思えば、それは、他国を侵略するという行為に繋げようとしていたのだろうなと思えることがいくつもあったが、とにかく、俺に注がれるのは、愛情ではなかった。だから……俺は、竜神様から与えられる、純粋な愛情が、たまらなく嬉しかった。
「竜神様っ、俺も、冒険者になれるかなぁ?」
絵本を読み聞かせてもらった子供がするように、俺は、この場所でだけは、愛し子ではなく、ただの子供として、瞳を輝かせることができた。
「あぁ、もちろん。でも、それには、ちゃんと体づくりをして、健やかに成長しなければね?」
「うんっ、そうしたら、竜神様と一緒に、色々お出かけできるねっ」
この時の俺は、本当に、竜神様のことが大好きだった。両親からもらえない愛情を、友人からもらえない愛情を、竜神様はしっかりと与えてくれるのだ。間違えた時に叱るのだって、鞭や魔法を使ったりなんかしない。ちゃんと、俺の目を見て、言い聞かせて、反省するように促してくれる。疲れた時には、一緒にお昼寝をしてくれるし、辛い時には、ちゃんと話を聞いて、慰めてくれる。だから、俺は、竜神様と離れる未来なんて、欠片も想像していなかった。
「一緒に、か……そう、できたら良いけど、ね」
寂しそうにそう言う竜神様は、この土地を離れることができないらしい。理由を聞いても、はぐらかされてしまうため、いつか、きっと、原因を突き詰めて、竜神様と世界を旅するのが夢だった。
辛いことが多くとも、平穏な日々を送っていた俺は、それが、脆く、崩れやすいものだなんて、思ってもみなかった。
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俺が向かった場所は、竜神様の像が奉られている教会……ではなく、誰も寄りつかない、雪でできた大きな洞穴の中だった。そこに居たのは、俺と同じ、黒目黒髪の美しい男性。そのあまりの美しさに、俺は、初めて出会った時、すぐにこの方が竜神様なのだと思えた。
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「竜神様っ、俺も、冒険者になれるかなぁ?」
絵本を読み聞かせてもらった子供がするように、俺は、この場所でだけは、愛し子ではなく、ただの子供として、瞳を輝かせることができた。
「あぁ、もちろん。でも、それには、ちゃんと体づくりをして、健やかに成長しなければね?」
「うんっ、そうしたら、竜神様と一緒に、色々お出かけできるねっ」
この時の俺は、本当に、竜神様のことが大好きだった。両親からもらえない愛情を、友人からもらえない愛情を、竜神様はしっかりと与えてくれるのだ。間違えた時に叱るのだって、鞭や魔法を使ったりなんかしない。ちゃんと、俺の目を見て、言い聞かせて、反省するように促してくれる。疲れた時には、一緒にお昼寝をしてくれるし、辛い時には、ちゃんと話を聞いて、慰めてくれる。だから、俺は、竜神様と離れる未来なんて、欠片も想像していなかった。
「一緒に、か……そう、できたら良いけど、ね」
寂しそうにそう言う竜神様は、この土地を離れることができないらしい。理由を聞いても、はぐらかされてしまうため、いつか、きっと、原因を突き詰めて、竜神様と世界を旅するのが夢だった。
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