悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第二章 少女期 瘴気編

第二百九十七話 竜神の事情2

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 そんな、遥か昔の約束に縛られていた彼は、ある日、それが緩んでいることに気づく。


「最初は、それがどういうことなのか、はっきりとは分かっていませんでした。もしかしたら、ローランの今までの不遇によって、約束が果たされていないということになりかけているのかもしれない。そう、思っていました」


 動けるようになった邪神は、すぐに、ローランを捜したらしいが、見つからず、いよいよ、何かあったのではないかと思い始めたらしい。


「ローランが私のところに来ないことなど、よくあることではありましたが、その時ばかりは、異常だと判断して、とにかくどこかに隠されているのだろうかと、力が続く限り捜したのですが、拘束が緩んだといっても、完全ではなく、まだ、捜せる範囲は狭いままでした」


 そうして、数日経ったある日。邪神は、唐突に、ローランの居場所を把握できる力を取り戻す。そして、ローランが死にかけていることも、ボロボロで、食事も与えられていないことも、国から放り出されようとしていたことも知って、とにかく、ローランの元に駆けつけた。


「死にかけのローランを助けるために、まだ万全ではなかった私は、力の限りを尽くしました。それでようやく、ローランの傷を癒し、死の淵から救い上げ、安全な場所に送ることはできましたが……代償も、ありました」


 そう言うと、邪神は悲しそうな表情でローランを見つめる。


「もしかして、俺が、竜神様を覚えていなかったのって……」

「はい、代償は、ローランの私に関する記憶と、当分の間、私自身が動けなくなるというものでした」


 だから、邪神は、目が覚めた時、ローランの反応が消えていて、混乱したそうだ。目覚めたばかりで、ろくに動けないままに必死に捜せば、ローランが、どのような人生を送ったのかを知り、絶望して、次に、復讐を企てるようになった。


「私の心が闇に堕ちた瞬間、私は、莫大な力を手に入れました。そうして、ローランを迫害した世界など、滅ぼしてしまおうと、様々なことを、行ってきました」


 この国を標的にしたのは、どうやら、私という他の神の愛し子が居たかららしい。力ある女神の愛し子は、敵対すれば厄介な相手ではあるものの、取り込んでしまえば、世界を滅ぼすための大きな起爆剤にできるようで、そのために、私は、記憶を操作されたのだそうだ。


「でも、それなら、なぜ、魔王はあなたの力を持っていたの? 魔王が存在したのは、ローランが封じられるより、随分と昔のことのはずなんだけど」


 そんな質問に、邪神は、少し考えた後、答えを口にした。
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