悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第三章 少女期 女神編

第三百四十八話 人の子?(ロード視点)

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 確かに、人の子にしては、その身の内に宿す魔力は膨大だと思っていた。恐らくは、その力だけで神に匹敵するだろうと思えるほどのものを宿す、私とローランの救世主。彼女と、そして、彼女の婚約者であり、一時期、私の弟になっていた第二王子。この二人は、きっと、神に太刀打ちできると思える存在ではあった。しかし……まさか、明らかに神に歯向かったであろう者達が認める魂を持つ者だなどと、誰が思うだろう。


「ちょっと、あの子達って、人間よね?」

「え、えぇ……その、はずです」


 人間が、神に関わるというのは並大抵のことではない。そして、人間が、神に匹敵する力を有するのも、並大抵のことではない。


「ワタシには、魂までは見えないけど、あの子達、かなり特殊な形とかしてるんじゃないの?」

「いえ、魂の形そのものは、神も人も変わりませんよ。ただ、その質が違うだけで」

「え? そうなの?」

「えぇ、そうです」


 もっと言うのであれば、全ての生き物の魂の形は同じだ。魂はその大きさが全て決まっており、その性質のみが、それぞれの生き物を表わし、力の強さを決定する。


「神といえど、詳しく検査を行わなければ、魂の質を確認することはできません。ですので、はっきりしたことは言えませんが……」


 『恐らくは、ユミリア様とイルト殿下は、人間を逸脱した質を持っているのでしょう』と告げれば、エイリーンはその目を細める。


「ねぇ、ミーシャとかいう人間が拐われたことと、今の話、関係あると思う?」

「……何とも言えませんね」


 『反逆者の魂、侵食について』という項目を読み上げてもらった私達は、きっと、もっと別のことを考えるべきだとは思う。しかし、今は私もエイリーンも、現実から目を逸らしたい気持ちでいっぱいだった。

 ユミリア様の読み上げた内容は、ユミリア様が理解できずとも、私には十分に理解できるものだった。エイリーンに関しては、八割くらいの理解度だったかもしれないが、それでも、私達の理解の方が早かったのは確かだ。










「『反逆者とされる我らの魂は、常に器を見つけるべく移動する。そして、いずれは器そのものとなる。いつしか、あの方々を迎えるために、何度も、何度でも。止める方法は唯一。讃えること。あの方々への礼讃を、音に、力に、月に沿わせて、太陽を飲み込んで、古き言霊を紡ぐこと。なれば、我らは留まろう。その約束が果たされることを信じて』って、どういう意味??」


 そう尋ねるユミリア様は、そこに描かれている模様も再現して見せてくれて、それが本物の古代魔法のための術式だと気づけた。反逆者達の目的が透けて見える中、私は、ただ魂の侵食を止める方法として、日食が起こるその日に魔力を捧げ、礼讃の歌を三人以上で歌うことが必要なのだと話した。都合よく日食が起こるはずもないし、魔力は何とかなるにしても、礼讃の歌は複雑で、全てを覚え、歌えるようになるまで数年を要する。私は歌えるが、エイリーンは無理。時間も足りないとなれば、終わりだと思った。それなのに……。


「うふふ、日食が始まっちゃってるわぁ。……すごいわねぇ」

「エイリーン、見ない方が良いですよ。色々と……折れてしまうでしょうから」

「何いってんの? もう、とっくに、バッキバキよ?」


 ユミリア様は……何をどうしたのか、日食を人工的に起こしてみせて、膨大な魔力と、難関であった礼讃の歌を一人で・・・三人分・・・捧げてみせている。


「うふふふ、うふふふふふふ」


 壊れたような笑い声をあげ続けるエイリーンに、私は、もう、何も言葉をかけられなかった。
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