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しおりを挟むスピカ先生どこにいるのかな?
レイヴィンたちが帰ったってことは多分もう教室にはいないだろうし、うーん、、
とりあえず、職員室に行ってみようかな。
……ん? あの後ろ姿、ロザリアだ。
先生の場所、知ってるかも。聞いてみよ。
「ロザリア?……何してるんだろう?」
その背中は、どこか張りつめて見えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私はなぜか罪をなすりつけてきた令嬢たちに呼び出されてしまった。
前世の記憶を取り戻してから、もう十年。
この世界が『恋の魔法を君に』というゲームの中で、
そして私が悪役令嬢ロザリア・カルミアに転生していることも知った。
でも……そんなことは関係ない。
いじめられ、家から出られず、病気になり、呆気なく死んだ前世。
今世こそは、友達を作ろうと決めていた。
それなのに――
やっぱり私は、誰かと並んで笑う側にはなれない。
「何かようですか?」
「ここ、あまり人が来ないんですって」
「そう、ですか」
何のために呼んだのかわかった気がする。
「あなた、今日何をしたかわかってらっしゃる?」
「……」
「あなたが従っていれば、あんな平民すぐ消せたのに!」
「……意味がわからない」
「うるさい!」
そのまま後ろに押されてしまった。
「痛っ」
転んだ先に小枝が落ちていたのか腕を切ってしまった。
そう、これはただの八つ当たり。
きっと何もかもうまくいかなかった時に、当たる相手がたまたま私だっただけ。
魔力を溜め始めている。
この人は、怒るとすぐに魔法に頼ろうとする。
昔からいじめられてきたせいで、相手の癖を見ることだけは上手くなった。
そのまま魔力が弾ける。
次の瞬間、それはまっすぐ私に向かってきた。
また、か。
どうして私は、こういう時にうまく逃げられないんだろう。
せめて、痛みだけなら我慢できる。
そう思って目を閉じた。
爆発音がした。
衝撃は、来ない。
……?
恐る恐る目を開けると、
そこに立っていたのは――ニコだった。
「……え?」
驚いたのは私だけじゃないみたいだ。
令嬢たちはもっと驚いている。
「ニ、ニコ!」
「ねぇ、ロザリア。スピカ先生どこにいるか知らない?」
「えっと……たぶん資料室だと思うけど。」
「ほんと? ありがとう!
……って、腕切れてない? 大丈夫?」
「う、うん……大丈夫。」
まるで私たちしかいないみたいに話すニコに戸惑ってしまう。
「何を二人で話しているの!」
案の定、令嬢たちは声を荒げた。
「スピカ先生の場所を聞いてただけだよ。」
「は?今の状況を理解しているの?」
「もちろん。八つ当たり、してるんでしょ?」
「八つ当たりなんてしてないわ!
その女が邪魔をしたのよ!」
「ふーん、そっか、じゃあ私たちはこれで、ロザリア、行こー」
「えっ、あ、うん」
「ちょっと! 待ちなさいよ!」
「もう、なに?私、時間ないんだけど。ロザリア、あれ言って。」
視線だけで合図される。
あれって何?
一瞬だけ迷う。
でも、ニコは迷っていなかった。
えっ? なに?
私は……えっと、普通の家の……あ。
そういうこと?
「わ、私は公爵家カルミアの娘よ! 身分差を考えなさい!」
「そうそれ!」
「なっ!」
令嬢たちが怯んだ、その瞬間。
ギュッと手を握られた。
あたたかい。
「そういうことだからじゃあね~。ほら、行こ!」
そのまま人通りの多い廊下まで連れて行ってくれた。
「あー、危なかった。腕大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「私、回復魔法使えないから……自分でかけられる?」
「うん、使えるよ」
「よかった~」
ニコって、回復魔法使えないんだ。……珍しい。
「あっ!あとさ、どうして身分が高いのに何もしないの?家の名前出せば、一瞬で黙るでしょ?」
「その……今まで、自分が公爵家ってこと忘れてた。」
「……」
一瞬だけ、ニコの目が丸くなる。
「ふ、ふふ……忘れてたの? 公爵家だって」
「う、うん、ずっと。」
肩を震わせながら、とうとう吹き出した。
「ちょっと!そんなに笑わないでよ!」
「ははっ……いや、ごめん。ちょっと予想外で」
ひとしきり笑って、
ニコはぱっと表情を切り替えた。
「あ、やば。ほんとに時間ないんだった」
「じゃあ私これからスピカ先生のところに行かないといけないからまた明日ね」
「うん、助けてくれてありがとう」
「全然!またね~」
そう言って手を振り資料室に向かって行った。
本当に、アニメのヒーローみたいだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あの性格ブス全く懲りない奴だな。
私がいなかったらロザリア怪我してたぞ。
……間に合ってよかった。
ちょっと私、アニメのヒーローっぽかったかも。
そういえば、本当にロザリアって悪役令嬢なのか?ゲームでは何かと公爵家だから!って威張ってたのに、やっぱり現実だと変わるんだな。
さあ、早く資料室に行かないと。
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