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第59話「夏休みについて(25)」
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キャンプサイトから荷物を持って調理場へ移動した俺たちは、早速朝食の準備に移った。
まずはクーラーボックスからパックのご飯を取り出し、それを沸騰したお湯に入れて温める。
その間に買っておいたベーコンとソーセージを鉄板の上で焼き、パチパチと油が弾ける音を聞きながら、インスタントスープも並行して作っていく。
そして、加熱したパックご飯の蓋を剥がし、紙皿にこんがりと焦げ目のついた香ばしい香りを放つベーコンとソーセージを乗せ、それぞれの座っている席の前に並べると、全員で手を合わせて出来上がった朝食を食べ始めた。
清々しい朝の空気と光、元気に青空を飛び回る小鳥たちのさえずりを全身で感じながら食べる朝食は、まさに格別だった。
昨日のバーベキューといい、今朝の朝食といい、外で食べる料理はいつもより2割り増しで美味く感じることから、俺はこれを『自然に囲まれて料理を食べるといつもより美味く感じる法則』略して『自囲美の法則』と名付けることにした。
そんなことを考えているうちに、他の3人はもうほとんど食べ終わっていたため、俺も急いで朝食を口に運んだ。
朝食を食べ終えた後、使用した鉄板を洗剤で洗い、ゴミを捨て、しっかりと使う前の状態に戻してから調理場を後にした。
その後、荷物を持って管理棟へ向かうと、受付で秀一の叔母さんが俺たちに気付き、挨拶を投げかけてきた。
「あら、おはよう。昨日は楽しめた?」
柔和な笑みを浮かべる叔母さんは昨日と同じように首元にタオルをかけている。
「はい! 景色が凄く綺麗で感動しました! 是非、また来させて貰いますね!」
叔母さんの問いかけに朝霧が太陽のような笑顔を浮かべて答える。
「渓流釣り場も展望台から見る景色も、夜の星空もとっても綺麗でした。私もまたここに来たいと思います」
朝霧に続いて榊原も口を開いた。
「楽しんでもらえたらようで良かったわ。是非また遊びに来てちょうだいね。それじゃ、お父さん呼んでくるから少しここで待っててね」
そう言って叔母さんは精悍な顔立ちの叔父さんを呼ぶため、受付の奥へと歩いていった。
そしてしばらくすると、紺色のTシャツの袖から浅黒く日に焼けた太い腕を伸ばす叔父さんを連れて、叔母さんが戻ってきた。
「おぉう!! 昨日はどうだった! 満喫出来たか!?」
叔母さんの優しく包むような声とは対照的に、力強く、体の軽い朝霧と榊原が吹き飛ばされてしまうのではと思うほどの迫力を持った声で叔父さんが尋ねてきた。
少々怯みながらも、今度は秀一が口を開く。
「う、うん! すっげぇ楽しめたよ!! 景色も綺麗だったし、施設内もちゃんと管理が行き届いてて大満足!叔父さん、叔母さん、今回は招待してくれてありがとね!」
秀一は両腕を忙しなく動かしながら感想を口にした。
俺はそんな秀一をみて、人懐っこい犬がブンブンと尻尾を振り回しているところをイメージした。
「この度はご招待いただき、本当にありがとうございました。ほたる市にはここまで自然に囲まれた所は無いので、とても新鮮な気分になりました。よろしかった俺も、またみんなでここにキャンプをしに来たいと思います」
秀一の後に続いて、俺も秀一の叔父夫婦に感想と礼を述べた。
すると、叔父さんは「ダッハッハッハ!!」と口を大きく開けて笑い、
「そんなにかしこまらなくてもいい!いつでも来い!! こっちも客に喜んでもらえるのが何より嬉しい事だからなァ!!」
と、俺と秀一の頭を熊のような大きな手でガシガシと撫で回した。
叔父さんのその大きな手には、不安や悩みと言ったちっぽけなものを全て取り払ってくれるような、そんな安心感があった。
俺はボサボサになった髪を手で直しながら、もう一度礼を言って頭を下げた。
***
管理棟で秀一の叔父夫婦に挨拶を済ませた俺たちは、キャンプ場に来た時と同じように、叔母さんの運転する車でほたる市まで乗せていってもらう事にした。
駐車場に停めてある車に乗り込むと、息苦しさすら覚えるような熱気が伝わってくる。
「ごめんねぇ~、今冷房つけるから少し我慢してね」
運転席に座った叔母さんもこの熱気にやられたのか首にかけたタオルで額に滲む汗を拭いながら、車のエンジンをかけ、冷房のスイッチを押す。
すると、送風音と共に冷気が車内に入ってくる。
冷房機から送り込まれる冷気と、それに乗って車内に充満するベルガモットの芳香剤の香りで、幾分か涼しく感じるようになったところで、叔母さんがアクセルを踏み、車を発進させた。
車はキャンプ場の駐車場を出て緩い坂を下り、木々に囲まれた車道をほたる市に向かって走り出した。
車道出たところで、秀一が運転席の叔母さんに向かって口を開いた。
「叔母さん、今回は本当にありがとう。高1の夏にふさわしいいい思い出になったよ! 来年の夏もみんなでキャンプ行くからね!」
「うふふっ、こちらこそうちのキャンプ場を思い出作りの場として使ってくれてありがとねぇ。お父さんもみんなが来てくれて本当に喜んでたんだから」
ミラー越しにそう言って嬉しそうに微笑む叔母さんの顔が見えた。
「それにしても、星空すごい綺麗だったよねー! 星座とか勉強しておけば良かったなー」
「来年はみんなで星座を覚えて、あの星空を眺めましょうね」
前の席で朝霧と榊原が楽しそうに話すのを聞きながら、俺も来年までにある程度の星座を覚えられるようになっておこうと、1人静かに決意した。
それからしばらく秀一の叔母さんを交えて他愛の無い話を続け、気がつけば時雨町を抜けて、車はほたる市へと入っていた。
見慣れたはずのほたる市の風景も経った1日離れただけで、なんだかとても久しぶりのように感じる。
「なんだか久しぶりに帰ってきた感じだよなー」
秀一の呟きに朝霧と榊原も「わかるー!」だの「そうね」だのと頷きながら答える。
どうやらみんなも俺と同じだったようだ。
そうして車はどんどんと進んでいき、あっという間にほたる駅に着いてしまった。
行きはそれなりに長く感じたのに、帰りは驚くほど短く感じるのは何故なのだろう。
まぁ、行きは途中で買い物をしたからというのもあるが、それ以外にも気持ち的な面で何か関係しているように思えた。
「はーい、着いたよ」
叔母さんは昨日俺たちを車に乗せたのと同じ所に車を停め、シートベルトを外して言った。
「送迎、ありがとうございました!」
朝霧はスライド式のドアを開けると、運転席の叔母さんに向かって一言礼を言って、車から降りた。
朝霧に続いて榊原、俺、秀一の順で叔母さんに礼を言いながら車を降りていくと、叔母さんはそれらに対し「はーい、どういたしまして」と優しく柔らかい口調で答えていく。
冷房の効いた車内から降りると、外は先ほどよりも気温が上がっており、アブラゼミの大合唱と相まって余計に暑く感じる。
空に輝く鮮烈とした太陽を掌で隠しながらそんなことを思っていると、助手席の窓を開けて、運転席から叔母さんが顔を覗かせた。
「それじゃあみんな、残りの夏休みも思う存分楽しんでね。来年、またキャンプ場で会えるのを楽しみにしてるよ」
叔母さんはそう言って助手席の窓を閉めるとアクセルを踏み、キャンプ場へ向かって車を走らせていった。
俺たちは赤く光るテールランプが遠ざかって行くのを、静かに見送っていた。
「よっし! それじゃあせっかくだし、みんなで昼飯でも食って帰ろうぜ!」
叔母さんの車が見えなくなったところで、秀一が俺たちの方を向いて提案した。
「いいねー! ファミレス寄って行こーよ! 麗ちゃんも羽島も行くでしょ?」
秀一の提案に朝霧が真っ先に賛同する。
「えぇ、もちろん!」
「俺も行くよ。腹も減ったし喉もカラカラだ」
朝霧に尋ねられた俺と榊原は同じようにその提案に賛成した。
「んじゃ、早速行こーぜ!」
秀一はそう言って駅のすぐ近くにあるファミレスへ向かって歩き出すと、その後ろについて俺たちも歩き出した。
***
こうして、夏休み2つ目のイベントが幕を閉じた。
ファミレスに着いたら、秀一が次のイベントについて話し出すに違いない。
次は一体、どんなイベントを企画してくれるのだろうか。
俺はそんな期待を持ちながら、太陽の光が反射するアスファルトの上を、1歩1歩ゆっくりと歩き進めていった——。
まずはクーラーボックスからパックのご飯を取り出し、それを沸騰したお湯に入れて温める。
その間に買っておいたベーコンとソーセージを鉄板の上で焼き、パチパチと油が弾ける音を聞きながら、インスタントスープも並行して作っていく。
そして、加熱したパックご飯の蓋を剥がし、紙皿にこんがりと焦げ目のついた香ばしい香りを放つベーコンとソーセージを乗せ、それぞれの座っている席の前に並べると、全員で手を合わせて出来上がった朝食を食べ始めた。
清々しい朝の空気と光、元気に青空を飛び回る小鳥たちのさえずりを全身で感じながら食べる朝食は、まさに格別だった。
昨日のバーベキューといい、今朝の朝食といい、外で食べる料理はいつもより2割り増しで美味く感じることから、俺はこれを『自然に囲まれて料理を食べるといつもより美味く感じる法則』略して『自囲美の法則』と名付けることにした。
そんなことを考えているうちに、他の3人はもうほとんど食べ終わっていたため、俺も急いで朝食を口に運んだ。
朝食を食べ終えた後、使用した鉄板を洗剤で洗い、ゴミを捨て、しっかりと使う前の状態に戻してから調理場を後にした。
その後、荷物を持って管理棟へ向かうと、受付で秀一の叔母さんが俺たちに気付き、挨拶を投げかけてきた。
「あら、おはよう。昨日は楽しめた?」
柔和な笑みを浮かべる叔母さんは昨日と同じように首元にタオルをかけている。
「はい! 景色が凄く綺麗で感動しました! 是非、また来させて貰いますね!」
叔母さんの問いかけに朝霧が太陽のような笑顔を浮かべて答える。
「渓流釣り場も展望台から見る景色も、夜の星空もとっても綺麗でした。私もまたここに来たいと思います」
朝霧に続いて榊原も口を開いた。
「楽しんでもらえたらようで良かったわ。是非また遊びに来てちょうだいね。それじゃ、お父さん呼んでくるから少しここで待っててね」
そう言って叔母さんは精悍な顔立ちの叔父さんを呼ぶため、受付の奥へと歩いていった。
そしてしばらくすると、紺色のTシャツの袖から浅黒く日に焼けた太い腕を伸ばす叔父さんを連れて、叔母さんが戻ってきた。
「おぉう!! 昨日はどうだった! 満喫出来たか!?」
叔母さんの優しく包むような声とは対照的に、力強く、体の軽い朝霧と榊原が吹き飛ばされてしまうのではと思うほどの迫力を持った声で叔父さんが尋ねてきた。
少々怯みながらも、今度は秀一が口を開く。
「う、うん! すっげぇ楽しめたよ!! 景色も綺麗だったし、施設内もちゃんと管理が行き届いてて大満足!叔父さん、叔母さん、今回は招待してくれてありがとね!」
秀一は両腕を忙しなく動かしながら感想を口にした。
俺はそんな秀一をみて、人懐っこい犬がブンブンと尻尾を振り回しているところをイメージした。
「この度はご招待いただき、本当にありがとうございました。ほたる市にはここまで自然に囲まれた所は無いので、とても新鮮な気分になりました。よろしかった俺も、またみんなでここにキャンプをしに来たいと思います」
秀一の後に続いて、俺も秀一の叔父夫婦に感想と礼を述べた。
すると、叔父さんは「ダッハッハッハ!!」と口を大きく開けて笑い、
「そんなにかしこまらなくてもいい!いつでも来い!! こっちも客に喜んでもらえるのが何より嬉しい事だからなァ!!」
と、俺と秀一の頭を熊のような大きな手でガシガシと撫で回した。
叔父さんのその大きな手には、不安や悩みと言ったちっぽけなものを全て取り払ってくれるような、そんな安心感があった。
俺はボサボサになった髪を手で直しながら、もう一度礼を言って頭を下げた。
***
管理棟で秀一の叔父夫婦に挨拶を済ませた俺たちは、キャンプ場に来た時と同じように、叔母さんの運転する車でほたる市まで乗せていってもらう事にした。
駐車場に停めてある車に乗り込むと、息苦しさすら覚えるような熱気が伝わってくる。
「ごめんねぇ~、今冷房つけるから少し我慢してね」
運転席に座った叔母さんもこの熱気にやられたのか首にかけたタオルで額に滲む汗を拭いながら、車のエンジンをかけ、冷房のスイッチを押す。
すると、送風音と共に冷気が車内に入ってくる。
冷房機から送り込まれる冷気と、それに乗って車内に充満するベルガモットの芳香剤の香りで、幾分か涼しく感じるようになったところで、叔母さんがアクセルを踏み、車を発進させた。
車はキャンプ場の駐車場を出て緩い坂を下り、木々に囲まれた車道をほたる市に向かって走り出した。
車道出たところで、秀一が運転席の叔母さんに向かって口を開いた。
「叔母さん、今回は本当にありがとう。高1の夏にふさわしいいい思い出になったよ! 来年の夏もみんなでキャンプ行くからね!」
「うふふっ、こちらこそうちのキャンプ場を思い出作りの場として使ってくれてありがとねぇ。お父さんもみんなが来てくれて本当に喜んでたんだから」
ミラー越しにそう言って嬉しそうに微笑む叔母さんの顔が見えた。
「それにしても、星空すごい綺麗だったよねー! 星座とか勉強しておけば良かったなー」
「来年はみんなで星座を覚えて、あの星空を眺めましょうね」
前の席で朝霧と榊原が楽しそうに話すのを聞きながら、俺も来年までにある程度の星座を覚えられるようになっておこうと、1人静かに決意した。
それからしばらく秀一の叔母さんを交えて他愛の無い話を続け、気がつけば時雨町を抜けて、車はほたる市へと入っていた。
見慣れたはずのほたる市の風景も経った1日離れただけで、なんだかとても久しぶりのように感じる。
「なんだか久しぶりに帰ってきた感じだよなー」
秀一の呟きに朝霧と榊原も「わかるー!」だの「そうね」だのと頷きながら答える。
どうやらみんなも俺と同じだったようだ。
そうして車はどんどんと進んでいき、あっという間にほたる駅に着いてしまった。
行きはそれなりに長く感じたのに、帰りは驚くほど短く感じるのは何故なのだろう。
まぁ、行きは途中で買い物をしたからというのもあるが、それ以外にも気持ち的な面で何か関係しているように思えた。
「はーい、着いたよ」
叔母さんは昨日俺たちを車に乗せたのと同じ所に車を停め、シートベルトを外して言った。
「送迎、ありがとうございました!」
朝霧はスライド式のドアを開けると、運転席の叔母さんに向かって一言礼を言って、車から降りた。
朝霧に続いて榊原、俺、秀一の順で叔母さんに礼を言いながら車を降りていくと、叔母さんはそれらに対し「はーい、どういたしまして」と優しく柔らかい口調で答えていく。
冷房の効いた車内から降りると、外は先ほどよりも気温が上がっており、アブラゼミの大合唱と相まって余計に暑く感じる。
空に輝く鮮烈とした太陽を掌で隠しながらそんなことを思っていると、助手席の窓を開けて、運転席から叔母さんが顔を覗かせた。
「それじゃあみんな、残りの夏休みも思う存分楽しんでね。来年、またキャンプ場で会えるのを楽しみにしてるよ」
叔母さんはそう言って助手席の窓を閉めるとアクセルを踏み、キャンプ場へ向かって車を走らせていった。
俺たちは赤く光るテールランプが遠ざかって行くのを、静かに見送っていた。
「よっし! それじゃあせっかくだし、みんなで昼飯でも食って帰ろうぜ!」
叔母さんの車が見えなくなったところで、秀一が俺たちの方を向いて提案した。
「いいねー! ファミレス寄って行こーよ! 麗ちゃんも羽島も行くでしょ?」
秀一の提案に朝霧が真っ先に賛同する。
「えぇ、もちろん!」
「俺も行くよ。腹も減ったし喉もカラカラだ」
朝霧に尋ねられた俺と榊原は同じようにその提案に賛成した。
「んじゃ、早速行こーぜ!」
秀一はそう言って駅のすぐ近くにあるファミレスへ向かって歩き出すと、その後ろについて俺たちも歩き出した。
***
こうして、夏休み2つ目のイベントが幕を閉じた。
ファミレスに着いたら、秀一が次のイベントについて話し出すに違いない。
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