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第4唱 ラピスにメロメロ
新たなウワサ 1
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女の子たちは興奮を隠さず、意味不明の甲高い声を上げながらラピスを指差してきた。
「ほら、あの子よあの子! 例の大魔法使い様のお弟子さんのっ」
「やだ可愛いっ、天使じゃん! 抱っこされてるしー!」
「アシュクロフト様、めっちゃ大事にしてる……! やっぱ愛なのね。愛する人の愛弟子だから、よりいっそう大事にしてるのね。どうしよう尊い!」
「ああ、わたしもアシュクロフト様の逞しい腕に抱っこされたい!」
「あんたじゃ絵にならないから却下だ」
「なんだとこのやろう」
何を騒がれているのかわからず、ジークの腕から降りることも忘れてボーッとしていると、「ラピスくん、久し振り!」と騎士のひとりから声をかけられた。
「オレたちのことおぼえてくれてるかな? シグナス森林から少しのあいだ一緒だった……」
「あ、お久し振りですっ!」
シグナス森林で古竜と会ったとき、一緒にいた騎士たちだった。
ギュンターやヘンリックと入れ替わりに王都に戻ったが、ラピスを護衛したかったと別れを惜しんでくれたのが嬉しかったので、よくおぼえている。
再会を約束していたけれど、こんなに早く叶うとは思わなかった。
「その節はお世話になりました」
ジークの肩に手をかけたままぺこりと頭を下げると、満面の笑顔が返ってきた。
「いやあ、相変わらず可愛いなぁ。和むー」
「団長、抱っこ代わりましょう。ていうか代わらせてください」
「……宿に行くぞ……」
部下の言葉を聞き流して歩き出したジークに、ひとりの騎士が呟く。
「でもそうしていると、噂に信憑性が……」
別の騎士が「しっ!」とあわてて遮ったが。
「……噂?」
目をすがめたジークがラピスごと振り返ったので、馬を引き渡していたギュンターやディードたちが走ってくるのがラピスの視界に入った。
三人はすぐに騎士らに追いつき、耳聡いギュンターが背後から「噂ってなんのこと?」と興味津々で話しかけると、驚いた騎士たちが「うわっ!」と跳び上がった。
「お、驚かさないでくださいよ副団長!」
「なに大げさに驚いてんの。聞かれるとヤバイ噂なの?」
「え……いや、その……」
視線を泳がせる騎士に、「なになに~?」とギュンターが詰め寄る。
が、そのときラピスがクシュンとくしゃみをしたので、ジークは話より宿に入ることを優先したらしく、長い脚でぐいぐい歩いて、あっという間に門前に到着した。
おかげで降ろしてもらう機会を失い、あわてて追いかけてくるディードたちや、こちらを見てキャーキャー言う女性たちを、ジークの肩越しに見下ろしながら移動したのだが……。
どうやら、さっさと降ろしてもらうべきだったようだ。
立派な宿に部屋を用意してもらい、久し振りにゆったりと湯浴みができて、美味しく食事もいただいて、あとは気持ちよく眠るだけという安らぎの時間。
ラピスら少年三人組が、部屋に運ばれてきたホットミルクを受け取ったとき、隣室からギュンターが爆笑する声が聞こえてきた。
「今の、副団長の声だよな?」
怪訝な顔のヘンリックにうなずいて、ラピスら三人は隣室へ向かった。
鍵はかかっておらず、話し声から、先刻の騎士たちも一緒なのだとわかった。
騎士たちは三人が入ってきたことに気づかず、腹を抱えて笑うギュンターと、いつも以上に表情が読めないジークとを、おろおろしながらなだめていた。
「そんなに笑っちゃ悪いですよ、副団長!」
「そ、そうですよ、そんなに……笑っちゃ……」
言いながら、自分たちも笑いをこらえられなくなったようで、ブフーッ! と盛大に吹き出すや、一緒になって大笑いし始めた。笑っていないのはジークのみだ。
そんなジークに、ギュンターが涙を拭いながら声をかけた。
「すみません団長。でも、だから言ったんですよ、早く相手を決めたほうがいいって。そうしていたら、まさかこんな噂には……だ、団長と、グレゴワール様が、こ、ここ、婚約してるなんて噂には……!」
言うやいなや、部下たちと共に笑い転げている。
久々に緊張が解けて、酒も少々入っているのだろう。
だから――
「お師匠様に、また新たな噂が立っちゃったのですか?」
ラピスは普通に尋ねただけなのに、ジーク以外の全員が跳び上がった。
「ほら、あの子よあの子! 例の大魔法使い様のお弟子さんのっ」
「やだ可愛いっ、天使じゃん! 抱っこされてるしー!」
「アシュクロフト様、めっちゃ大事にしてる……! やっぱ愛なのね。愛する人の愛弟子だから、よりいっそう大事にしてるのね。どうしよう尊い!」
「ああ、わたしもアシュクロフト様の逞しい腕に抱っこされたい!」
「あんたじゃ絵にならないから却下だ」
「なんだとこのやろう」
何を騒がれているのかわからず、ジークの腕から降りることも忘れてボーッとしていると、「ラピスくん、久し振り!」と騎士のひとりから声をかけられた。
「オレたちのことおぼえてくれてるかな? シグナス森林から少しのあいだ一緒だった……」
「あ、お久し振りですっ!」
シグナス森林で古竜と会ったとき、一緒にいた騎士たちだった。
ギュンターやヘンリックと入れ替わりに王都に戻ったが、ラピスを護衛したかったと別れを惜しんでくれたのが嬉しかったので、よくおぼえている。
再会を約束していたけれど、こんなに早く叶うとは思わなかった。
「その節はお世話になりました」
ジークの肩に手をかけたままぺこりと頭を下げると、満面の笑顔が返ってきた。
「いやあ、相変わらず可愛いなぁ。和むー」
「団長、抱っこ代わりましょう。ていうか代わらせてください」
「……宿に行くぞ……」
部下の言葉を聞き流して歩き出したジークに、ひとりの騎士が呟く。
「でもそうしていると、噂に信憑性が……」
別の騎士が「しっ!」とあわてて遮ったが。
「……噂?」
目をすがめたジークがラピスごと振り返ったので、馬を引き渡していたギュンターやディードたちが走ってくるのがラピスの視界に入った。
三人はすぐに騎士らに追いつき、耳聡いギュンターが背後から「噂ってなんのこと?」と興味津々で話しかけると、驚いた騎士たちが「うわっ!」と跳び上がった。
「お、驚かさないでくださいよ副団長!」
「なに大げさに驚いてんの。聞かれるとヤバイ噂なの?」
「え……いや、その……」
視線を泳がせる騎士に、「なになに~?」とギュンターが詰め寄る。
が、そのときラピスがクシュンとくしゃみをしたので、ジークは話より宿に入ることを優先したらしく、長い脚でぐいぐい歩いて、あっという間に門前に到着した。
おかげで降ろしてもらう機会を失い、あわてて追いかけてくるディードたちや、こちらを見てキャーキャー言う女性たちを、ジークの肩越しに見下ろしながら移動したのだが……。
どうやら、さっさと降ろしてもらうべきだったようだ。
立派な宿に部屋を用意してもらい、久し振りにゆったりと湯浴みができて、美味しく食事もいただいて、あとは気持ちよく眠るだけという安らぎの時間。
ラピスら少年三人組が、部屋に運ばれてきたホットミルクを受け取ったとき、隣室からギュンターが爆笑する声が聞こえてきた。
「今の、副団長の声だよな?」
怪訝な顔のヘンリックにうなずいて、ラピスら三人は隣室へ向かった。
鍵はかかっておらず、話し声から、先刻の騎士たちも一緒なのだとわかった。
騎士たちは三人が入ってきたことに気づかず、腹を抱えて笑うギュンターと、いつも以上に表情が読めないジークとを、おろおろしながらなだめていた。
「そんなに笑っちゃ悪いですよ、副団長!」
「そ、そうですよ、そんなに……笑っちゃ……」
言いながら、自分たちも笑いをこらえられなくなったようで、ブフーッ! と盛大に吹き出すや、一緒になって大笑いし始めた。笑っていないのはジークのみだ。
そんなジークに、ギュンターが涙を拭いながら声をかけた。
「すみません団長。でも、だから言ったんですよ、早く相手を決めたほうがいいって。そうしていたら、まさかこんな噂には……だ、団長と、グレゴワール様が、こ、ここ、婚約してるなんて噂には……!」
言うやいなや、部下たちと共に笑い転げている。
久々に緊張が解けて、酒も少々入っているのだろう。
だから――
「お師匠様に、また新たな噂が立っちゃったのですか?」
ラピスは普通に尋ねただけなのに、ジーク以外の全員が跳び上がった。
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