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一行は門をくぐった。
光に包まれ、一瞬で世界が変わった。
潮の匂いのする空気、湿った匂い、そして――祭壇のような場所に置かれた見慣れたビニール袋に入ったお菓子とガラス容器に入ったお酒。
そこは、確かに地球だった。
「地球だ……」
久世が呟いた。
「地球に、戻ってきた」
振り返ると、門は徐々に光を失い始めていた。
「門が……」
サミアが言った。
やがて、門の光は完全に消えた。
二度と開くことのない門。
しかし、その代償で、ユリナスを地球に連れてくることができた。
「急ぎましょう」
瀬崎が言った。
「一刻も早く、医療施設に」
「はい」
一行は洞窟を抜けて、外に出た。
そこには、青い空と青い海が広がっていた。強い日差しが、目に眩しい。
しかし、予想していた自衛隊の姿はなかった。
「おかしいですね……」
久世が周囲を見回した。
「どの門にも誰かが待機しているはずなんですが」
その時、茂みの向こうから人の気配がした。
「あれ?誰かいるさー?」
沖縄弁の声が聞こえた。
五十代くらいの日焼けした男性が現れた。地元の漁師のような姿をしている。
「あんたら……」
男が一行を見て、目を丸くした。
「門を通ってきたのかー?」
男は驚いた様子だったが、どこか慣れているようにも見えた。
「ええ、そうです」
久世が頷いた。
「あの……」
「やっぱりねー」
男が頷いた。
「たまーに、門から人が出てくるんだよねー。最近は見なかったけど」
「え……」
瀬崎が驚いた。
「ご存知なんですか?」
「まあねー。昔からこの島に住んでるからさー」
男が言った。
その時、男がユリナスを乗せた担架に気づいた。
「おや、怪我人がいるのー?」
「はい!」
サミアが前に出た。
「重傷なんです。すぐに病院に行かないと……」
「それは大変だー」
男がすぐに携帯電話を取り出した。
「ちょっと待っててねー。今、連絡するからー」
男が誰かに電話をかけ始めた。沖縄弁で早口に話している。
「はいはい、門からさー。うん、怪我人もいるよー。急いでー」
電話を切った男が、一行に言った。
「すぐに迎えが来るからー。ここで少し待っててねー」
「ありがとうございます」
久世が頭を下げた。
「あの、あなたは一体……」
「俺?俺は島の者さー」
男が笑った。
「門のことは、島の年寄りはみんな知ってるよー。昔からあるからねー」
クロストロフとヨルンヘルムは、地球の一般的な人間と初めて会った。二人とも、不思議そうに男を見ている。
「地球の人は、みんなこんなに親切なのか?」
ヨルンヘルムが小声で久世に尋ねた。
「いえ、これは沖縄の人の特徴かもしれません」
久世が苦笑いした。
二十分ほど待つと、遠くから車のエンジン音が聞こえてきた。
「来たよー」
男が指差した。
やがて、数台の車が姿を現した。その中には、自衛隊の車両も混じっている。
車が止まり、鮎川が飛び出してきた。
「久世さん!瀬崎さん!」
鮎川が駆け寄ってきた。
「無事でしたか!」
「はい。私たちは」
久世が頷いた。
「ただ、ユリナスが酷い怪我を、早く病院に」
「えっ」
鮎川の表情が変わった。
「わかりました。医療チーム!」
鮎川が医療チームに指示を出した。
白衣を着た医師たちが、すぐにユリナスの状態を確認し始めた。
「仮死状態……」
一人の医師が呟いた。
「しかし、まだ生命反応があります。急いで搬送を」
ユリナスが車両に運び込まれた。
サミアも乗り込もうとしたが、鮎川が止めた。
「サミアさん、あなたはこちらの車で私たちと一緒に来てください」
「はい」
サミアが頷いた。
クロストロフとヨルンヘルムも同じ車に乗り込んだ。
「私たちも行きます」
李教授たちは、別の車両に案内された。
「李教授たちは、検疫のため別施設に」
鮎川が説明した。
「ご協力をお願いします」
「わかりました」
李教授が頷いた。
車両が動き出す前に、久世が島の男のもとに戻った。
「本当にありがとうございました」
「いいのいいのー」
男が手を振った。
「困った時はお互い様さー。それに、門から来た人を助けるのは、島の掟みたいなもんだからねー」
「島の掟……」
「そうそう。昔からそうなってるのさー。俺も陰陽だかんねー」
男が笑った。
「気をつけて行ってねー」
久世が深々と頭を下げ、車に乗り込んだ。
車両が走り出した。
島の男は、車が見えなくなるまで手を振り続けていた。
長い旅が、ついに終わった。
しかし、本当の戦いは、これからだった。
地球の医学は、アークの力が残留する傷を治すことができるのか。
そして、ユリナスは目覚めることができるのか。
すべては、これからの数時間にかかっていた。
光に包まれ、一瞬で世界が変わった。
潮の匂いのする空気、湿った匂い、そして――祭壇のような場所に置かれた見慣れたビニール袋に入ったお菓子とガラス容器に入ったお酒。
そこは、確かに地球だった。
「地球だ……」
久世が呟いた。
「地球に、戻ってきた」
振り返ると、門は徐々に光を失い始めていた。
「門が……」
サミアが言った。
やがて、門の光は完全に消えた。
二度と開くことのない門。
しかし、その代償で、ユリナスを地球に連れてくることができた。
「急ぎましょう」
瀬崎が言った。
「一刻も早く、医療施設に」
「はい」
一行は洞窟を抜けて、外に出た。
そこには、青い空と青い海が広がっていた。強い日差しが、目に眩しい。
しかし、予想していた自衛隊の姿はなかった。
「おかしいですね……」
久世が周囲を見回した。
「どの門にも誰かが待機しているはずなんですが」
その時、茂みの向こうから人の気配がした。
「あれ?誰かいるさー?」
沖縄弁の声が聞こえた。
五十代くらいの日焼けした男性が現れた。地元の漁師のような姿をしている。
「あんたら……」
男が一行を見て、目を丸くした。
「門を通ってきたのかー?」
男は驚いた様子だったが、どこか慣れているようにも見えた。
「ええ、そうです」
久世が頷いた。
「あの……」
「やっぱりねー」
男が頷いた。
「たまーに、門から人が出てくるんだよねー。最近は見なかったけど」
「え……」
瀬崎が驚いた。
「ご存知なんですか?」
「まあねー。昔からこの島に住んでるからさー」
男が言った。
その時、男がユリナスを乗せた担架に気づいた。
「おや、怪我人がいるのー?」
「はい!」
サミアが前に出た。
「重傷なんです。すぐに病院に行かないと……」
「それは大変だー」
男がすぐに携帯電話を取り出した。
「ちょっと待っててねー。今、連絡するからー」
男が誰かに電話をかけ始めた。沖縄弁で早口に話している。
「はいはい、門からさー。うん、怪我人もいるよー。急いでー」
電話を切った男が、一行に言った。
「すぐに迎えが来るからー。ここで少し待っててねー」
「ありがとうございます」
久世が頭を下げた。
「あの、あなたは一体……」
「俺?俺は島の者さー」
男が笑った。
「門のことは、島の年寄りはみんな知ってるよー。昔からあるからねー」
クロストロフとヨルンヘルムは、地球の一般的な人間と初めて会った。二人とも、不思議そうに男を見ている。
「地球の人は、みんなこんなに親切なのか?」
ヨルンヘルムが小声で久世に尋ねた。
「いえ、これは沖縄の人の特徴かもしれません」
久世が苦笑いした。
二十分ほど待つと、遠くから車のエンジン音が聞こえてきた。
「来たよー」
男が指差した。
やがて、数台の車が姿を現した。その中には、自衛隊の車両も混じっている。
車が止まり、鮎川が飛び出してきた。
「久世さん!瀬崎さん!」
鮎川が駆け寄ってきた。
「無事でしたか!」
「はい。私たちは」
久世が頷いた。
「ただ、ユリナスが酷い怪我を、早く病院に」
「えっ」
鮎川の表情が変わった。
「わかりました。医療チーム!」
鮎川が医療チームに指示を出した。
白衣を着た医師たちが、すぐにユリナスの状態を確認し始めた。
「仮死状態……」
一人の医師が呟いた。
「しかし、まだ生命反応があります。急いで搬送を」
ユリナスが車両に運び込まれた。
サミアも乗り込もうとしたが、鮎川が止めた。
「サミアさん、あなたはこちらの車で私たちと一緒に来てください」
「はい」
サミアが頷いた。
クロストロフとヨルンヘルムも同じ車に乗り込んだ。
「私たちも行きます」
李教授たちは、別の車両に案内された。
「李教授たちは、検疫のため別施設に」
鮎川が説明した。
「ご協力をお願いします」
「わかりました」
李教授が頷いた。
車両が動き出す前に、久世が島の男のもとに戻った。
「本当にありがとうございました」
「いいのいいのー」
男が手を振った。
「困った時はお互い様さー。それに、門から来た人を助けるのは、島の掟みたいなもんだからねー」
「島の掟……」
「そうそう。昔からそうなってるのさー。俺も陰陽だかんねー」
男が笑った。
「気をつけて行ってねー」
久世が深々と頭を下げ、車に乗り込んだ。
車両が走り出した。
島の男は、車が見えなくなるまで手を振り続けていた。
長い旅が、ついに終わった。
しかし、本当の戦いは、これからだった。
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