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もう2度と会いたくなかった
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千葉の柏にある、国立癌研究医療センターの先端医療開発センターに、出向研究員として武田新薬株式会社からきて、新薬開発の研究員として働き始めて2年目。
やっとの事でできあがった新薬。
免疫力を高め癌細胞を小さくする効果があると動物実験で実証され、やっと商品化されたのに……
「外科医の判断で癌細胞が増殖して手がつけられなくなる前にオペするって」
国立癌研究医療センター柏付属病院で内科医として勤める大学時代からの親友、葉山理穂《はやまりほ》ちゃんから、国立癌研究医療センター柏付属病院は薬物療法よりも医療手術ロボット開発に力を入れていて、重症患者に関してはすぐにオペに踏み切ると言われた。
国立癌研究医療センターは癌治療専門の病院で全国から患者が殺到しているため、重症な患者を優先にオペをしていき、軽度の患者に関して薬物療法で症状を抑え、3~4ヶ月待ちの予定手術を行う。
「重症患者に使って、癌細胞を小さくしてから、オペに踏み切って欲しいのに……」
2年かけて進行した癌細胞に効く薬を開発したのに使って貰えなくてがっくししてるわたし。
セブンマートマリオ柏内にあるパスタの専門店で、理穂ちゃんと夕食を食べながら、内科医として医療現場での薬物療法について話を聞き、せっかく開発した新薬が使われない現実にショックを受ける。
「美羽《みう》、デザート頼む?」
「頼む!!イチゴのババロアが食べたい!!」
10歳になる娘の美羽。
大学2年の春に出産した。
母と友人達に子育てを協力して貰いながらなんとか大学修士課程を卒業した。
卒業後2年間は、娘を保育園に預け、母にお迎えなどのサポートをお願いし、武田新薬株式会社の大阪にある研究所に勤め、2年前から娘の美羽を連れて千葉の柏に出てきて母娘協力し合いながら暮らしてる。
美羽を気遣いながら理穂ちゃんと仕事の話をし、食事を終えてパスタの店から出た。
セブンマートマリオ柏の車の駐車場に向かっていると理穂ちゃんが、こっち方向に歩いている男性に指を指してわたしの耳元小で呟く。
「医療手術ロボット魔導師でうちの外科のホープ 瀬川遥翔。
まだ後期研修医なんだけど、医療手術ロボットを使いこなすのが天才的で、癌に関するオペならどんなに難しいオペでも熟す男なんだ。
奥さんが医療手術ロボットを開発してるオリンパシュの御令嬢で、それもあってか、うちの外科、8割方医療手術ロボットがオペしてる。
人工知能搭載で簡単なオペはロボットが判断して先導してくれる優れもののロボットを導入してるから、瀬川先生は天才だけど他の若手がロボット頼りのオペをするようになって、うちの外科医のオペ技量が育ってなくて、うちの外科大丈夫なのかって内科医全員が不安を抱えてるんだ」
理穂ちゃんの言葉を聞きながら、目の前に近づいてくる男を見て、わたしは目を見開いて固まった。
11年経っても忘れる事ができない、かつて愛した人で、わたしを深く傷つけ男嫌いにした男。
美羽の父親で、史上最強最低男な元彼。
小学4年生だけど背が高く、手足が長くすらっとした体型で小顔なのはたぶん父親の血が濃いから。
遥翔の顔を久しぶりに見て思う。
親子だから似ていてもおかしくないけれど美羽の目鼻が整っている端正な顔立ちは遥翔そっくりだと。
美羽を見られたらまずいと美羽が被ってるキャップの帽子を深く被らせた。
「ゲっ、瀬川先生がこっちにくる」
わたしの横で嫌そうに小声で呟く理穂ちゃん。
わたしも同じで、遥翔と会って話なんてしたくない。
今はもう全く関係のない赤の他人だから、理穂ちゃんに用事があって近づいてきてると思い、その場に立ちすくんだ。
「……結月に、葉山」
わたしと理穂ちゃんの前で立ち止まった遥翔。
「結月、瀬川先生と知り合いなの?」
「地元の中高一貫校の同級生なだけ……」
6年付き合っていた恋人だけど、それは過去の話で、別れた時に無理矢理抱かれて処女を喪失し、娘の美羽ができたけど、遥翔は美羽の存在を知らない。
わたしの隣で同じ顔してるのに、遥翔を見て、『カッコいいーー!!』とわたしの耳元で興奮して呟く美羽。
美羽に目をやり、遥翔が目を見開く。
ボーイッシュ系の格好をしてる美羽。
ショートカットの黒髪に、黒のTシャツに白の半パンを合わせ、黒のキャップの帽子を被った格好は中学時代の遥翔にそっくりだ。
遥翔が美羽に近づき顔をじっと見る。
「年と誕生日は?」
「3月3日産まれの10歳」
美羽が遥翔の質問に答え、遥希は頭の中で美羽がわたしの胎内に生まれた日を計算し、俺の子だと認識したようだった。
「……結月、これから少し付き合え。葉山、その子を1時間ほど預かってくれ」
遥翔がいきなりわたしの手を掴み、連れ去る。
美羽と理穂ちゃんは取り残され、戸惑ってた。
美羽が遥翔の血を引く子だとしても、遥翔は医療機器メーカーのオリンパシュの御令嬢と結婚して、子供がいるかは知らないけれど既婚者だ。
だから、今更認知とか求めないし、わたしと美羽に関わらないで欲しいと思うだけだった。
遥翔と2度と会いたくなかった。
やっとの事でできあがった新薬。
免疫力を高め癌細胞を小さくする効果があると動物実験で実証され、やっと商品化されたのに……
「外科医の判断で癌細胞が増殖して手がつけられなくなる前にオペするって」
国立癌研究医療センター柏付属病院で内科医として勤める大学時代からの親友、葉山理穂《はやまりほ》ちゃんから、国立癌研究医療センター柏付属病院は薬物療法よりも医療手術ロボット開発に力を入れていて、重症患者に関してはすぐにオペに踏み切ると言われた。
国立癌研究医療センターは癌治療専門の病院で全国から患者が殺到しているため、重症な患者を優先にオペをしていき、軽度の患者に関して薬物療法で症状を抑え、3~4ヶ月待ちの予定手術を行う。
「重症患者に使って、癌細胞を小さくしてから、オペに踏み切って欲しいのに……」
2年かけて進行した癌細胞に効く薬を開発したのに使って貰えなくてがっくししてるわたし。
セブンマートマリオ柏内にあるパスタの専門店で、理穂ちゃんと夕食を食べながら、内科医として医療現場での薬物療法について話を聞き、せっかく開発した新薬が使われない現実にショックを受ける。
「美羽《みう》、デザート頼む?」
「頼む!!イチゴのババロアが食べたい!!」
10歳になる娘の美羽。
大学2年の春に出産した。
母と友人達に子育てを協力して貰いながらなんとか大学修士課程を卒業した。
卒業後2年間は、娘を保育園に預け、母にお迎えなどのサポートをお願いし、武田新薬株式会社の大阪にある研究所に勤め、2年前から娘の美羽を連れて千葉の柏に出てきて母娘協力し合いながら暮らしてる。
美羽を気遣いながら理穂ちゃんと仕事の話をし、食事を終えてパスタの店から出た。
セブンマートマリオ柏の車の駐車場に向かっていると理穂ちゃんが、こっち方向に歩いている男性に指を指してわたしの耳元小で呟く。
「医療手術ロボット魔導師でうちの外科のホープ 瀬川遥翔。
まだ後期研修医なんだけど、医療手術ロボットを使いこなすのが天才的で、癌に関するオペならどんなに難しいオペでも熟す男なんだ。
奥さんが医療手術ロボットを開発してるオリンパシュの御令嬢で、それもあってか、うちの外科、8割方医療手術ロボットがオペしてる。
人工知能搭載で簡単なオペはロボットが判断して先導してくれる優れもののロボットを導入してるから、瀬川先生は天才だけど他の若手がロボット頼りのオペをするようになって、うちの外科医のオペ技量が育ってなくて、うちの外科大丈夫なのかって内科医全員が不安を抱えてるんだ」
理穂ちゃんの言葉を聞きながら、目の前に近づいてくる男を見て、わたしは目を見開いて固まった。
11年経っても忘れる事ができない、かつて愛した人で、わたしを深く傷つけ男嫌いにした男。
美羽の父親で、史上最強最低男な元彼。
小学4年生だけど背が高く、手足が長くすらっとした体型で小顔なのはたぶん父親の血が濃いから。
遥翔の顔を久しぶりに見て思う。
親子だから似ていてもおかしくないけれど美羽の目鼻が整っている端正な顔立ちは遥翔そっくりだと。
美羽を見られたらまずいと美羽が被ってるキャップの帽子を深く被らせた。
「ゲっ、瀬川先生がこっちにくる」
わたしの横で嫌そうに小声で呟く理穂ちゃん。
わたしも同じで、遥翔と会って話なんてしたくない。
今はもう全く関係のない赤の他人だから、理穂ちゃんに用事があって近づいてきてると思い、その場に立ちすくんだ。
「……結月に、葉山」
わたしと理穂ちゃんの前で立ち止まった遥翔。
「結月、瀬川先生と知り合いなの?」
「地元の中高一貫校の同級生なだけ……」
6年付き合っていた恋人だけど、それは過去の話で、別れた時に無理矢理抱かれて処女を喪失し、娘の美羽ができたけど、遥翔は美羽の存在を知らない。
わたしの隣で同じ顔してるのに、遥翔を見て、『カッコいいーー!!』とわたしの耳元で興奮して呟く美羽。
美羽に目をやり、遥翔が目を見開く。
ボーイッシュ系の格好をしてる美羽。
ショートカットの黒髪に、黒のTシャツに白の半パンを合わせ、黒のキャップの帽子を被った格好は中学時代の遥翔にそっくりだ。
遥翔が美羽に近づき顔をじっと見る。
「年と誕生日は?」
「3月3日産まれの10歳」
美羽が遥翔の質問に答え、遥希は頭の中で美羽がわたしの胎内に生まれた日を計算し、俺の子だと認識したようだった。
「……結月、これから少し付き合え。葉山、その子を1時間ほど預かってくれ」
遥翔がいきなりわたしの手を掴み、連れ去る。
美羽と理穂ちゃんは取り残され、戸惑ってた。
美羽が遥翔の血を引く子だとしても、遥翔は医療機器メーカーのオリンパシュの御令嬢と結婚して、子供がいるかは知らないけれど既婚者だ。
だから、今更認知とか求めないし、わたしと美羽に関わらないで欲しいと思うだけだった。
遥翔と2度と会いたくなかった。
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