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わたしに関わらないで欲しい

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セブンマート柏内にあるスタバに入る。
遥翔がドリップコーヒーのアイスのLサイズを2つ注文し、人があまり入らない奥の席に歩いていく。
コーヒーを保つためにわたしの手首を離したからその隙に逃げようと思ったけど、遥翔が理穂ちゃんにわたしの勤め先を聞いて職場にきたら嫌だから諦めて話をする事にした。

「あの子、俺の子だよね。できた時期も計算したら合うし、何より俺のコピーみたいにそっくりだ」

「……美羽はわたしの子。遥翔の血を引いてるかもしれないけど、だからってそんなの関係ない。
わたしが勝手に産んで育ててるんだから、今更認知しろとか責任を取れとか言わない。
わたしと美羽に一切関わらないで欲しい」

「はっ、関わるなって、あの子、美羽ちゃんは俺の子だろ!!」

「オリンパシュの御令嬢と結婚して既婚者の癖に!!
父親ツラされる方が美羽を傷つける事になるから、だから、わたしと美羽に関わらないで!!」


遥翔と長く居たら、美羽と理穂ちゃんに変に仲を疑われるから5分ほど話してすぐに席を立ちスタバを出た。

理穂ちゃんにスマホで連絡したら駐車場の側の本屋にいて、駐車場で落ち合った。

「……結月、10時半にLINE通話かけるから」

理穂ちゃんを理穂ちゃんの住む賃貸マンションへ送り届け、降りる際に言われた。

理穂ちゃんも気づいただろう……。
美羽は顔の作りが遥翔そっくりだから。
遥希は中性的な美しい顔立ちをしてる。

20時半に家に戻り、バスタブに湯をため、美羽に先に入らせる。
21時から1時間、美羽と連ドラを見て22時に美羽は「おやすみ」と自分の部屋に入ってベッドの中に入る。

それを見届けてわたしもお風呂に入り、22時半前にお風呂から出て、理穂ちゃんからのLINE通話を待った。

LINE通話で、理穂ちゃんに美羽の父親が遥翔だと打ち明けた。
でも、創薬研究員をしてるから美羽1人を育てるぐらいはなんとかなるから、遥翔に対して認知も責任も求める気はないと伝えた。
遥翔にも3歳になる息子がいるらしく、遥翔の家庭を壊さないためにも、遥翔に近づいたらいけないと思った。


わたしは遥翔と関わりたくないのに、遥翔は医療手術ロボット ジョブズの魔導師として後期研修医なのにずっとオペをしてるらしく多忙なはずなのに、仕事帰りにわたしを待ち伏せしてついてきた。

毎日19時に退社するわたし。
ネットスーパーで夜ご飯の材料を買ってるから急いで帰って、ご飯を作って美羽に食べさせないといけないのに、遥翔に付きまとわれ、わたしの住む賃貸マンションまでついてきた。

家の中に入れたくなかったけど入ってきて、リビングで勉強をしてる美羽に近づき、美羽に勉強を教え始めた。

「美羽は賢いな」

「うん。見て、こないだの模試の結果!!」

こないだの全国統一小学生テストで1位を取り、夏休みにアメリカハイクラスカレッジ視察団に選ばれた。
毎回、塾の模試でも全国模試でも10番以内に入ってる美羽。
頭脳も遥翔に似たようで、賢かった。

美羽が暇つぶしで解いてた算数オリンピックの問題を遥翔が一緒になって解く。
わたしがご飯を作り終えるまでの30分間、遥翔は熱心に美羽の勉強をみてくれた。

だから、遥翔に夕食をご馳走した。
奥さんがご飯を作って待ってるかもしれないと思ったけど、美羽の隣に座って食卓テーブルを囲んで一緒にご飯を食べた。

2人ともハンバーグが好きで、見た目だけでなく好きな食べ物の好みも似てた。

夕食タイムが終わると勉強の続きを始め、美羽を寝かさないといけないから21時に遥翔を家から追い出した。

2年先取りで勉強をさせてるから塾には通わせてなく、でも、塾の模試だけは受けさせていて、常にトップの成績を取ってた。

さすがに小6の問題は難しいのか理科の計算問題と算数が先に進まなかったみたいで、美羽は遥翔が来てくれて嬉しそうだった。

「遥翔、奥さんと子供いるんでしょ。美羽も遥翔の娘かもしれないけど、美羽の事は気にしないでいいから、奥さんと子供の所に帰りなよ……」

週末も遥翔が我が家に上がり込み、美羽の勉強をみたり、映画を一緒に観に行ったりしてる。
わたしは一緒に行ってないから不倫は疑われない。
国立癌研究医療センターの創薬開発の研究棟に美羽を連れて行った事はないから、遥翔が遥翔そっくりな美羽を連れ回してるだけ、親戚の子といると勘違いされる事を願ってる。

ただ、美羽は遊んでくれるハンサムなお兄さんができて嬉しそうだけど、遥翔が奥さんと子供をないがしろにしてる事に対し、奥さんに見つかり、わたしと美羽がお咎めを受けそうで怖くなった。

「……大丈夫。瑠衣も拓人も俺がいないのは当たり前だから」

「ーー はっ、でも、遥翔は既婚者で妻子持ちなの、わたしにつきまとわないで!!
不倫を疑われたら迷惑!!」


「俺は結月と美羽だけを愛してる。だから、つきまとう。瑠衣とは政略結婚で、拓人は俺の子じゃない。
瑠衣とは別居していて、拓人の側には本当の父親がいる。
だから、俺を美羽の父親にしてくれ!!」

遥翔が切なそうにわたしを見つめて言った。

「……無理。美羽ができたきっかけが遥翔の最低行為だって事覚えてる?
わたしは遥翔を許せないし、だから美羽の父親として認めない。
遥翔の夫婦関係が壊れてるとしても、だからってわたしと美羽を偽りの家族にしないで!!」

美羽が遥翔に懐いちゃったから引き離すのは可哀想に思うけど、このままずるずるとこの関係を続けたらいけない。

遥翔と一緒に帰ってくると思ってる美羽はわたしだけが帰ってきたから残念そうな表情を浮かべた。

母娘の2人暮らし、遥翔がいるのがイレギュラーな事。

美羽はわたしがハンサムな遥翔にフラれたと思ったようだった……。

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