3 / 46
小児科クリニックと救命救急センター 1
しおりを挟む
「注射やだ!!嫌、嫌、辞めて!!」
母が経営している小児科クリニックの予防接種・健診時間帯。
子供達の泣き叫ぶが院内にこだまする。
診察室に入った子供達が泣いて出てくるから、待合室で待機している子供達が恐怖で震える。
「痛くないよ!!一瞬だけチクッとするだけよ!!」
親御さんや医者や看護師の声なんて、聞かない。
中には強い子だと思われたくて我慢する子もいるけど、最近の子は打たれ弱く、泣き喚く子が多い気がする。
この地区でクチコミNo.1の人気小児科クリニックで、母を慕って遠くから受診しにくる方もいるから、毎年250人近くの新生児が患者さんに加わる。
3ヶ月健診から中学校卒業まで、予防接種と病気治療を受ける。
准看護師の資格を取得してから、予防接種・健診時間帯の14:00~16:00は可能な限り、サポートに入る。
3歳までの小さな子供達の成長する姿が嬉しくて、注射をする嫌な奴と思われても、彼らの成長を見に行く。
「心愛ちゃん、良いお母さんになるね」
母が経営する小児科クリニックを開業当時からサポートして下さってるベテラン看護師の野嶋さん。
母は秘密主義で自分に関する事を他人にむやみに話さない。
シングルマザーで私を育ててきた事実は周りは悟って知り得るけど、私の父親に関する情報はいっさい聞いた事がない。
物心ついた時にはもう父親らしき人はいなかった。
『心愛ちゃんの父親?……それに関してはお母さんが心愛ちゃんに話さないなら教えられない』
母の医大からの友人や先輩、後輩に訊いても、誰も教えてくれない。
『……いつのまにかに心愛ちゃんを産んでシングルマザーになってたから、わからないんだよね』
私の出生について、知っている人は限りなく少ないと思う。
祖父母も亡くなっていて、1人で産んで私を育てながら医者として勤めていた。
母が医師として働いている姿を見て育ったけど、物心つく前から託児所に預けられシッターさんにお世話されていたから、母に遊んだりご飯を食べさせて貰った記憶はない。
我が子に愛情を注ぐ親御さんとの関わりの中、自分が母親になるイメージが全く湧かない。
小さな子供の成長は嬉しい。
病気に罹り苦しんでいると助けたいと思う。
だけど、それは母性からではなく、命を助けたいという思いからだった。
「心愛、今日は宜しくね」
医師会からの依頼で、私の母も月に8~10日間、京都府立病院に休日夜間小児科医として勤務してる。
月に2~3回、母について患者さんの診療を行う。
『苦しいね……吸入して帰ろうか。呼吸が楽になるテープも出しとくね』
『吐いた方が悪い菌やウイルスが身体から出ていくからいいんだけど、つらいね。血液検査して細菌性かウイルス性か調べよう。脱水症状起こしてるから点滴して、細菌性ならよく効く抗生物質あるからその点滴を入れて、後は飲み薬を処方するね』
夜間診療はここまで丁寧に診察する医師はいない。
次の日にかかりつけ医に診てもらうように言って応急処置しか行わない医師が多い。
「健太、お願い、死なないで!!」
深夜3時過ぎ、生後10ヶ月の男の子が救急車で搬送されてきた。
救急隊員からの説明では、一軒家の急な階段から落ち頭を強打し、意識を失い、それからずっと身体が痙攣しているとの事だった。
レントゲンとCTスキャンをしたところ、脳と骨の間に薄い血液が溜まり硬膜下血腫を起こし、けいれんが止まらず脳が萎縮しているようだった。
骨がぺコッとへこんだ状態になり、陥没骨折を起こすも2歳頃までは骨が柔らかいので自然に治ることが多いが、血管が破れたのが硬膜下で大出血が起きているから手術で整復するしかない。
母が経営している小児科クリニックの予防接種・健診時間帯。
子供達の泣き叫ぶが院内にこだまする。
診察室に入った子供達が泣いて出てくるから、待合室で待機している子供達が恐怖で震える。
「痛くないよ!!一瞬だけチクッとするだけよ!!」
親御さんや医者や看護師の声なんて、聞かない。
中には強い子だと思われたくて我慢する子もいるけど、最近の子は打たれ弱く、泣き喚く子が多い気がする。
この地区でクチコミNo.1の人気小児科クリニックで、母を慕って遠くから受診しにくる方もいるから、毎年250人近くの新生児が患者さんに加わる。
3ヶ月健診から中学校卒業まで、予防接種と病気治療を受ける。
准看護師の資格を取得してから、予防接種・健診時間帯の14:00~16:00は可能な限り、サポートに入る。
3歳までの小さな子供達の成長する姿が嬉しくて、注射をする嫌な奴と思われても、彼らの成長を見に行く。
「心愛ちゃん、良いお母さんになるね」
母が経営する小児科クリニックを開業当時からサポートして下さってるベテラン看護師の野嶋さん。
母は秘密主義で自分に関する事を他人にむやみに話さない。
シングルマザーで私を育ててきた事実は周りは悟って知り得るけど、私の父親に関する情報はいっさい聞いた事がない。
物心ついた時にはもう父親らしき人はいなかった。
『心愛ちゃんの父親?……それに関してはお母さんが心愛ちゃんに話さないなら教えられない』
母の医大からの友人や先輩、後輩に訊いても、誰も教えてくれない。
『……いつのまにかに心愛ちゃんを産んでシングルマザーになってたから、わからないんだよね』
私の出生について、知っている人は限りなく少ないと思う。
祖父母も亡くなっていて、1人で産んで私を育てながら医者として勤めていた。
母が医師として働いている姿を見て育ったけど、物心つく前から託児所に預けられシッターさんにお世話されていたから、母に遊んだりご飯を食べさせて貰った記憶はない。
我が子に愛情を注ぐ親御さんとの関わりの中、自分が母親になるイメージが全く湧かない。
小さな子供の成長は嬉しい。
病気に罹り苦しんでいると助けたいと思う。
だけど、それは母性からではなく、命を助けたいという思いからだった。
「心愛、今日は宜しくね」
医師会からの依頼で、私の母も月に8~10日間、京都府立病院に休日夜間小児科医として勤務してる。
月に2~3回、母について患者さんの診療を行う。
『苦しいね……吸入して帰ろうか。呼吸が楽になるテープも出しとくね』
『吐いた方が悪い菌やウイルスが身体から出ていくからいいんだけど、つらいね。血液検査して細菌性かウイルス性か調べよう。脱水症状起こしてるから点滴して、細菌性ならよく効く抗生物質あるからその点滴を入れて、後は飲み薬を処方するね』
夜間診療はここまで丁寧に診察する医師はいない。
次の日にかかりつけ医に診てもらうように言って応急処置しか行わない医師が多い。
「健太、お願い、死なないで!!」
深夜3時過ぎ、生後10ヶ月の男の子が救急車で搬送されてきた。
救急隊員からの説明では、一軒家の急な階段から落ち頭を強打し、意識を失い、それからずっと身体が痙攣しているとの事だった。
レントゲンとCTスキャンをしたところ、脳と骨の間に薄い血液が溜まり硬膜下血腫を起こし、けいれんが止まらず脳が萎縮しているようだった。
骨がぺコッとへこんだ状態になり、陥没骨折を起こすも2歳頃までは骨が柔らかいので自然に治ることが多いが、血管が破れたのが硬膜下で大出血が起きているから手術で整復するしかない。
0
あなたにおすすめの小説
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~
有木珠乃
恋愛
両親を亡くし、二人だけの姉妹になった一ノ瀬栞と琴美。
ある日、栞は轢き逃げ事故に遭い、姉の琴美が務める病院に入院することになる。
そこで初めて知る、琴美の婚約者の存在。
彼らの逢引きを確保するために利用される栞と外科医の岡。
「二人で自由にならないか?」を囁かれて……。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる