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しおりを挟む「心愛、お母さん、再婚しようと思うの」
安達病院での日勤からの府立病院での夜間休日医をしてるから、家には夜中から朝にかけてしかいない。
だけど、毎朝、母が用意してくれた朝食を顔を合わしてとり、話をしてる。
「えっ、お母さん、付き合ってた人いたの?誰?」
母から交際していた男性がいると1度も聞いた事がなく、突然の事で驚く。
母は自宅兼小児科クリニックで平日8時半から19時過ぎまで診療し、その後に週2~3回府立病院で小児救命救急センターの夜間休日医をしてる。
小児救命救急センターには常時5~8人で回してる。
同じ年代の小児科クリニックを経営している先生もしくは大学病院等から応援で派遣されて来られる先生と、恋仲になっていたのかもしれない。
「心愛は会った事無い人。ずっとアメリカと東京を行ったり来たりしていて、私も38年ぐらい会ってないから」
「えっ、私が産まれる前の知り合いとSNSを介して意気投合して結婚するの!!」
「……そういう事になるね」
出勤前で時間がなく、訊きたい事はあったけど、話を中断して安達病院に向かう。
「心愛ちゃん、びっくりしたでしょ。咲愛がまさか再婚するってね。しかも瀬戸先生とでしょ」
真弓副院長が出勤した私に大興奮で話しかけてきて、母の再婚相手が瀬戸先生のお父さんと知り、さらに驚く。
「75歳だから前線を退いて、咲愛と小児科クリニックを経営しつつ府立病院で非常勤医師をするみたい」
若作りだからそうは見えないけれど、母も今年68歳になる。
医師は定年がない。だから体動くうちは個人クリニックは経営できる。
「一輝くんが府立病院に異動したのもそれでだったのかもね。まだまだ瀬戸先生には追いついてないから」
常勤で大阪母子医療センターに勤務していた瀬戸先生が、辞めて府立病院に来た理由がわからなかった。
瀬戸先生の父も重症新生児や未熟児の難治療をはじめ、腹腔鏡手術、胸腔鏡手術のスペシャリストと世界的に有名な小児外科医。
引退する父から手術のスキルを教わるために府立病院の小児外科医として転職したのかもしれない。
「過去に色々あったけど、2人が元鞘に治まって良かった」
真弓副院長はそれだけを言い残し、産婦人科の診察室に向かった。
「瀬戸の母親、体外受精でデキ婚した罪意識からか瀬戸が3歳の時に自殺したんだ。親父たち、2人の復縁に大喜びで祝福してるし、心愛さん、複雑な心境かもしれないけど受け入れてあげて」
母と瀬戸先生の父が再婚する事を反対はしない。
ずっと1人だった母にパートナーができる事を嬉しく思う。
それも、昔付き合っていた本気で好きだった人とだから喜ばしい。
母に今以上に幸せになって欲しい。
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