突然婚〜凄腕ドクターに献上されちゃいました

結婚式はデレデレに

　ウェディンググローブを外し、左手を雅輝に差し出すと、細身のシンプルなデザインで中央に３つダイヤがついてる指輪を嵌められた。
　そして、私も彼に指輪を嵌める。
　外科医だから衛生上着けることはないと思われるマリッジリングを、細くて長い指に嵌める。

「ーーそれでは、誓いのキスを」

   牧師の言葉で勢いよくベールを上げられると、顎をすくい取られると、唇を重ね合わせ舌までも絡めとられた。

　口腔で暴れる舌に軽く歯を立て、彼をキッと睨みつけ辞めさせる。
　挙式中に本気のキスを仕掛けた花婿の行動に、招待客の若い男女が顔を赤め、少し騒ついた。

「……早く2人っきりになって思いっきり味わいたい」

   重なり合ってた唇が離れ、思いっきりギュッと抱きしめられ、耳元で囁やかれた。

　ホテルの最上階にある大ホールで行われた披露宴。
　雅輝は花嫁にデレデレな本当に凄腕外科医なのかと疑われるぐらいの醜態を晒す。

　花嫁からの手紙と両親へのギフト贈呈。3分で書いた手紙に、両親が泣きだし、困った。
　
   ケーキ入刀の時、ケーキカットナイフを一緒に握りしめた体勢で空いてる左手を私の腰に回し身体を拘束して首筋から背中にかけて唇を這わせてきた。
　その後のファーストバイトでは、私にケーキを食べさせた後、即、口づけをしてきて口の中に入れたケーキを強奪し、本当の意味での甘いキスを、演出した。

　お色直しで2度中座した時、ブライズルームで私の背中にあるファスナーを下ろし首筋にキスをし襲い掛かろうとしてきた。
　新婦のドレスのファスナーを下げたいという願望を持つ新郎のため、スタッフは着替えが終わるまでは入ってこない。
　背中の空いたビスチェとガードルに守られ、最後まではされずに済む。
　
　お色直しの後のテーブルラウンド。
　各テーブルを回り、挨拶をしながらキャンドルサービスにフォットサービスをする際に、招待客にかなり冷やかされた。
   7年半の遠距離恋愛の末、やっと結婚できた事になってるいて、耳を疑う。ーーそんな事実はない。
　2人の馴れ初めプロフィールムービーに感動したと言われても、私はそのムービーを観てないからなんとも言えない。
　遠距離になるまでの8年間は恋人同士だった。だからららぶらぶだった証拠の写真と動画のデータは残ってる。
　雅輝が作成した青春ドラマチックな恋愛ムービーの中身が気になってならない。

　披露宴の後、招待客全員のお見送りを終えると、両親達はそそくさと帰っていき、取り残された私は雅輝とスイートルームに案内された。

「ーーやっと2人きりなれた」

　部屋に入るなり、背後から抱きしめられ、耳裏を舐められ、身震いを感じた。