突然婚〜凄腕ドクターに献上されちゃいました

鳴宮鶉子

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結婚初夜は復縁から

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   初めて泊まるスイートルーム。
 さすがにすぐに事をおっ始める事はしなかったから、ほっとする。
 ホテルの部屋なのに、リビングと寝室がある。
 背中に手を添えられ、リビングの窓辺にエスコートされ、赤、オレンジ、緑、青、紫、白の眩い光が漆黒の中でチカチカする京都駅周辺の夜景を見下ろす。

「心愛、左手出して」

   お泊まりセットが入ったブラックのブランドもののバックから、ティッファニーの真四角と長四角のジュエリーケースを取り出し、中身を取り出して私に近づいてきた雅輝。

「ーー仕事中、必ず着けて」

「……私も一応医師なんやけど」

「婚約指輪と重ね着けできるデザインにした」

  キラキラと輝くフルサークルダイヤのエタニティリングを嵌められ、顔をしかめる。
 結婚指輪は細身のシンプルなデザインだけど、婚約指輪のつもりで用意したこの指輪はプラチナの台座に少し大きめのラウンドブリリアントカットのダイヤモンドが隙間なくぐるりと1周並んでるもので、アメリカにいた時に購入したと思われるかなり高価なものだった。
 首につけられたペンダントもピンクゴールドのチェーンに四葉の形をした台座にプラチナマーキングダイヤモンドがセッティングされてる。

「マーキング。心愛、まだ28歳で女医として独り立ちしてまもないか。アメリカにいた7年半他の男に掻っ攫われないか、気が気じゃなかった……」

 8年前の夏。地元国立大学の医学部5年生だった雅輝は、教授の推薦を貰い、ハーバードメディカルスクールに留学する事が決まった。
 これは名誉な事で喜ばしい事。
 だから、アメリカと日本で離れ離れになってしまうけど笑顔で送り出すつもりだった。

 なのに、『心愛との恋愛ごっこはもうおしまい。心愛と結婚したら、藤宮総合病院を継がないといけなくなる。だから、別れよう』と空港に見送りにきた私に対し、別れのキスをしてから足早に保安検査場に入っていった。

 私が追いかけていけないエリア。
 
 私と結婚したら、藤宮総合病院を継がないといけない。
 ハーバードメディカルスクールに推薦された優秀な雅輝だから、個人の総合病院で医師を務めるのはもったいない。

 雅輝と一緒に、教授の娘さんもハーバードメディカルスクールへ留学する。
 
 学年が2つ違うけど、私も同じ大学の同じ学部に通ってたから、彼女の事はよく耳にしてた。
 父親が消化器外科の教授で、彼女自身もかなり優秀という噂だった。
 しかも、すらっと背が高く知的な感じの京美人。

 渡米した雅輝に何度もLINEメッセージを送っても既録にならず、ブロックされたようで、かなり落ち込んだ。

 夏休みに雅輝に会いに行こうとしたら父に止められ、恋人関係は自然消滅した。

「…… 私を捨てたくせに、よく言うよ」

「ーー心愛のお父さんからそうしろと言われたから仕方がなかったんだ。心愛が遠距離恋愛に耐えれるとは思えないのと、ハーバードメディカルスクールにいる間は医学の勉強に専念したかった」

  渡米してから8年間。雅輝は1度も日本に帰ってこなかった。

「ハーバードメディカルスクールを卒業したら、心愛と結婚させてくれると心愛のお父さんが約束してくれた。そのために、俺以外の男ができないよう妨害行為もしてくれてたと思う」

『雅輝くん以外の男と付き合う事は許さない』と雅輝に拒絶されて自然消滅してるのに父は他の男性との交際を赦してくれなかった。

 結婚を見据えて、同じ大学の医学部の男性の付き合いたいと思っても、元彼が“瀬川雅輝”という事に尻込みし、相手にして貰えなかった。
 医学部は女子が3割しかいない。だけど、私にアプローチしてくれる男性は1人もいなかった。
 
「大学の教授達も心愛に悪い虫がつかないよう協力してくれた。だから、ハーバードメディカルスクールで安心して医学の研究に専念できた。……心愛、おしゃべりはそれぐらいにして、浴槽に湯が溜まったから、一緒に入ろう。このまま抱きたいが、髪の毛固められてるから落ち着かないだろ」

 いきなり横抱きで抱き上げられ、バスルームに運ばれる。

「ちょっ、ーーやだ!!」

「小さい頃は毎日一緒に入ってただろっ。それに、恋人同士になってから、心愛の身体は毎日頭のてっぺんから足先まで味わってた」

「………」

    バスルームに着くと、しゃがみ込み、膝に私を座らせ、私が着てるピンクベージュのワンピースのファスナーを下げ、ブラジャーのホックも弾かれた。

「ーー心愛と離れていた5年間を取り戻したい」


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