認知しろとは言ってない〜ヤンデレ化した元カレに溺愛されちゃいました〜

鳴宮鶉子

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彼女との別れ side 葛城英翔

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『英翔、ゴメン。インターンの同僚達から夜ご飯誘われたから行ってくる。夜ご飯、用意できない。Uber頼むか外で食べてきてくれたら助かる』

結衣からのLINEメッセージ。
時々、仕事の後、同僚に誘われて食事に行く。
20歳になってないからお酒は飲めない。
必ず21時過ぎには帰ってくるが、取り残された感があり、寂しく思う。

「英翔、ただいま。夜ご飯、食べた?」

「食べてない、面倒臭くて」

「じゃ、何かささっと作るね。居酒屋で料理があまり出てこなかったから食べれなかった」

「鶏胸肉解凍してるから、チキンピカタ作るね」

慌てて帰ってきて、俺が夜ご飯食べてないと知ると結衣はすぐに作ってくれる。

「結衣、疲れてるとこ申し訳ないけど、いい?」

「うん。英翔、大好き」

愛おしい彼女。
3ヶ月の間、朝と夜2回、結衣を抱いた。
だが、インターンバイトで昼間に彼女が居ないからか、満たされなかった。

8月の終わり。
俺も明日、アメリカに戻る。

結衣と同棲した3ヶ月間。
肉体的な面は満足したが、東京での生活を満喫している結衣を見て、捨てられないか不安にかられ、塞ぎ込んだ。


「さすがに遅い……迎えにいこう」

インターンバイトの最終日だから2次会も参加すると昨日の夜、結衣が言っていたが、22時過ぎ、いくらなんでも遅すぎる。
渋谷109の側の飲食店が入ったビル内にあるカラオケ店に居るとLINEメッセージが来ていて、終電が終わったら帰って来られなくなるから迎えに行く事にした。

結衣が居そうな飲食店が入ってるビルの前に着く。

「結衣……もしかして、浮気してたのか!!」

酔っ払った男を結衣がタクシーに乗せ、同乗しようとしていた。

「ち、違うよ。友達が酔っ払っちゃってタクシーで送り届けようとしてたとこ!!」

酔っ払って寝かけている男の顔を見る。

「いつも連んでるメンバーの1人だな」

「……うん」

「グループで遊びに行ってるかもしれないが、こいつと肩を寄り添ってる写真があった」

結衣は同じ学科の教養ゼミ友達と頻繁に遊びに行っていて、報告で写真が送られてきた。
楽しく生活を送ってる事を伝えたかったのだと思うが、男と写っている写真を見て、俺は不安に駆り立てられていた。

「永倉、俺、お前の事が好きだ!!」

タクシーに乗った男が結衣の手をひき、車の中に連れ込み、拉致って行った。

結衣のマンションに戻り、彼女の帰りを待つ。

「結衣、別れよう」
.
午前2時に帰ってきた結衣。

「英翔、誤解だよ。彼とは大学の友達で酔って告白してきたけど、ちゃんと断ったから!!」

「信じられない!!男にほいほい着いていく尻軽女!!結衣とこれ以上付き合うの無理だ。さようなら」

結衣が戻って来る前に荷物を片付けていた。
結衣が背後から俺の腰に手を回してすがるのを手で押しのけ軽く吹っ飛ばし、出ていく。

結衣は泣いていた。

だが、浮気をしそうな彼女とこれ以上超遠距離恋愛を続ける事はできなかった。

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