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彼女と息子 side 葛城英翔
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息子が熱を出したと知ったら、駆けつけたくなる。
俺を鬼扱いして元気そうに見えたが、母親を守るために牽制していたのかもしれない。
終業時間が過ぎ、仕事が片付いたタイミングでオフィスから飛び出し、近くのスーパーでポカリやフルーツ、アイスなどを買い込んでタクシーで彼女の家に向かった。
アメリカ本社出向社員の臨時部長。
部下を労り、救援物資を届けても問題ないだろう。
シングルマザーで地元が金沢だから親のサポートは期待できない。
ネットスーパーで調達してると思うが、結衣と息子の翔琉に直接逢いたくて、駆けつけた。
「ママ、ご飯、冷めちゃうよ!!早く食べよう!!あっ、鬼部長だ!!」
玄関先で救援物資は受け取って貰えた。
そのまま帰ろうとしたら、息子にまた鬼扱いされた。
「翔琉にって葛城部長がアイスとか買ってきてくれたんだよ。鬼部長って言ったらダメ。御礼言いなさい」
俺が悪い。
超遠距離恋愛で俺がいない環境下で楽しく過ごしている結衣に嫉妬し、浮気を疑い別れて、再会後に憂さ晴らしのように仕事で痛めつけた。
「ありがとうございます、葛城部長」
結衣の足にしがみつき、俺を見上げてる息子。
俺は母親を痛めつける鬼でしかない。
「ママ、お腹空いた」
夕飯時だったらしく、翔琉はお腹を空かせていた。
ハンバーグのデミグラスソースの匂いがし、食べるタイミングに来てしまったらしい。
「そうだね、待たせてごめんね。葛城部長、夜ご飯まだすませていらっしゃらなかったらウチ食べていきません?こんなに買ってきて頂いたのでせめてのお返しで」
「いいのか」
救援物資で支払ってお金を払おうとした結衣。
受け取る事はできない。
「はい。多めに作ってるので大丈夫です」
食べたくて堪らず恋しかった結衣の手料理を振舞われた。
「先に翔琉と食べてて下さい」
少し冷めていたけど、懐かしい結衣の手料理に感動する。
「ママのは?」
「あるから大丈夫」
手間を考え、作り置きをする結衣。
「葛城部長、おかわりはいかがですか?ハンバーグもマカロニサラダもまだあります」
「ありがとう。頂く」
懐かしい恋焦がれた味に、食べ尽くしてしまった。
結衣が作る料理がこの世で1番美味しいと思う。
息子が美味しそうに食べてる姿をみて、愛され大切に育てられてるのがわかり、感動した。
「翔琉、俺の息子なんだろ。会わせて欲しい。認知して責任を取らせて欲しい」
結衣と息子と幸せな家庭を築きたい。
甲斐甲斐しく息子の世話をする結衣を見て、2人を守り大切にしたいと深く思った。
「認知しないでいいです。私が勝手に産んで育ててるんですから責任を感じなくていいです。翔琉には父親は死んだ事にしてるので、父親らしい事をされたら困ります」
帰り際、玄関先で結衣に歩み寄りたいと伝えたら拒絶された。
今思えば、海外留学で超遠距離恋愛になり、お互い置かれた環境下で適応していかないといけない。
後期から交換留学でアメリカに行く事を、かなり前に聞いていた。
そのために、大学の成績だけでなく、資格取得とインターシップの経歴が必要で結衣は俺の元に来るために努力していた。
「子供に父親は必要だ。知ってしまった以上、俺は翔琉の父親を務める。また、来る」
仕事を理由に終業後に結衣の家に押しかけ、夕食を共にする。
外資系企業の技術者で残業代をMAXで支給されている結衣は入社4年目でも年収は1千万超えてると思われる。
だけど、マンションを分譲し、もしもの蓄えをしているようで、拒絶されるが養育費で毎月渋沢栄一を100枚茶封筒に入れて渡した。
「これからは毎日、出社します。小さい子供がいるからとわざわざ葛城部長に家に訪ねてきて頂くのは申し訳ないので」
仕事を口実に平日終業後に毎日結衣の家を訪ねていた。
俺を鬼扱いして元気そうに見えたが、母親を守るために牽制していたのかもしれない。
終業時間が過ぎ、仕事が片付いたタイミングでオフィスから飛び出し、近くのスーパーでポカリやフルーツ、アイスなどを買い込んでタクシーで彼女の家に向かった。
アメリカ本社出向社員の臨時部長。
部下を労り、救援物資を届けても問題ないだろう。
シングルマザーで地元が金沢だから親のサポートは期待できない。
ネットスーパーで調達してると思うが、結衣と息子の翔琉に直接逢いたくて、駆けつけた。
「ママ、ご飯、冷めちゃうよ!!早く食べよう!!あっ、鬼部長だ!!」
玄関先で救援物資は受け取って貰えた。
そのまま帰ろうとしたら、息子にまた鬼扱いされた。
「翔琉にって葛城部長がアイスとか買ってきてくれたんだよ。鬼部長って言ったらダメ。御礼言いなさい」
俺が悪い。
超遠距離恋愛で俺がいない環境下で楽しく過ごしている結衣に嫉妬し、浮気を疑い別れて、再会後に憂さ晴らしのように仕事で痛めつけた。
「ありがとうございます、葛城部長」
結衣の足にしがみつき、俺を見上げてる息子。
俺は母親を痛めつける鬼でしかない。
「ママ、お腹空いた」
夕飯時だったらしく、翔琉はお腹を空かせていた。
ハンバーグのデミグラスソースの匂いがし、食べるタイミングに来てしまったらしい。
「そうだね、待たせてごめんね。葛城部長、夜ご飯まだすませていらっしゃらなかったらウチ食べていきません?こんなに買ってきて頂いたのでせめてのお返しで」
「いいのか」
救援物資で支払ってお金を払おうとした結衣。
受け取る事はできない。
「はい。多めに作ってるので大丈夫です」
食べたくて堪らず恋しかった結衣の手料理を振舞われた。
「先に翔琉と食べてて下さい」
少し冷めていたけど、懐かしい結衣の手料理に感動する。
「ママのは?」
「あるから大丈夫」
手間を考え、作り置きをする結衣。
「葛城部長、おかわりはいかがですか?ハンバーグもマカロニサラダもまだあります」
「ありがとう。頂く」
懐かしい恋焦がれた味に、食べ尽くしてしまった。
結衣が作る料理がこの世で1番美味しいと思う。
息子が美味しそうに食べてる姿をみて、愛され大切に育てられてるのがわかり、感動した。
「翔琉、俺の息子なんだろ。会わせて欲しい。認知して責任を取らせて欲しい」
結衣と息子と幸せな家庭を築きたい。
甲斐甲斐しく息子の世話をする結衣を見て、2人を守り大切にしたいと深く思った。
「認知しないでいいです。私が勝手に産んで育ててるんですから責任を感じなくていいです。翔琉には父親は死んだ事にしてるので、父親らしい事をされたら困ります」
帰り際、玄関先で結衣に歩み寄りたいと伝えたら拒絶された。
今思えば、海外留学で超遠距離恋愛になり、お互い置かれた環境下で適応していかないといけない。
後期から交換留学でアメリカに行く事を、かなり前に聞いていた。
そのために、大学の成績だけでなく、資格取得とインターシップの経歴が必要で結衣は俺の元に来るために努力していた。
「子供に父親は必要だ。知ってしまった以上、俺は翔琉の父親を務める。また、来る」
仕事を理由に終業後に結衣の家に押しかけ、夕食を共にする。
外資系企業の技術者で残業代をMAXで支給されている結衣は入社4年目でも年収は1千万超えてると思われる。
だけど、マンションを分譲し、もしもの蓄えをしているようで、拒絶されるが養育費で毎月渋沢栄一を100枚茶封筒に入れて渡した。
「これからは毎日、出社します。小さい子供がいるからとわざわざ葛城部長に家に訪ねてきて頂くのは申し訳ないので」
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