社畜、やり手CEOから溺愛されちゃいました

負債額2億超え

「……拙いですよ。今年も負債額2億8千万超えです！！」

株主総会が開かれる6月に向けて、貸借対照表及び損益計算書の準備をしていた総務担当の金戸菜々さんが顔を引き攣らせて、叫ぶ。

「……去年はコミカライズかなり出したからな」

2年連続で約2億超えの赤字を出し、挽回するために大ヒット作品を当てようと150冊、コミカライズ化した。

電子書籍123冊、書籍27冊。

クリエーターさんに対しての謝礼金も、底値の額しか出してなく、出版に関してもコミックサイトの電子書籍媒体のみを多くし紙媒体を減らしているのもあり、開発費はあまりかかっていない。

「ゲーム探偵みたいな大ヒット作が当たれば、膨大な売り上げ額を得られる。とにかく良い作品を発掘して、コミカライズしろっ！！」

シリーズ累計800万部を越えた『ゲーム探偵』。
150万部を越えた『創薬研究所の地下で飼育人間を飼っている』。
書籍化にとどまらず、コミックやゲーム、実写映画やTVアニメに展開される作品がいくつも生まれた。

ノベルスターは、純利益が7億超えるほど勢いがあったコミュニティサイトだった。


ここ数年、過去の栄光で築きあげた総資産を億単位で失っている。
最高35億強あった総資産は、現在15億6853万円まで減った。

コロンウイルスが大流行し、外出自粛が余儀なくされるこの世の中。
スマホやタブレットでいつでもどこでも気楽に読めるコミックサイトは人気で、インターネット公告で人寄せしているのもあり多くの人の目に入り、閲覧されている。
無料ページでも閲覧されたら1ページにつき0.05円の広告収入が入る事から、読まれたら少額だが収入になる。

人気が出なかった作品の開発費もいつかは広告収入で元が取れると判断し、球打てばいつかは当たるとコミカライズ化を促進し、その結果、負債額が増えていく。

「クリエに対しての報酬金、減らす？」

「さすがにこれ以上は下げたらいけないでしょ！！」

「自分の作品が書籍化するんだから嬉しいでしょ。お金じゃないでしょ！！」

新年度初、全社員がオフィスに集まり行われた運営会議。
普段はリモートワークで各自分担をして仕事を行ってる。

3年連続、2億超えの負債額を出してしまい、今年は過去最高額となった。

このまま赤字が続くと倒産の危機で直面する。

経営立て直しの戦略を話し合った。