婚約破棄から始まる大恋愛

鳴宮鶉子

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婚約者の迷惑行為

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キッチン、バスルーム、トイレなど最先端の設備や、環境に配慮された最新の素材などが展示された東京新宿にあるTATAショールーム。

「永倉さん、おすすめのウォシュレットある?」

財閥系マンションデベロッパー御三家の開発部に勤務している婚約者の神崎拓海がアポ無しで来店した。

「シティパークの住宅設備を検討しててさ、大規模マンション向けだから低価格の見繕って教えてよ」

営業妨害としか思えない。
不幸中の幸い、ショールームに訪れてる顧客はコイツしかいなく、デペロッパーの開発者との対応はショールームアドバイザーには荷が重い。
本来は事業所の営業がショールームに同行して受ける案件。

「承知致しました。担当の者と変わりますので少々お待ち下さい」

「永倉さんが案内してよ。ショールームに展示してる商品だけ見せて?せっかくだから、バスルームと洗面台、システムキッチンも見せて貰おうかな」

ショールームを回りながら商品説明をしながらヒアリング ・プランニング、見積りを行うのがショールームアドバイザーの仕事。

「畏まりました。ご案内致しますので少々お待ち下さい」

デベロッパーの開発担当への接客業務だから、勝手な事はできない。
所長に一言声をかけ、指示を仰ぐ。

「永倉さん、ショールーム内、ゆっくり案内して。シティパーク向けの商品のカタログと見積書を至急用意するから」

「は、はい」

シティパークマンションの設備大口発注のチャンスなのもあり、所長が慌てて動き出した。


神崎拓海を連れ、トイレ、洗面室、浴室、キッチンとコーナーを回る。

ショールームアドバイザーになって6ヶ月。
TATAの商品についてはカタログを丸暗記し機能面も把握してるものの、デモンストレーションに慣れてなく、上手く接客ができない。
新入社員研修でのロールプレイング実習で、「もっとフレンドリーに笑顔で」と講師から何度も注意を受けた。

「かなり勉強してるじゃん」

「ありがとうございます」

無事に任務を終え、ほっとする。
シティパークマンション向けの商品に関しての細かい商談を行うため、応接室にお連れする。

「凛子、仕事終わったらLINEかけて来てくれる?」

「えっ、なんで!?」

「何でって、俺達、婚約してる仲だろ、一応。凛子が大学卒業したら話を進めるよう親父から言われてるの。いい加減、諦めろ。お前も言われてるんじゃない?」

「………」

小学校卒業後、東京にある寮がある私立女子中高一貫校に入学した私は、実家と疎遠になっている。
盆正月以外帰宅してないのもあり、両親は私に対して何も言ってこない。

「とにかく、閉館時間にこの辺りの店で待ってるから。来なかったら、クライアントとしてショールームに通うからな」

まだ結婚したくないから、拓海からの連絡を全て無視していた。
まさか、職場を突き止めて、押しかけてくるとは思ってもいなかった。



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