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結婚したい婚約者
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“仕事終わりました。どちらに伺えばよろしいですか?”
“鉄板焼きHAMADAに来て”
LINE送って既録着いてから5分後。
夕食を共にする気はないのに勝手に予約を入れて、地図送付付きのメッセージを送ってきた。
ショールームから徒歩10分圏内にあるラグジュアリーホテル内にある人気鉄板焼きの店。
気になってたけど、1人では入りにくいし、友人や同僚と入りにくい高級店。
個室にわざわざシュフが来て、高級肉と新鮮な海鮮を焼いて出してくれる。
拓海と2人きりだと会話が続かないから、こういう食事はありがたい。
「ご苦労さん」
先についていた拓海が、料理をオーダーしてくれていて、シュフが伊勢海老と鮑を焼き始めていた。
「明日、休館日だから休みだろ?」
目の前に焼きたての伊勢海老とアワビが置かれ、前菜の盛り合わせと共にソムリエらしき人がが白ワインのボトルを持ってきて、グラスに注がれた。
「凛子が大学卒業して以来だから、3ヶ月ぶりだよね。再会に乾杯」
シュフとソムリエが個室から退出し、2人きりなった。
5歳年上の拓海。
幼稚園に通ってた時、本を読んでくれたり、子供のテーマパークみたいなところに連れて行ってくれたりと、よく遊んでくれてた。
拓海も県外の私立の中高一貫校に進学し、小学生時代は夏休みに会うぐらいだった。
私が中学生になってからは帰省する盆正月に義務的に会わされた。
大学進学後はお互いが東京にいるため、連絡を取り合って会うよう言われるものの、親からの干渉が無くなった事をいい事に全く会ってなかった。
「凛子、ショールームアドバイザー向いてないだろ。カタログに載ってる事をただ黙々と話すAIロボットみたいだったよ」
私立女子大で住居空間デザインを学び、建築・インテリアデザインを中心にした家具・陶芸・テキスタイルなどのプロダクトデザイン、コミュニティデザイン、ビジュアルデザインをする仕事をしたかった。
そのために在学中にインテリア関係の資格を取得するために大学以外に夜間の専門学校と通信教育を受講し、実務経験が必要ない資格は全て取得し、資格を持っている。
「……祖父にTATAで働かないなら家族としての縁を切ると言われたから仕方がなかったんです」
両親は何も言わないが祖父は口を出してくる。
TATAを創業した永倉智徳を尊敬していた祖父。
自身の無力さから経営から外れるも、TATAを取り返したいと野心を抱き、一族全員を振り回している。
「俺と結婚すれば、好きな事しても問題ないんじゃない?専業主婦で家でのんびり暮らしてもいいし、空間デザイナーの仕事を紹介してもいい」
結婚しても祖父は寝たきりで話せなくなるまで、私にTATAに勤務し続けろというだろう。
「大学卒業して3ヶ月しか経ってないのに結婚なんて嫌です。TATAでの仕事が全てではないです」
いつかは諦めて結婚しないといけないけど、今ではない。
既婚者というしがらみに縛られたくない。
「大学時代に好きにさせてただろう。さすがにこれ以上は許す事はできない。凛子は俺の事を嫌ってるかもしれないが、俺は凛子と夫婦として上手くやっていきたい。そのためにこれから関係性を築いていきたい」
高校卒業後、東京で拓海と2人きりで会った時に私は言った。
『拓海、結婚するまではお互い自由恋愛しよう。結婚後も跡取りできたらそれ以降は仮面夫婦になろう』
と。
拓海は『俺は凛子と愛情がある夫婦になりたい』と言ってきたが、無理だと思った。
『……結婚は逃れられないからするしかないけど、自分から好きになった人と束の間の恋愛をしたい』
私立中高一貫女子校での寮生活。
習い事で校外に出てたけど、男女交際禁止でバレたら親に連絡され停学になるため、他校の男子生徒から告白されても付き合う気にはなれなかった。
『婚約者いるのに何考えてるんだよ』
最高峰の国立大学の大学院工学系研究科で建築学を専攻している拓海。
家柄もよく眉目秀麗で長身な拓海はモテるはず。
大学進学してから彼女という存在を作って、遊んでいたはず。
『ねぇ、私の初めて拓海にあげるから、だから、結婚するまでは自由にさせて』
あまりに私が不憫だったのか、拓海は受け入れてくれた。
誓いとして、その日のうちに拓海と身体関係を持ち、処女を失った。
***
「結婚はまだしたくないです。もう少し、自由を下さい」
大学時代、女子大だったのもあり、本気で好きになる人とは出会えなかった。
インターンシップで知り合ったゼネコンの設計士と何人かと付き合ったけど、長続きしなかった。
「今すぐに結婚しろとは言わない。だが、週2回は会って、俺と関係性を作る努力はして欲しい」
「……わかりました」
拒絶したいけど、シュフがステーキ焼きに個室に入ってきたから、話を終わらすために了承した。
“鉄板焼きHAMADAに来て”
LINE送って既録着いてから5分後。
夕食を共にする気はないのに勝手に予約を入れて、地図送付付きのメッセージを送ってきた。
ショールームから徒歩10分圏内にあるラグジュアリーホテル内にある人気鉄板焼きの店。
気になってたけど、1人では入りにくいし、友人や同僚と入りにくい高級店。
個室にわざわざシュフが来て、高級肉と新鮮な海鮮を焼いて出してくれる。
拓海と2人きりだと会話が続かないから、こういう食事はありがたい。
「ご苦労さん」
先についていた拓海が、料理をオーダーしてくれていて、シュフが伊勢海老と鮑を焼き始めていた。
「明日、休館日だから休みだろ?」
目の前に焼きたての伊勢海老とアワビが置かれ、前菜の盛り合わせと共にソムリエらしき人がが白ワインのボトルを持ってきて、グラスに注がれた。
「凛子が大学卒業して以来だから、3ヶ月ぶりだよね。再会に乾杯」
シュフとソムリエが個室から退出し、2人きりなった。
5歳年上の拓海。
幼稚園に通ってた時、本を読んでくれたり、子供のテーマパークみたいなところに連れて行ってくれたりと、よく遊んでくれてた。
拓海も県外の私立の中高一貫校に進学し、小学生時代は夏休みに会うぐらいだった。
私が中学生になってからは帰省する盆正月に義務的に会わされた。
大学進学後はお互いが東京にいるため、連絡を取り合って会うよう言われるものの、親からの干渉が無くなった事をいい事に全く会ってなかった。
「凛子、ショールームアドバイザー向いてないだろ。カタログに載ってる事をただ黙々と話すAIロボットみたいだったよ」
私立女子大で住居空間デザインを学び、建築・インテリアデザインを中心にした家具・陶芸・テキスタイルなどのプロダクトデザイン、コミュニティデザイン、ビジュアルデザインをする仕事をしたかった。
そのために在学中にインテリア関係の資格を取得するために大学以外に夜間の専門学校と通信教育を受講し、実務経験が必要ない資格は全て取得し、資格を持っている。
「……祖父にTATAで働かないなら家族としての縁を切ると言われたから仕方がなかったんです」
両親は何も言わないが祖父は口を出してくる。
TATAを創業した永倉智徳を尊敬していた祖父。
自身の無力さから経営から外れるも、TATAを取り返したいと野心を抱き、一族全員を振り回している。
「俺と結婚すれば、好きな事しても問題ないんじゃない?専業主婦で家でのんびり暮らしてもいいし、空間デザイナーの仕事を紹介してもいい」
結婚しても祖父は寝たきりで話せなくなるまで、私にTATAに勤務し続けろというだろう。
「大学卒業して3ヶ月しか経ってないのに結婚なんて嫌です。TATAでの仕事が全てではないです」
いつかは諦めて結婚しないといけないけど、今ではない。
既婚者というしがらみに縛られたくない。
「大学時代に好きにさせてただろう。さすがにこれ以上は許す事はできない。凛子は俺の事を嫌ってるかもしれないが、俺は凛子と夫婦として上手くやっていきたい。そのためにこれから関係性を築いていきたい」
高校卒業後、東京で拓海と2人きりで会った時に私は言った。
『拓海、結婚するまではお互い自由恋愛しよう。結婚後も跡取りできたらそれ以降は仮面夫婦になろう』
と。
拓海は『俺は凛子と愛情がある夫婦になりたい』と言ってきたが、無理だと思った。
『……結婚は逃れられないからするしかないけど、自分から好きになった人と束の間の恋愛をしたい』
私立中高一貫女子校での寮生活。
習い事で校外に出てたけど、男女交際禁止でバレたら親に連絡され停学になるため、他校の男子生徒から告白されても付き合う気にはなれなかった。
『婚約者いるのに何考えてるんだよ』
最高峰の国立大学の大学院工学系研究科で建築学を専攻している拓海。
家柄もよく眉目秀麗で長身な拓海はモテるはず。
大学進学してから彼女という存在を作って、遊んでいたはず。
『ねぇ、私の初めて拓海にあげるから、だから、結婚するまでは自由にさせて』
あまりに私が不憫だったのか、拓海は受け入れてくれた。
誓いとして、その日のうちに拓海と身体関係を持ち、処女を失った。
***
「結婚はまだしたくないです。もう少し、自由を下さい」
大学時代、女子大だったのもあり、本気で好きになる人とは出会えなかった。
インターンシップで知り合ったゼネコンの設計士と何人かと付き合ったけど、長続きしなかった。
「今すぐに結婚しろとは言わない。だが、週2回は会って、俺と関係性を作る努力はして欲しい」
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