ひと夏だけと思ってたアバンチュール

prologue

6月の終わりの週の土曜日に結婚式を挙げる予定だった。

なのに……

『……奈月、ごめん。今、俺が教育係をしてる吉川さんを妊娠させてしまった。だから、別れてくれ』

結婚式の3ヶ月前に結婚を破談にされた。

わたしは同じ会社の新人時代に教育係をしてくれた彼とお付き合いしていた。

そして2年目のクリスマスイブにプロポーズをされた。

優しくて有能な尊敬する彼とお付き合いをし、夫婦になる事がとても嬉しかった。

結婚を決め親同士の顔合わせから式の準備を2人で進め夫婦になる日を待ちわびてた……。

なのに、彼から今教育をしている女の子とお酒を吞みすぎた故の過ちで、1度だけ関係を持ってしまい妊娠させてしまったと言われ、別れを切り出された。

お腹の中にできた赤ちゃんを堕ろせとは言えない。
引き取って育てるのも養育費を払うのも違う気がする……。
それ以前に彼がわたしとの別れを選択したから、わたしは泣き寝入りするしか無かった。

ただ結婚式場のキャンセル料と今までにかかった費用を慰謝料として請求した。

婚約していた有能な彼を新入社員に寝取られた惨めなわたし。
周囲からの哀れみの目がつらく、仕事を辞める事にした。

婚約を解消され、仕事も失ったわたし。
精神的に病んでしまい、ひと夏だけ仕事をせず、ゆっくり気ままに生活をする事にした。

食料や日用品の買い出し以外は家から全くでず、引きこもりになりそうになってたわたし。

このままではまずいと結婚式の二次会に着て行けそうなドレス仕様のアプワイザーリッシェの桜色のワンピースを着て、お酒を楽しむためのBARを探しに銀座へやってきた。

そこで、隠れ屋的なBAR 海月を見つけ、引き込まれるように戸を開け入り、カウンターに座ってバーテンダーにおしゃれなカクテルを注文して呑んでた。

そこでわたしは極上の男と出会う……。


元大手IT企業 Yahaa！！
システムエンジニア

本名:
香坂 奈月（こうさか なつき）
芸名:
宮坂愛凛（みやさか あいりん）

25歳