ひと夏だけと思ってたアバンチュール

鳴宮鶉子

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極上の男に口説かれて

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IT業界で名高い Yahaa!!でシステムエンジニアをしていたわたし。
毎日早朝から深夜までひたすらwebページの更新に明け暮れる日々を解放され、賃貸マンションでのんびり見ようと撮りためてたドラマやUネクストをひたすら見てた。

恋愛ドラマを見るのはきつい。

わたしはジ・エンドで周りからの哀れみの目がつらくてやりがいのあった仕事も辞めた身で、ドラマのヒロインが苦難を乗り越えて幸せを掴むのを見る事ができないでいた。

婚約していた彼と別れ、仕事を辞め、1ヶ月が経とうとしていた。

フリーランスのIT関係の派遣会社に登録をし単発でHPの作成などを請け負い、暇つぶしで内職的に取り組んだり、昔趣味でしてたポカロとNight Coreに悲恋の曲作り歌を吹き込みニコニコ動画やYouTubeに動画を投稿をして時間を潰してた。

「……引きこもってばかりいたらよくないよね」

引きこもって2週間が経とうとした金曜日に、婚約破棄された彼に可愛いと言って貰うために購入したアプワイザーリッシェのキレイ空色のワンピースに身を包み、シャネルの桜色のヒールとバックで武装して銀座のBARに行く事にした。

フリーランスでHPやネットショッピングのショッピングサイト作成を請け負い、YouTubeに歌ってみた動画をあげるだけで在職中よりも稼ぎは良い。
でも、気が乗ってる時だけ仕事をし、それ以外はスライムみたいにだらけている生活に女という性を忘れそうになりつつあった。

久しぶりにオシャレを新宿駅側の賃貸マンションから出て、銀座にやってきた。

華やかな銀座の繁華街でひっそり隠れ屋的に営業している海空を見つけ、戸を開けて中に入った。

LIVE BAR仕様の広い店内。
BOYに案内されて中央のカウンターに案内された。

「お酒をお作りしますがいかがなさいますか?」

「……お酒にあまり詳しくなくて、甘い系のカクテルをお願いします」

ダンディなマスターに声をかけられ、慌ててこたえる。

マスターがなれた手つきでシェイカーに3種類のお酒を入れて振る。

「ジンをベースにマンゴーとパイナップルの南国風カクテルを作りました。お気に召したら幸いです」

グラスに入れられた黄色い透き通った綺麗なカクテルを口に含む。
甘酸っぱくて美味しい。

「マスター、今日の涼真くる?」

「21時にくるって連絡ありましたよ」

「やったー!!」

露出度が高い若い女性達がキャーキャー歓声をあげてた。

ちびちびと甘いカクテルを飲み進めてるとLIVEスペースでアマチュアバンドのメンバーが演奏を始めた。

YouTubeで歌ってみたでよく動画をあげてるメンバーで、営業で BARで歌ったりしてるんだと見てた。

「マスター、LIVEは誰でも参加できるんですか?」

3組のアマチュアバンドの演奏を聴いていて、わたしもやってみたくなり、マスターに聞いてみた。

「1週間前に予約をしてくれたら謝礼付きで歓迎してるよ。
今日は月末で歌い手が集まらなくて20時半から30分間空いてるから出てみる?」

2杯目のアセロラとザクロの赤ワインベースのカクテルを呑み、気分を良くしたわたしは出来心でステージに立つ事にした。

カラオケもあるらしく、YouTubeでNight Coreで歌ってみた動画をあげてヒットした有名な名曲 【ベスト フレンズ】を熱唱した。

「……この声、宮坂愛凛じゃない?」

「ニコニコ動画とYouTubeでアマチュアなのにトップ20に入る、あの宮坂愛凛の声に似てる!!」

騒つく観客の反応に笑みが溢れそうになりながら、5曲熱唱する。

「絶対に宮坂愛凛だ!!」

歌い終わりステージを降りる。「宮坂愛凛ですか?」と聞かれたら「違います」と本人だけどシラを切り中央のカウンターに戻り、お酒を飲む事にした。

「お嬢さん、プロ並に歌が上手だね」

「ありがとうございます」

「1曲につき1杯サービスしてるから後3杯お作りします。グレープフルーツとヨーグルトのウォッカベースのカクテルを作ってみました。どうぞ」

マスターが爽やかな酸味が美味しいカクテルを作ってくれた。

「キャーー、涼様❤︎」

ゆっくりカクテルを口に含み楽しんでると女性客の大きな歓声がしてびっくりしLIVEステージの方を向いた。

「彼は曲だけの提供しかしてないですがプロのアーティストなんですよ」

某車メーカーのCMソングと東映アニメの主題歌を本人が熱唱していて、ついつい聴きいってしまった。

同じく5曲を歌い終わり、観客のアンコールに応えて2曲歌いきりステージを降りてバックに下がっていった。

LIVE担当のボーイがマスターのところに駆け寄り耳元でなにか囁く。

「お嬢さん、涼真さんが貴方とお酒を呑みたいというのでVPルームにきてくれませんか」

マスターが小声でわたしに聞いてきた。まさかの誘いにどうしようかと少し悩んだけれど、誘いにのった。

ボーイに案内され、2階のVIPルームに向かう。

LIVEステージの前に彼のファンが大勢集まっていて、歌声は聞こえても本人の姿を見る事はできなかった。

本業があるからとテレビやラジオ、雑誌などに姿を表せないアーティスト。

なのに、新曲はいつもオリコンでCD売り上げナンバー1でダウンロード件数もナンバー1、YouTube再生回数は初日に1億回を越す人気アーティストで、本人に呑みの同席に声をかけて貰えた事がとても光栄で嬉しかった。


2階のVIPルームに案内されると1階が見下ろせるカウンター席があり、そこに橘涼真(たちばな りょうま)さんがいた。

サーロンランのTシャツとパンツにアルマーニのスニーカーを合わせたおしゃれな男性。

背は180cm前後で引き締まった細身の体型に顔は中性的だけど目鼻が整っていて美しすぎるほど端正な顔立ちをしていた。

「……本名は違うかもしれませんが、宮坂愛凛さんですよね?貴方の曲をよく聴きます。だから本人に違いないはずです」

左の席の椅子を下げられたからそこに腰をかけた。

「愛凛さんの生の歌声を聴かせて頂きました。透き通った甘い高い歌声、好きです。アニメーション動画で歌われてるからご本人は初めてお目にかかりましたが、想像した以上に美しい方で見惚れてしまいました」

ブランデーの水割りを口に含みながら橘涼真さんがわたしに笑いかけながら話す。

彼の美しさに魅入ってしまうわたし。
話し方も丁寧で、4杯目のテキーラベースのマリアテレサという名のカクテルを勧められて飲んだ。
ライムとクランベリーの赤みの強いピンク色の美しいカクテル。
フランス王妃マリー・テレーズ・ドートリッシュの名前を付けられたと思う「野にひそやかに咲くスミレのような方」と呼ばれた王妃のように、程よい酸味が心地よい、上品な味わいのカクテルで、わたしに似合うと言われ、照れながら口にした。

「5杯目は……食後のコーヒーでカルーアミルクを注文しようか」

音楽の話をしながらお酒を飲む。橘涼真さんは仕事があるからとブランデーの水割り1杯だけのみ、最後にアイスコーヒーを頼んでた。
わたしもアイスコーヒーを頼みたかったけれど初めて BARにきたことを話すとせっかくだからと美味しいカクテルを勧められた。

3杯呑んでも平気だったのに、橘涼真さんに勧められて呑んだお酒を呑んでから足元が覚束なく頭もガンガンしてふらついた。


橘涼真さんと BARの裏口から出て、ボーイに呼んで貰ったタクシーに一緒に乗ったのは覚えてる。

タクシーが走る揺れが気持ちがよくて、眠ってしまった。

目覚めたのはホテルではないけれど強化ガラスの広い窓からの景色から高層マンションの一室で、キングサイズのベッドに……裸で寝ていたわたし。

久しぶりに感じる恥部と骨盤の痛みと違和感。

「起きた?おはよう」

アルマーニのボーダーシャツとジーンズをカッコよく着こなしてる橘涼真さんが爽やかな笑顔を向け、ベッドで半身起き上がってるわたしに近づいてきた。
慌てて薄い掛け布団で身体を隠す。

「昨日じっくり見て堪能したから隠すのは今さらだよ。とても綺麗で感度がよくて気持ちがいい身体だったよ」

橘涼真さんはベッドに腰をかけ、わたしの下あごに手をやり、わたしの顔に顔を近づけて見つめてきた。

そしてわたしの唇に唇を合わせ啄むキスを何度かし、舌でわたしの唇をこじ開け舌をわたしの口内に挿れわたしの舌に舌を絡めてくる。

「朝っぱらだけど、やろっか」

ベッドから立ち上がりシャツとジーパンを脱ぎ、わたしの上に覆いかぶさると掛け布団を剥ぎ取り何も身につけてないわたしの身体を手と口で翻弄させていく。

あまりの気持ちよさにわたしは淫乱な甘い声をあげ、恥部からは愛液が溢れ出ていた。

わたしが感じよがってるのを嬉しそうに眺め、橘涼真さんはパンツを脱ぎ、勇ましく硬くなった逸物をわたしの中に埋めた。
激しく突かれよがるわたしをうつ伏せにしさらに奥まで突いてくる。

かなり気持ち刺激に酔ってると体勢を騎馬位にされ、「自分で気持ちいところに当たるように動いて」と言われ、恥ずかしながら腰を振った。

「そろそろ終わりにしようか」

上半身を起き上がり、わたしを抱きしめその体勢で奥を刺激された後に押され、ディープなキスをされながら激しく突かれわたしの中が痙攣するとともに橘涼真さんはわたしの中に遺伝子を放出した。


「赤ちゃんができたら責任とって結婚するから。なんなら、今すぐに籍を入れる?愛凛の事、気に入ったから俺はいいよ」

わたしの中から繋がった逸物を抜き、ちり紙で拭いてパンツを履き、服を着ていく橘涼真さん。

わたしも服を着ようと下着と昨日着ていた空色のワンピースを探すが見つからない。

婚約していた彼が新入社員の女の子と飲みに行って寄ってホテルに行ってやらかして妊娠させて責任を取り、わたしと別れてその子と結婚した。

誰もが憧れる橘涼真がわたしを孕ませて結婚しようという発言に腹ただしさを感じた。
そして、橘涼真が会って間もないお互いのことを何も知らないのに籍を入れようと言ってきた事に対しても違和感を感じる。

「愛凛の服は隠した。この週末はクライアント先に出向く仕事もないしオフィスにも行く用事はない。
愛凛を手懐けたい。
裸でいるのは嫌だよな……。
俺のTシャツを着てて」

そういうと橘涼真さんはサンローランのデザインTシャツを出してきてわたしに着せた。

「ブランチを用意したから一緒に食べよう」

橘涼真に手を引かれ、ベッドから立ち上がって寝室を出て、広いリビングに繋がってるダイニングキッチンへ行き、テーブルに並んだキッシュやカルパッチョなどのデパ地下で売ってそうなイタリアン料理を橘涼真さんと向き合い食べた。

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