8 / 28
人化チンパンジー
しおりを挟む
「……遺伝子組み替えチンパンジーが人に紛れもなく違い姿で産まれるってヤバくないですか!!」
年明け早々に入ったゲノム編集で遺伝子組み替えしたチンパンジーベビーの誕生で、大騒動が起きた。
仕事始めの4日に将生くんと安達教授、一輝おじさんと飛行機で大学附属の野生動物研究センターに向かった。
「……毛が薄くて皺も少なく、人じゃないですか?」
「………」
やらかした満載の遺伝子組み替えチンパンジー。
進化の過程を考えれば、人に違いチンパンジーが産まれもおかしくない。
「5人中2匹は残念ですが、死産でした。22番トリソミー編集固体は全て問題なく健康です」
トリソミーの染色体をゲノム編集して正常にしただけの5人は母親のチンパンジーに抱っこされて甘えていて、見るからに元気そうで障害があるようには思えない。
飼育員さんから見せられたチンパンジーの誕生後の体重と身長、簡単な身体検査も健康体と全く変わらないとの事。
22番トリソミー編集12番と13番融合固体の3人は誕生後に母親から引き離し、保育器に入っている。
「……エコーの感じ、内臓疾患はないと思われるが」
一輝おじさんが保育器に小型超音波プローブを入れ、検査していく。
「亡くなった2匹を大学に持ち帰って、詳しく検査しよう」
人の新生児と同じで全身に毛が生えてなく、頭が大きい22番トリソミー編集12番と13番融合固体。
一般的なチンパンジーの新生児よりも脳が発達していると思われる。
紛れもなく、人に違いチンパンジー。
ヒトとサルの遺伝子は、99%同じだといわれている。1%の差による一番大きな違いは脳の大きさ。人間の脳の重さはチンパンジーの約3.5倍。一般的に脳の大きさに比例して知能が高くなると考えられている。
生き残った3人の22番トリソミー編集12番と13番融合固体も、生後1週間たたずに亡くなってしまった。
亡くなった5人の22番トリソミー編集12番と13番融合固体の解析結果、人の遺伝子と約99.84%が同じと出て、動揺する。
人の体は30億の塩基対て成り立っていて、ひとりひとりに特有なものはごくわずか、遺伝子の約99.9%は隣の人と似通っている。
人化したチンパンジーを生み出してしまった。
神の領域に手を出し倫理的に反した実験だったけれど、人の遺伝子を移植したわけではなく、人化チンパンジーが亡くなったのもあり、猛烈に叩かれる事はなかった。
胚盤胞のゲノム編集でトリソミーを治療する事ができるという実験結果は、医学的な快挙となった。
「愛花の研究データ、役に立ったな」
チンパンジーの遺伝子をゲノム解析してポリジェニックスコアのデータを収集し、人間に近い高知能なチンパンジーを創り出す研究を私はしていた。
全国各地にある動物園から届いたチンパンジーの血液のゲノム解析結果の分析は根気がいる。
日本国内にある54施設にいるチンパンジー280頭のデータをパソコンに打ち込み、分析する。
「愛花の研究データ、役に立ったな」
チンパンジーも遺伝子の数は人と同じ30億の塩基対。
将生くんは私が入力しているチンパンジーの遺伝子塩基対のパソコンデータをいつの間にか見て、人化チンパンジーの実験を思いついた。
将生くんが発表したゲノム編集による人化チンパンジーとトリソミー治療の論文の共同研究者として、私の名前も刻まれた。
倫理的に反した実験の共犯者となってしまった。
「愛花、大阪大学から助教にならないかってスカウトきたけど、どうする!」
「……ここで研究続けたい」
助教にはなりたい。
だけど、将生くんの研究パートナーを務めたい。
「……将生くん、倫理に反した事に手を出したらいけないよ」
「……セーフだ。遺伝子組み替えではない」
安達クリニックで行っている遺伝子組み替え。
患者さん本人の胚盤胞の染色体交換はセーフなのか?
アウトだとわかってるからか、将生くんはこのやらかしを公にはしていない。
年明け早々に入ったゲノム編集で遺伝子組み替えしたチンパンジーベビーの誕生で、大騒動が起きた。
仕事始めの4日に将生くんと安達教授、一輝おじさんと飛行機で大学附属の野生動物研究センターに向かった。
「……毛が薄くて皺も少なく、人じゃないですか?」
「………」
やらかした満載の遺伝子組み替えチンパンジー。
進化の過程を考えれば、人に違いチンパンジーが産まれもおかしくない。
「5人中2匹は残念ですが、死産でした。22番トリソミー編集固体は全て問題なく健康です」
トリソミーの染色体をゲノム編集して正常にしただけの5人は母親のチンパンジーに抱っこされて甘えていて、見るからに元気そうで障害があるようには思えない。
飼育員さんから見せられたチンパンジーの誕生後の体重と身長、簡単な身体検査も健康体と全く変わらないとの事。
22番トリソミー編集12番と13番融合固体の3人は誕生後に母親から引き離し、保育器に入っている。
「……エコーの感じ、内臓疾患はないと思われるが」
一輝おじさんが保育器に小型超音波プローブを入れ、検査していく。
「亡くなった2匹を大学に持ち帰って、詳しく検査しよう」
人の新生児と同じで全身に毛が生えてなく、頭が大きい22番トリソミー編集12番と13番融合固体。
一般的なチンパンジーの新生児よりも脳が発達していると思われる。
紛れもなく、人に違いチンパンジー。
ヒトとサルの遺伝子は、99%同じだといわれている。1%の差による一番大きな違いは脳の大きさ。人間の脳の重さはチンパンジーの約3.5倍。一般的に脳の大きさに比例して知能が高くなると考えられている。
生き残った3人の22番トリソミー編集12番と13番融合固体も、生後1週間たたずに亡くなってしまった。
亡くなった5人の22番トリソミー編集12番と13番融合固体の解析結果、人の遺伝子と約99.84%が同じと出て、動揺する。
人の体は30億の塩基対て成り立っていて、ひとりひとりに特有なものはごくわずか、遺伝子の約99.9%は隣の人と似通っている。
人化したチンパンジーを生み出してしまった。
神の領域に手を出し倫理的に反した実験だったけれど、人の遺伝子を移植したわけではなく、人化チンパンジーが亡くなったのもあり、猛烈に叩かれる事はなかった。
胚盤胞のゲノム編集でトリソミーを治療する事ができるという実験結果は、医学的な快挙となった。
「愛花の研究データ、役に立ったな」
チンパンジーの遺伝子をゲノム解析してポリジェニックスコアのデータを収集し、人間に近い高知能なチンパンジーを創り出す研究を私はしていた。
全国各地にある動物園から届いたチンパンジーの血液のゲノム解析結果の分析は根気がいる。
日本国内にある54施設にいるチンパンジー280頭のデータをパソコンに打ち込み、分析する。
「愛花の研究データ、役に立ったな」
チンパンジーも遺伝子の数は人と同じ30億の塩基対。
将生くんは私が入力しているチンパンジーの遺伝子塩基対のパソコンデータをいつの間にか見て、人化チンパンジーの実験を思いついた。
将生くんが発表したゲノム編集による人化チンパンジーとトリソミー治療の論文の共同研究者として、私の名前も刻まれた。
倫理的に反した実験の共犯者となってしまった。
「愛花、大阪大学から助教にならないかってスカウトきたけど、どうする!」
「……ここで研究続けたい」
助教にはなりたい。
だけど、将生くんの研究パートナーを務めたい。
「……将生くん、倫理に反した事に手を出したらいけないよ」
「……セーフだ。遺伝子組み替えではない」
安達クリニックで行っている遺伝子組み替え。
患者さん本人の胚盤胞の染色体交換はセーフなのか?
アウトだとわかってるからか、将生くんはこのやらかしを公にはしていない。
0
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる