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ポスドクからヘルプドクターに
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『産婦人科に未熟児の緊急帝王切開ができる医師はいない。失敗を恐れて、執刀したがらない』
年度末に産婦人科医局に所属していた専攻医と若手医師が一斉に退局した。
工藤教授が一輝おじさんとママに相談してきたから、4月から1年間だけ、産婦人科医を引き受ける事に。
専門の周産期遺伝外来とIVF外来と、超超未熟児の帝王切開を担当。
「倉沢先生、25週3日650gの女児の緊急帝王切開をお願いします」
周産期遺伝外来中に産科看護師に呼び出され、ハイブリッド手術室に向かう。
「愛花ちゃん、大変だね」
周産期遺伝外来は安達教授、IVF外来は将生くんが担当医をしてる。
超超未熟児の緊急帝王切開の執刀は、私も怖い。
臍の緒がついたまま、鼻孔開放術を行い鼻腔内に挿管チューブを入れ、経鼻的にレーザーを用いて両側後鼻孔開放術を行い、吸引チューブをステントとして留置し、経鼻呼吸、経口哺乳できるようにし、高酸素をチューブから入れ込み、臍の緒を切断。
短時間でこれを行わなければ、赤ちゃんは死んでしまう。
帝王切開で切開した部分から赤ちゃんを取り出すのに15分かかってしまった。
「愛花、第1助手につけ!!」
縫合と後産の処理は産婦人科の助手に任せ、500g満たない新生児の内臓修復手術にまわる。
心疾患のファロー四徴症、食道閉鎖症と鎖肛、上気道閉塞。
鎖骨下動脈と肺動脈をつなぐブラロックータウシッヒ短絡手術と狭い右室流出路を拡大形成する心内修復術を外科的手術は有馬先生が行い、私はカテーテル手術で心室中隔欠損を閉鎖する。
その後、食道閉鎖症と上気道閉塞を有馬先生が、鎖肛を私が外科的に形成していく。
内臓が不完全で位置もぐちゃぐちゃ状態で、直腸と尿路の間に膣や子宮が下っていて修復がかなり難しい。
「あのう……私、産婦人科のヘルプなんですけど?」
「小児外科で新生児外科手術できる医師、足りてないんだ!!」
産婦人科に配属されたはずだけど、私は小児外科の第1助手を主にしてる気がする。
「愛花、私の娘なだけあって、オペセンスあるわっ!!」
新生児内科長をしてるママ。
小児外科専門医の資格も取得していて、一輝おじさんの第1助手としてオペに入る事がある。
「胚盤胞の疾患遺伝子をゲノム編集で組み替える研究も素晴らしいと思う。だけど、その技術の実用化はまだまだ先で、高額治療になるから1部の富裕層だけしかできないと思う」
専攻医を終えた後、ポスドクとして大学院に戻り、胚盤胞のゲノム編集の研究をする事をママは反対しなかった。
「人化チンパンジーとか、……安達クリニックで行ってる胚盤胞の遺伝子組み換え、このまま見逃してていいのか、悩ましい」
神の領域を犯す研究。
「疾患遺伝子を遺伝させない事は病気のリスクを無くす事に繋がるから最善だとは思う。だが、外見や知性、運動能力などのスペックも操作する事は倫理的に危ないと思う。涼真がというより将生くんが研究していて、最先端遺伝学ではあるから止められない事が悩ましい」
将生くんは大学病院では胚盤胞の組み替えをおこなっていない。
一般的な体外受精で、ただ患者さんの体液に近い培養液を調合し、受精率を高めているだけ。
一輝おじさんは安達クリニックで行なっている治療法を知っていた。
「胚盤胞のゲノム編集で遺伝子組み換えをする方法は学んだと思う。これ以上、彼らと関わる事はしばらくは控えた方がいい。小児外科の内臓修復手術を学ぶのも勉強になる。遺伝子疾患の治療現場を知る事でどこまで遺伝子組み換えが許されるかが判断できると思う」
一輝おじさんは、私の事を思って、将生くんから私を引き離した。
「凛太郎くんと愛花が私と一輝さんみたいなゴールデンペアになれるかしら」
ママは……私と有馬先生が恋仲になって夫婦になる事を期待してる気がする。
年度末に産婦人科医局に所属していた専攻医と若手医師が一斉に退局した。
工藤教授が一輝おじさんとママに相談してきたから、4月から1年間だけ、産婦人科医を引き受ける事に。
専門の周産期遺伝外来とIVF外来と、超超未熟児の帝王切開を担当。
「倉沢先生、25週3日650gの女児の緊急帝王切開をお願いします」
周産期遺伝外来中に産科看護師に呼び出され、ハイブリッド手術室に向かう。
「愛花ちゃん、大変だね」
周産期遺伝外来は安達教授、IVF外来は将生くんが担当医をしてる。
超超未熟児の緊急帝王切開の執刀は、私も怖い。
臍の緒がついたまま、鼻孔開放術を行い鼻腔内に挿管チューブを入れ、経鼻的にレーザーを用いて両側後鼻孔開放術を行い、吸引チューブをステントとして留置し、経鼻呼吸、経口哺乳できるようにし、高酸素をチューブから入れ込み、臍の緒を切断。
短時間でこれを行わなければ、赤ちゃんは死んでしまう。
帝王切開で切開した部分から赤ちゃんを取り出すのに15分かかってしまった。
「愛花、第1助手につけ!!」
縫合と後産の処理は産婦人科の助手に任せ、500g満たない新生児の内臓修復手術にまわる。
心疾患のファロー四徴症、食道閉鎖症と鎖肛、上気道閉塞。
鎖骨下動脈と肺動脈をつなぐブラロックータウシッヒ短絡手術と狭い右室流出路を拡大形成する心内修復術を外科的手術は有馬先生が行い、私はカテーテル手術で心室中隔欠損を閉鎖する。
その後、食道閉鎖症と上気道閉塞を有馬先生が、鎖肛を私が外科的に形成していく。
内臓が不完全で位置もぐちゃぐちゃ状態で、直腸と尿路の間に膣や子宮が下っていて修復がかなり難しい。
「あのう……私、産婦人科のヘルプなんですけど?」
「小児外科で新生児外科手術できる医師、足りてないんだ!!」
産婦人科に配属されたはずだけど、私は小児外科の第1助手を主にしてる気がする。
「愛花、私の娘なだけあって、オペセンスあるわっ!!」
新生児内科長をしてるママ。
小児外科専門医の資格も取得していて、一輝おじさんの第1助手としてオペに入る事がある。
「胚盤胞の疾患遺伝子をゲノム編集で組み替える研究も素晴らしいと思う。だけど、その技術の実用化はまだまだ先で、高額治療になるから1部の富裕層だけしかできないと思う」
専攻医を終えた後、ポスドクとして大学院に戻り、胚盤胞のゲノム編集の研究をする事をママは反対しなかった。
「人化チンパンジーとか、……安達クリニックで行ってる胚盤胞の遺伝子組み換え、このまま見逃してていいのか、悩ましい」
神の領域を犯す研究。
「疾患遺伝子を遺伝させない事は病気のリスクを無くす事に繋がるから最善だとは思う。だが、外見や知性、運動能力などのスペックも操作する事は倫理的に危ないと思う。涼真がというより将生くんが研究していて、最先端遺伝学ではあるから止められない事が悩ましい」
将生くんは大学病院では胚盤胞の組み替えをおこなっていない。
一般的な体外受精で、ただ患者さんの体液に近い培養液を調合し、受精率を高めているだけ。
一輝おじさんは安達クリニックで行なっている治療法を知っていた。
「胚盤胞のゲノム編集で遺伝子組み換えをする方法は学んだと思う。これ以上、彼らと関わる事はしばらくは控えた方がいい。小児外科の内臓修復手術を学ぶのも勉強になる。遺伝子疾患の治療現場を知る事でどこまで遺伝子組み換えが許されるかが判断できると思う」
一輝おじさんは、私の事を思って、将生くんから私を引き離した。
「凛太郎くんと愛花が私と一輝さんみたいなゴールデンペアになれるかしら」
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