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別れたい
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“結花、ゼミの飲み会いく?今回は教授参加だって。だからわたしも結城も出席にした”
7月の終わりに毎年恒例のゼミの飲み会のグループラインがきた。
就職して1年目は咲香ちゃんが出席したからわたしも行った。
去年と一昨年は行かなかった。
“咲香ちゃんが参加するならわたしも行く。でも、今年はお盆休暇は実家に帰省するつもりだから実家から飲み会会場に行く”
自動車関係の会社はお盆休みは長い。
今年は9連休で、毎年13、14、15だけ帰省してるけど今年は連休中は実家で過ごす事にした。
『実家で飼ってるチワワが老衰していて最後になるかもしれないからお盆休暇は実家に帰っていい?』
実家で飼ってる柴色チワワのコロンが15歳で老衰してるのは事実だけど、理人さんと少し離れたくて実家に長期帰省する事にした。
連休初日に実家の神戸に帰ってきたわたし。
「結花、お帰り。今年の連休ずっとこっちにいるって桐谷さんと喧嘩でもした?」
家の中に入ると玄関まで出てきた母に言われて焦る。
「……してないけど、コロンが6月に危篤状態になったと連絡くれたから今年の夏はコロンとゆっくり過ごそうかなと思って」
15歳だけど元気なコロンが尻尾を振ってわたしの足元にやってきた。
抱き上げたらわたしの唇をペロペロ舐めいつも通りのコロンで2ヶ月前に死にかけたとは思えないぐらい元気そう。
家に上がり、自分の部屋にコロンを連れて入る。
勘のいい母に何を聞かれるかわからない。
実家に戻ったからと特にやる事はなく、コロンと戯れながら高校時代に買い揃えてた漫画を読んだり、iPadで携帯小説を読んだりして過ごした。
10日からお盆休暇で11日にゼミの飲み会が行われるから昼過ぎに新幹線で京都に向かった。
京都駅で咲香ちゃんと待ち合わせをして駅ナカにあるスタバで冷たいスムージーを飲みながら時間を潰す事にした。
咲香ちゃんは1人暮らしをしているけれど実家は名古屋で、だから15日だけ実家に戻るとかで連休に入ってから暇を持て余してると言ってた。
「老犬は元気なの?」
「うん。チョコレートを食べてショック状態になって危篤状態だったみたいだけどすぐに動物病院に連れて行って点滴治療をしたから今はもう大丈夫みたい」
咲香ちゃんにもコロンを理由にお盆休暇を実家で過ごすと伝えてた。
スタバでマンゴー パッション ティー フラペチーノを飲みながら、2時間ほど咲香ちゃんとおしゃべりをして、飲み会の会場へ向かった。
2年ぶりに会うゼミの仲間、みんな仕事で揉まれてるからなのかしっかりした大人に成長してた。
ホンタや日創、マツタ、タナカでエンジン制御の仕事に携わる同期や先輩、後輩がいた。
「初瀬さん、いつもありがとうね」
トミタ以外のメーカーからもエンジン制御ECUを請け負ってるから、8人ほど仕事で関わりがあり、挨拶から話が膨らみ、色々相談を受けた。
「結花はスゴイよね。エンジン制御ECUシステムのスペシャリストだよ」
仕事でら絡みがある人達から話しかけられ咲香ちゃんの隣に座ってたけど全く話せなくて、咲香ちゃんはぶすっとしてしまった。
「……わたしは要求仕様書通りにしかプログラムをかかないから凄くないよ」
仕様書通りにシステム開発をしてるのは事実で、トミタに関しては多少なりに話せそうな担当者だったら提案はしても、不具合が出ない限りはわたしからこうしたらいいとかそういうことは言わない。
「結花はいいよね。仕事ができて、可愛いしスタイルいいし、桐谷部長が彼氏だし……」
ビールをジョッキで3杯飲み干してた咲香ちゃんはかなり酔ってた。
自分の容姿と恋人が理人さんみたいにハイスペックな人で、それでやっかみをいつも買ってる。
見た目と恋人が凄い人と思われたくなくて、仕事でも成果を挙げてたりする。
成果を挙げても、理人さんがサポートをしてると社内で言われてたりする。
咲香ちゃんは酔ってるからそんな事を言うんだと思って、聞き流した。
咲香ちゃんと泊まろうと京都駅側のプリンセスホテルのツインを予約していたわたし。
県外就職組はほぼ全員が京都就職組の家に泊まるもしくは事前にホテルをとっていて、二次会でカラオケに行き、午前2時過ぎまでハメを外して騒いで過ごした。
「……天沢、酔い過ぎだろ」
お開きの前にソファーにもたれる形で眠ってしまった咲香ちゃん。
「プリンセスホテルをとってんだっけ?」
「うん」
「俺もプリンセスホテルをとってるからコイツ連れて行くわ」
結城くんが咲香ちゃんを背負った。
京都駅側の居酒屋で飲んで近くのカラオケチェーン店に入ったからホテルまで歩いて10分ほどで、結城くんとタクシーに乗らずに歩いてプリンセスホテルまで向かった。
結城くんが咲香ちゃんを客室のベッドに降ろす。
そして咲香ちゃんから離れようとしたら完全に酔ってる咲香ちゃんが結城くんに抱きついた。
「……結城、好き」
咲香ちゃんは完全にわたしの存在を忘れてる。
結城くんもかなり焦ってた。
咲香ちゃんが結城くんの事をライバル視していて、たぶん好きなんじゃないかなっと思ってたわたし。
「結城くん、わたしと部屋交換してくれる?すぐに結城くんの荷物をとってくるから、始めるのはもう少し待ってて」
結城くんが持っていたルームキーをとり、シャネルのボストンバッグを持って部屋を出た。
同じ階だったから結城くんのリュックサックを直ぐに部屋まで届ける事ができた。
「おやすみなさい」
困ってる結城くんと結城くんの服を掴んで眠ってしまった咲香ちゃんに手を振り部屋を出る。
プリンセスホテルのシングルの部屋。
シャワーを浴びてベッドの中に入る。
咲香ちゃんと結城くん、交際に発展するかな。
同じ会社で同じ部署、お似合いのカップルになりそう。
そんな事を考えてたらいつのまにか眠りについてた。
咲香ちゃんと結城くんに会うと気まずいから7時半に目が覚め、着替えてメイクをしてプリセスホテルを出た。
新幹線で神戸に戻り、実家に帰る。
実家に帰省してから理人さんにLINE通話もメッセージも送ってない。
わたしが実家に帰省するから今年は理人さんはアメリカのボストンに旅行に行った。
ハーバード大学時代の友人達と会うらしい。
LINEを開いたら理人さんから友人達と飲んでる写真が5枚送られてたから、慌てて昨日撮ったコロンの写真を添付して送る。
実家に戻っても暇で、実家に戻ったけどすぐに東京に戻った。
土曜日の夕方までは理人さんはボストンにいるから、1人で気ままに過ごす事にした。
ゼミの飲み会の次の日、結花ちゃんから、
“なんで結城と同じ部屋にいるの”
とLINEメッセージが届いた。
“咲香ちゃんが結城くんの手を握りしめて離さないから、結城くんと部屋のチェンジをしたの”
と返信し、それ以降メッセージは返ってきてない。
たぶん、結城くんは咲香ちゃんに手を出してない。
新型ビッツのハイブリッド仕様のエンジン制御ECUシステムの仕事で休み明けに結花ちゃんが打ち合わせでくるから、その時にランチに誘って話を聞けたらいいな。
咲香ちゃんは大学入学した時からずっと親友だけど、クールな性格だからか彼氏という存在がいなかった。
わたしも大学時代は咲香ちゃんと一緒にいるのが楽で彼氏が居なかった。
咲香ちゃんが結城くんと上手くいったらいいなと思う。
理人さんと同棲している部屋に戻り、1人で気ままに過ごす生活。
1人は寂しいなと思いつつも、理人さんとこのまま付き合う事に躊躇するしわたしがいた。
理人さんはわたしの事を大切に愛してくれてる。
でもわたしは理人さんの恋人でいるのがつらかった。
理人さんの恋人というステータスでトミタとデルタの社員から見られるのが嫌だった。
7月の終わりに毎年恒例のゼミの飲み会のグループラインがきた。
就職して1年目は咲香ちゃんが出席したからわたしも行った。
去年と一昨年は行かなかった。
“咲香ちゃんが参加するならわたしも行く。でも、今年はお盆休暇は実家に帰省するつもりだから実家から飲み会会場に行く”
自動車関係の会社はお盆休みは長い。
今年は9連休で、毎年13、14、15だけ帰省してるけど今年は連休中は実家で過ごす事にした。
『実家で飼ってるチワワが老衰していて最後になるかもしれないからお盆休暇は実家に帰っていい?』
実家で飼ってる柴色チワワのコロンが15歳で老衰してるのは事実だけど、理人さんと少し離れたくて実家に長期帰省する事にした。
連休初日に実家の神戸に帰ってきたわたし。
「結花、お帰り。今年の連休ずっとこっちにいるって桐谷さんと喧嘩でもした?」
家の中に入ると玄関まで出てきた母に言われて焦る。
「……してないけど、コロンが6月に危篤状態になったと連絡くれたから今年の夏はコロンとゆっくり過ごそうかなと思って」
15歳だけど元気なコロンが尻尾を振ってわたしの足元にやってきた。
抱き上げたらわたしの唇をペロペロ舐めいつも通りのコロンで2ヶ月前に死にかけたとは思えないぐらい元気そう。
家に上がり、自分の部屋にコロンを連れて入る。
勘のいい母に何を聞かれるかわからない。
実家に戻ったからと特にやる事はなく、コロンと戯れながら高校時代に買い揃えてた漫画を読んだり、iPadで携帯小説を読んだりして過ごした。
10日からお盆休暇で11日にゼミの飲み会が行われるから昼過ぎに新幹線で京都に向かった。
京都駅で咲香ちゃんと待ち合わせをして駅ナカにあるスタバで冷たいスムージーを飲みながら時間を潰す事にした。
咲香ちゃんは1人暮らしをしているけれど実家は名古屋で、だから15日だけ実家に戻るとかで連休に入ってから暇を持て余してると言ってた。
「老犬は元気なの?」
「うん。チョコレートを食べてショック状態になって危篤状態だったみたいだけどすぐに動物病院に連れて行って点滴治療をしたから今はもう大丈夫みたい」
咲香ちゃんにもコロンを理由にお盆休暇を実家で過ごすと伝えてた。
スタバでマンゴー パッション ティー フラペチーノを飲みながら、2時間ほど咲香ちゃんとおしゃべりをして、飲み会の会場へ向かった。
2年ぶりに会うゼミの仲間、みんな仕事で揉まれてるからなのかしっかりした大人に成長してた。
ホンタや日創、マツタ、タナカでエンジン制御の仕事に携わる同期や先輩、後輩がいた。
「初瀬さん、いつもありがとうね」
トミタ以外のメーカーからもエンジン制御ECUを請け負ってるから、8人ほど仕事で関わりがあり、挨拶から話が膨らみ、色々相談を受けた。
「結花はスゴイよね。エンジン制御ECUシステムのスペシャリストだよ」
仕事でら絡みがある人達から話しかけられ咲香ちゃんの隣に座ってたけど全く話せなくて、咲香ちゃんはぶすっとしてしまった。
「……わたしは要求仕様書通りにしかプログラムをかかないから凄くないよ」
仕様書通りにシステム開発をしてるのは事実で、トミタに関しては多少なりに話せそうな担当者だったら提案はしても、不具合が出ない限りはわたしからこうしたらいいとかそういうことは言わない。
「結花はいいよね。仕事ができて、可愛いしスタイルいいし、桐谷部長が彼氏だし……」
ビールをジョッキで3杯飲み干してた咲香ちゃんはかなり酔ってた。
自分の容姿と恋人が理人さんみたいにハイスペックな人で、それでやっかみをいつも買ってる。
見た目と恋人が凄い人と思われたくなくて、仕事でも成果を挙げてたりする。
成果を挙げても、理人さんがサポートをしてると社内で言われてたりする。
咲香ちゃんは酔ってるからそんな事を言うんだと思って、聞き流した。
咲香ちゃんと泊まろうと京都駅側のプリンセスホテルのツインを予約していたわたし。
県外就職組はほぼ全員が京都就職組の家に泊まるもしくは事前にホテルをとっていて、二次会でカラオケに行き、午前2時過ぎまでハメを外して騒いで過ごした。
「……天沢、酔い過ぎだろ」
お開きの前にソファーにもたれる形で眠ってしまった咲香ちゃん。
「プリンセスホテルをとってんだっけ?」
「うん」
「俺もプリンセスホテルをとってるからコイツ連れて行くわ」
結城くんが咲香ちゃんを背負った。
京都駅側の居酒屋で飲んで近くのカラオケチェーン店に入ったからホテルまで歩いて10分ほどで、結城くんとタクシーに乗らずに歩いてプリンセスホテルまで向かった。
結城くんが咲香ちゃんを客室のベッドに降ろす。
そして咲香ちゃんから離れようとしたら完全に酔ってる咲香ちゃんが結城くんに抱きついた。
「……結城、好き」
咲香ちゃんは完全にわたしの存在を忘れてる。
結城くんもかなり焦ってた。
咲香ちゃんが結城くんの事をライバル視していて、たぶん好きなんじゃないかなっと思ってたわたし。
「結城くん、わたしと部屋交換してくれる?すぐに結城くんの荷物をとってくるから、始めるのはもう少し待ってて」
結城くんが持っていたルームキーをとり、シャネルのボストンバッグを持って部屋を出た。
同じ階だったから結城くんのリュックサックを直ぐに部屋まで届ける事ができた。
「おやすみなさい」
困ってる結城くんと結城くんの服を掴んで眠ってしまった咲香ちゃんに手を振り部屋を出る。
プリンセスホテルのシングルの部屋。
シャワーを浴びてベッドの中に入る。
咲香ちゃんと結城くん、交際に発展するかな。
同じ会社で同じ部署、お似合いのカップルになりそう。
そんな事を考えてたらいつのまにか眠りについてた。
咲香ちゃんと結城くんに会うと気まずいから7時半に目が覚め、着替えてメイクをしてプリセスホテルを出た。
新幹線で神戸に戻り、実家に帰る。
実家に帰省してから理人さんにLINE通話もメッセージも送ってない。
わたしが実家に帰省するから今年は理人さんはアメリカのボストンに旅行に行った。
ハーバード大学時代の友人達と会うらしい。
LINEを開いたら理人さんから友人達と飲んでる写真が5枚送られてたから、慌てて昨日撮ったコロンの写真を添付して送る。
実家に戻っても暇で、実家に戻ったけどすぐに東京に戻った。
土曜日の夕方までは理人さんはボストンにいるから、1人で気ままに過ごす事にした。
ゼミの飲み会の次の日、結花ちゃんから、
“なんで結城と同じ部屋にいるの”
とLINEメッセージが届いた。
“咲香ちゃんが結城くんの手を握りしめて離さないから、結城くんと部屋のチェンジをしたの”
と返信し、それ以降メッセージは返ってきてない。
たぶん、結城くんは咲香ちゃんに手を出してない。
新型ビッツのハイブリッド仕様のエンジン制御ECUシステムの仕事で休み明けに結花ちゃんが打ち合わせでくるから、その時にランチに誘って話を聞けたらいいな。
咲香ちゃんは大学入学した時からずっと親友だけど、クールな性格だからか彼氏という存在がいなかった。
わたしも大学時代は咲香ちゃんと一緒にいるのが楽で彼氏が居なかった。
咲香ちゃんが結城くんと上手くいったらいいなと思う。
理人さんと同棲している部屋に戻り、1人で気ままに過ごす生活。
1人は寂しいなと思いつつも、理人さんとこのまま付き合う事に躊躇するしわたしがいた。
理人さんはわたしの事を大切に愛してくれてる。
でもわたしは理人さんの恋人でいるのがつらかった。
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