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魂を送る料理 5
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旅人のゴブリン、ヤンスさんが口から出した言葉に、サーカは突然怒りだした。
「守り人の刑が闇魔法だと? ふざけた事を抜かすな! ゴブリン!」
サーカは白い鎧の胸についているワンドホルダーからワンドを抜くと、ヤンスさんに向けた。
「おい、サーカ・・・」
「黙ってろ、オビオ! いいか、ゴブリン! 守り人になるのはとても名誉な事なのだ。お前達、闇側種族のように名誉よりも力を崇める蛮人には解るまい! 国の為に死ぬ崇高さが! その名誉なる儀式が、闇側の魔法が元になっているだと?! 侮辱するのもいい加減にしろ!」
ワンドを突きつけられても、ヤンスさんはお構いなしで料理を食べている。
「あっしはメイジではないでやんすが、あれは闇側の土魔法でやんす。マナの流れを見ればわかるでやんすよ。魔人族が編み出した石化魔法がいつの間にか樹族国に伝わり、その石化した体に魂を固定化するように、改良されているいでやんす。石化と固定化。相手の魔法の実力がオーラとして見える樹族なら、見えるはずでやんすよ。守り人の中に流れるマナが」
「メイジでも・・・! ましてや樹族でもないお前に何が解る! いいだろう! 視てやるさ! しかし貴様の言葉が嘘だった場合、この場で死刑にしてやるからな!」
死刑って・・・。お前にそんな権限はないだろうが。
「いいでやんすよ」
ヤンスさんの態度からして、この件はサーカが負けを認めるだろう。
ゴブリンは狡賢く嘘つきが多いとサーカから聞いてはいるが、ヤンスさんは人を騙すような輩には見えない。純粋に世界を旅して、見た出来事を心に刻もうとする観察者だ。それは旅でくたびれた服装や、鞄に争いの傷がない事でも解るし、ヤンスさん自体に、ピーターのような二面性を匂わす影がない。
「・・・」
ナハトさんの石像を見つめるサーカの口が∞の形になった。これは負けを認めた時の顔だ。つまりヤンスさんの言う事が正しかったのだ。
「ええぃ! だったらなぜ! 誰も守り人の魔法が闇魔法だと騒がんのだ!」
「単純に石化魔法は、樹族国で普及していないからでやんす。殆どの者が闇魔法を忌避して知ろうともしない。知識が無ければ誰も騒ぎようがないでやんす」
「馬鹿な! ウィザード達が知らぬわけなかろう! 魔法の探求者である彼らが!」
「勿論、彼らは知っているでやんしょ。でも樹族には監視者がいるでやんす。守り人の秘術は闇魔法でしたなんて魔法の探求者達が言おうとしたら、一体全体どうなるんでやんすかね?」
監視者? 誰だ? 俺はサーカに訊こうとしたが、彼女は青い顔をして怯えていた。
「貴様・・・。何者だ! やはり闇側のスパイか!」
「ただの旅人でやんすよ。世界中で起こる、ありとあらゆる面白い出来事を、見逃したくないだけの旅人」
ゴブリン特有の高い眼窩上隆起の下にある、瓶底眼鏡が光った気がする。度の強い眼鏡越しにヤンスさんの視線が解るわけがない。
なのに、彼の鋭い視線は一瞬、俺を射抜いたような気がしたんだ・・・。なんでこっちを見た? 俺が異星人だってバレているのか? いや、それは俺の勝手な妄想だ。きっと彼は俺を見ていない。
「ワンドを収めろ、サーカ。俺は彼に触ったから解る。彼は実力値20の吟遊詩人だ。世界中を旅しているのだから、色んな知識があって当然だろ。それに黙っていたけどよ、俺は触れた者の性格や傾向も解るようになっているんだ。ヤンスさんは善人だ。秩序と正義を好む善人だ!」
俺はヤンスさんに触れた事を少し後悔していた。今頃になってヤンスさんの想いが頭に反響しだしたからだ。
目の前にいる小さなゴブリンの感情の濁流は、俺の頭の内側を壊す勢いでうねっている。そしてこの感情の具体的な原因を知ることは、指輪の力をもってしても知る事ができない。
(小さなゴブリンの身で、途方もない何かを・・・、それこそこの星の運命を背負っているような・・・。なんだろう、凄く恐ろしい・・・。ヤンスさんのことが恐ろしいんじゃない、ヤンスさんの背負っている何かは・・・、身震いするほどの重圧なんだ・・・)
重圧から垣間見える想いは絶望と悲しみ、そして自身は誰かに救いを求めるているのに、人々を助けなければという責任感。
(まさか・・・。ほんとにヤンスさんは神様なのか? いや、あり得ない・・・。神様ってのは人の手の届かない場所で、俺たちを見守っているものだ。きっとヤンスさんは色んな場所を旅して、色んな出来事を目にしてきたから、こんな感情を抱えて生きているんだ)
俺が脳内にある感情制御チップとナノマシンに、このプレッシャーや恐怖を取り払うよう頭の中で命令していると、サーカがいつものように憎たらしく鼻を鳴らした。
「フン。オビオも闇側種族だから、ゴブリンを庇っているのだろう」
サーカはワンドをホルダーに収め、座ると肉虫のフライをナイフとフォークで切り始めた。一応、俺の言葉を信じてくれたようだ。鑑定の指輪の力すげぇ。
「そんな事はねぇよ。なんなら、お前の人としての属性を当ててやろうか? サーカは一見堅物のようだが、秩序の範囲内なら、割とどうとでも転ぶ性格をしてる。トウスさんは法やルールを嫌うが、世界が人々の善意で成り立てばいいと考えている。ピーターは混沌と自身の利益を好む」
「僕だけ酷い言われようだよ! 訂正してよ!」
まーた可愛い地走り族を演じやがって・・・。
「当たってんだろ?」
誰も俺に返事をしない。気まずい顔をして料理を食べている。図星過ぎて言葉が出ないのだろう。というか誰だって、自分の内面を他人に見られたくはないよな。
あ、やべ! これ嫌われるやつだ。そのうち誰も俺に近寄ってこなくなるやつだわ・・・。気をつけよ・・・。
「凄いでやんすねぇ。その指輪の効果でやんすか?」
「いいだろ。ある貴族とした賭けの報酬なんだ」
どや顔をしながら、禿げた隻眼のギル伯爵を思い出す。
あの時、キャベツパンが無ければ、俺の顔はボコボコだったろうな。今頃どうしているだろうか? ワンドリッター侯爵の手の者に始末されていなければいいけど。殺されていないと思いたい・・・。あの人だって根っこは悪人じゃなかった・・・・。
「話を戻すでやんすが、石像が欠けたからって、中の魂が地獄に行くなんて事はないでやんす。あれはバジリスクトカゲやコカトリスの石化と違って、ただの石化と魂を留める固定化の魔法なんでやんすから」
「まじで? じゃあデイジーさんは、ナハトさんと一緒に成仏できるって事?」
ヤンスさんは自信を持って微笑んで頷いている。
「うおぉぉぉ!! やった!」
俺は思わずガッツポーズをして跳ねたので、片手に持っていたプレートの料理を落としそうになった。
「おっと・・・」
トレーから落としたフライを、ヤンスさんがキャッチしてくれた。
「これは情報代として頂いておくでやんす。しししし」
そう言うと彼は、がぶりと肉虫のフライにかぶりついた。
あっ! くっそー! まぁいいか。材料はまだあるし。
「でもさ、じゃあなんでナハトさんは、石像から出てこないのかな?」
焚火に照らされるピーターが、食べながら喋ったので、口の中の咀嚼物が見えた。汚い・・・。
「確かにもう暗くなったし、出てきても良さそうだけどな」
俺は守り人の石像を見たが、暗くてよく見えない。こういう時は、暗視のできる獣人を羨ましく思う。
「っていうかよ、デイジーさんもいねぇぜ?」
「え?」
夜目の利くトウスさんが言うのだから、そうなんだろう。
ゴブリンのヤンスさんも夜目が利くのか、煮びたしを食べながら石像の方を見た。
「もう二人とも記憶の太陽・・・、ではなく。あの世に旅立ったでやんすねぇ。もぐもぐ」
「えっ?」
こんなに別れがあっけないものだとは思わなかった。
もっとこう・・・、デイジーさんとナハトさんが涙して、抱き合いながら天に昇っていく感動的なシーンが拝めると思ってたんだけど。
「えぇーーー! 折角二人に、料理をお供えしようと思ったのに!」
デイジーさんとはほんのちょっと一緒に時間を過ごしただけとはいえ、心の底から二人を見送りたかった。他人の幸せなシーンを見ると、こっちも幸せな気分になるだろ?
でも・・・。そこまで絆の深くない人との別れとは大凡こんなものか・・・。でもなんつーか、あっさりし過ぎだろ。現実はアニメや漫画のようにはいかないってか。
「オビオの国では、故人に料理をお供えする習慣があるんでやんすね。だったらまだ間に合うんじゃないでやんすか? ここは魔法の星でやんす。オビオの強い想いは、必ず二人に届くでやんすよ。さぁ食べて下さいと祈るでやんす」
ヤンスさんの”魔法の星“という言い方が気になったが、今はそれどころじゃねぇや。早くお祈りしないと俺のお供えした料理が届かなくなる・・・。
俺は守り人の立っている場所に、料理を差し出して両手を合わせ祈った。
(デイジーさん、さっきは俺たちを助けてくれてありがとう。お礼と言っては何ですが、俺の作った料理を食べてください。何てことない普通の家庭料理ですが・・・。生まれ変わったら、こういった普通の料理を食べて、笑いながら過ごせる世界が待っていますように)
俺の心の中の祈りが聞こえたかのように、ヤンスさんが微笑んで頷いた。
「今頃、あの世に向かった二人の頬袋は、オビオの料理でいっぱいでやんすよ。次はきっと平和で安穏とした世界に生まれ変わるでやんす」
(俺の心を読んだのか? ヤンスさんは吟遊詩人だから【読心】の魔法は使えないよな? この人、やっぱり神様なんじゃなかろうか)
「ところで、オビオ。お祈りが終わったなら、このお供え物の料理、もう食べてもいいでやんすか? でへへ、じゅるり」
お供え物にヤンスさんの涎が垂れた・・・。おい!
(やっぱりこのゴブリンは、神様なんかじゃねぇ!)
「守り人の刑が闇魔法だと? ふざけた事を抜かすな! ゴブリン!」
サーカは白い鎧の胸についているワンドホルダーからワンドを抜くと、ヤンスさんに向けた。
「おい、サーカ・・・」
「黙ってろ、オビオ! いいか、ゴブリン! 守り人になるのはとても名誉な事なのだ。お前達、闇側種族のように名誉よりも力を崇める蛮人には解るまい! 国の為に死ぬ崇高さが! その名誉なる儀式が、闇側の魔法が元になっているだと?! 侮辱するのもいい加減にしろ!」
ワンドを突きつけられても、ヤンスさんはお構いなしで料理を食べている。
「あっしはメイジではないでやんすが、あれは闇側の土魔法でやんす。マナの流れを見ればわかるでやんすよ。魔人族が編み出した石化魔法がいつの間にか樹族国に伝わり、その石化した体に魂を固定化するように、改良されているいでやんす。石化と固定化。相手の魔法の実力がオーラとして見える樹族なら、見えるはずでやんすよ。守り人の中に流れるマナが」
「メイジでも・・・! ましてや樹族でもないお前に何が解る! いいだろう! 視てやるさ! しかし貴様の言葉が嘘だった場合、この場で死刑にしてやるからな!」
死刑って・・・。お前にそんな権限はないだろうが。
「いいでやんすよ」
ヤンスさんの態度からして、この件はサーカが負けを認めるだろう。
ゴブリンは狡賢く嘘つきが多いとサーカから聞いてはいるが、ヤンスさんは人を騙すような輩には見えない。純粋に世界を旅して、見た出来事を心に刻もうとする観察者だ。それは旅でくたびれた服装や、鞄に争いの傷がない事でも解るし、ヤンスさん自体に、ピーターのような二面性を匂わす影がない。
「・・・」
ナハトさんの石像を見つめるサーカの口が∞の形になった。これは負けを認めた時の顔だ。つまりヤンスさんの言う事が正しかったのだ。
「ええぃ! だったらなぜ! 誰も守り人の魔法が闇魔法だと騒がんのだ!」
「単純に石化魔法は、樹族国で普及していないからでやんす。殆どの者が闇魔法を忌避して知ろうともしない。知識が無ければ誰も騒ぎようがないでやんす」
「馬鹿な! ウィザード達が知らぬわけなかろう! 魔法の探求者である彼らが!」
「勿論、彼らは知っているでやんしょ。でも樹族には監視者がいるでやんす。守り人の秘術は闇魔法でしたなんて魔法の探求者達が言おうとしたら、一体全体どうなるんでやんすかね?」
監視者? 誰だ? 俺はサーカに訊こうとしたが、彼女は青い顔をして怯えていた。
「貴様・・・。何者だ! やはり闇側のスパイか!」
「ただの旅人でやんすよ。世界中で起こる、ありとあらゆる面白い出来事を、見逃したくないだけの旅人」
ゴブリン特有の高い眼窩上隆起の下にある、瓶底眼鏡が光った気がする。度の強い眼鏡越しにヤンスさんの視線が解るわけがない。
なのに、彼の鋭い視線は一瞬、俺を射抜いたような気がしたんだ・・・。なんでこっちを見た? 俺が異星人だってバレているのか? いや、それは俺の勝手な妄想だ。きっと彼は俺を見ていない。
「ワンドを収めろ、サーカ。俺は彼に触ったから解る。彼は実力値20の吟遊詩人だ。世界中を旅しているのだから、色んな知識があって当然だろ。それに黙っていたけどよ、俺は触れた者の性格や傾向も解るようになっているんだ。ヤンスさんは善人だ。秩序と正義を好む善人だ!」
俺はヤンスさんに触れた事を少し後悔していた。今頃になってヤンスさんの想いが頭に反響しだしたからだ。
目の前にいる小さなゴブリンの感情の濁流は、俺の頭の内側を壊す勢いでうねっている。そしてこの感情の具体的な原因を知ることは、指輪の力をもってしても知る事ができない。
(小さなゴブリンの身で、途方もない何かを・・・、それこそこの星の運命を背負っているような・・・。なんだろう、凄く恐ろしい・・・。ヤンスさんのことが恐ろしいんじゃない、ヤンスさんの背負っている何かは・・・、身震いするほどの重圧なんだ・・・)
重圧から垣間見える想いは絶望と悲しみ、そして自身は誰かに救いを求めるているのに、人々を助けなければという責任感。
(まさか・・・。ほんとにヤンスさんは神様なのか? いや、あり得ない・・・。神様ってのは人の手の届かない場所で、俺たちを見守っているものだ。きっとヤンスさんは色んな場所を旅して、色んな出来事を目にしてきたから、こんな感情を抱えて生きているんだ)
俺が脳内にある感情制御チップとナノマシンに、このプレッシャーや恐怖を取り払うよう頭の中で命令していると、サーカがいつものように憎たらしく鼻を鳴らした。
「フン。オビオも闇側種族だから、ゴブリンを庇っているのだろう」
サーカはワンドをホルダーに収め、座ると肉虫のフライをナイフとフォークで切り始めた。一応、俺の言葉を信じてくれたようだ。鑑定の指輪の力すげぇ。
「そんな事はねぇよ。なんなら、お前の人としての属性を当ててやろうか? サーカは一見堅物のようだが、秩序の範囲内なら、割とどうとでも転ぶ性格をしてる。トウスさんは法やルールを嫌うが、世界が人々の善意で成り立てばいいと考えている。ピーターは混沌と自身の利益を好む」
「僕だけ酷い言われようだよ! 訂正してよ!」
まーた可愛い地走り族を演じやがって・・・。
「当たってんだろ?」
誰も俺に返事をしない。気まずい顔をして料理を食べている。図星過ぎて言葉が出ないのだろう。というか誰だって、自分の内面を他人に見られたくはないよな。
あ、やべ! これ嫌われるやつだ。そのうち誰も俺に近寄ってこなくなるやつだわ・・・。気をつけよ・・・。
「凄いでやんすねぇ。その指輪の効果でやんすか?」
「いいだろ。ある貴族とした賭けの報酬なんだ」
どや顔をしながら、禿げた隻眼のギル伯爵を思い出す。
あの時、キャベツパンが無ければ、俺の顔はボコボコだったろうな。今頃どうしているだろうか? ワンドリッター侯爵の手の者に始末されていなければいいけど。殺されていないと思いたい・・・。あの人だって根っこは悪人じゃなかった・・・・。
「話を戻すでやんすが、石像が欠けたからって、中の魂が地獄に行くなんて事はないでやんす。あれはバジリスクトカゲやコカトリスの石化と違って、ただの石化と魂を留める固定化の魔法なんでやんすから」
「まじで? じゃあデイジーさんは、ナハトさんと一緒に成仏できるって事?」
ヤンスさんは自信を持って微笑んで頷いている。
「うおぉぉぉ!! やった!」
俺は思わずガッツポーズをして跳ねたので、片手に持っていたプレートの料理を落としそうになった。
「おっと・・・」
トレーから落としたフライを、ヤンスさんがキャッチしてくれた。
「これは情報代として頂いておくでやんす。しししし」
そう言うと彼は、がぶりと肉虫のフライにかぶりついた。
あっ! くっそー! まぁいいか。材料はまだあるし。
「でもさ、じゃあなんでナハトさんは、石像から出てこないのかな?」
焚火に照らされるピーターが、食べながら喋ったので、口の中の咀嚼物が見えた。汚い・・・。
「確かにもう暗くなったし、出てきても良さそうだけどな」
俺は守り人の石像を見たが、暗くてよく見えない。こういう時は、暗視のできる獣人を羨ましく思う。
「っていうかよ、デイジーさんもいねぇぜ?」
「え?」
夜目の利くトウスさんが言うのだから、そうなんだろう。
ゴブリンのヤンスさんも夜目が利くのか、煮びたしを食べながら石像の方を見た。
「もう二人とも記憶の太陽・・・、ではなく。あの世に旅立ったでやんすねぇ。もぐもぐ」
「えっ?」
こんなに別れがあっけないものだとは思わなかった。
もっとこう・・・、デイジーさんとナハトさんが涙して、抱き合いながら天に昇っていく感動的なシーンが拝めると思ってたんだけど。
「えぇーーー! 折角二人に、料理をお供えしようと思ったのに!」
デイジーさんとはほんのちょっと一緒に時間を過ごしただけとはいえ、心の底から二人を見送りたかった。他人の幸せなシーンを見ると、こっちも幸せな気分になるだろ?
でも・・・。そこまで絆の深くない人との別れとは大凡こんなものか・・・。でもなんつーか、あっさりし過ぎだろ。現実はアニメや漫画のようにはいかないってか。
「オビオの国では、故人に料理をお供えする習慣があるんでやんすね。だったらまだ間に合うんじゃないでやんすか? ここは魔法の星でやんす。オビオの強い想いは、必ず二人に届くでやんすよ。さぁ食べて下さいと祈るでやんす」
ヤンスさんの”魔法の星“という言い方が気になったが、今はそれどころじゃねぇや。早くお祈りしないと俺のお供えした料理が届かなくなる・・・。
俺は守り人の立っている場所に、料理を差し出して両手を合わせ祈った。
(デイジーさん、さっきは俺たちを助けてくれてありがとう。お礼と言っては何ですが、俺の作った料理を食べてください。何てことない普通の家庭料理ですが・・・。生まれ変わったら、こういった普通の料理を食べて、笑いながら過ごせる世界が待っていますように)
俺の心の中の祈りが聞こえたかのように、ヤンスさんが微笑んで頷いた。
「今頃、あの世に向かった二人の頬袋は、オビオの料理でいっぱいでやんすよ。次はきっと平和で安穏とした世界に生まれ変わるでやんす」
(俺の心を読んだのか? ヤンスさんは吟遊詩人だから【読心】の魔法は使えないよな? この人、やっぱり神様なんじゃなかろうか)
「ところで、オビオ。お祈りが終わったなら、このお供え物の料理、もう食べてもいいでやんすか? でへへ、じゅるり」
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