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19 情報収集
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勇司くんに勧められたサバイバル知識も学べそうな科学本をカフェで読んでいると、「こんばんは。」と話しかけられた。
顔をあげると、これまた派手な格好をした佐々木が立っていた。
「こんばんは。」
挨拶を返して、席を立つ。
佐々木に促され、向かったのは彼の住むマンションだ。
仕事終わりの彼に無理を言って、じっくり話をする時間を作ってほしいと頼むと、自宅に招待された。
駅からは多少歩くが、小奇麗な良い部屋だ。
部屋の中は整然としており、彼の見た目のイメージとはかけ離れて、落ち着いた雰囲気だった。
「そこ座ってください。……コーヒーでいいですか?」
「ありがとうございます。」
ソファに腰かけ、周囲を見渡すと、本棚には一面異世界物の小説や漫画が詰まっていた。
情報収集につながるのではないかと、必死に集めたのだろう。
どうぞ、とコーヒーを差し出される。
砂糖とミルクも勧められたが、ブラック派だからと遠慮した。
佐々木は甘党らしく、自分のコーヒーに砂糖とミルクをたっぷり加えている。
「それで、急にどうしたんですか?」
佐々木に問われ、「信じてもらえないかもしれませんが…。」と前置きしたうえで、俺は昨日の夢について話し始めた。
※
「それはまた、突拍子のない話ですね。」
半信半疑といった風に、佐々木が零した。
「ほかの被害者家族から、同じような話を聞いたことはありますか?」
「いや、俺の知る限りでは…。」
「そうですか。……それで、今回伺ったのは、佐々木さんにお願いがありまして。」
ここからが本題だ。
神は、俺を向かわせる異世界に転移者がいるといった。
それはもしかしたら、異世界転移被害者の会のメンバーの家族である可能性もあるということだ。
だからこそ、代表である佐々木にそれぞれの転移者の詳細について話を聞きければと思ったのだった。
「個人情報なので勝手に教えるわけには……とは思いますが、もしもその話が本当だとしたら、情報の有無が大きな分岐点となりかねないですよね。……わかりました。俺の知る範囲でよければお教えします。少し待ってください。」
そういって、佐々木は立ち上がり、本棚に手を伸ばした。
本棚の片隅にあった一冊のノートを手に取り、俺に向かって差し出す。
「どうぞ。俺が個人的にまとめた情報です。瀬野さんを信頼してお見せします。」
深く頭を下げて、ノートを受け取る。
ノートには几帳面な文字が並んでいて、佐々木の弟はもちろん、ほかの異世界転移被害者の情報が事細かに記されていた。
彼の努力の結晶だ。
絶対に無駄にしてはならない。
「……どうして、瀬野さんなんでしょうね。」
ぽつり、佐々木がひとりごとのように呟く。
彼がそう思うのも無理はないだろう。
くたびれた中年の俺よりも、若く体力もあり、腕っぷしも強そうな彼のほうが、異世界で上手くやれるはずだ。
可能であれば、彼に一緒に来てもらいたい。
神は同行者の人数は明かさなかったが、彼の口ぶりからして、おそらく佐々木は違うだろう。
申し訳ないような、やりきれないような気持ちに胸が締め付けられる。
悔しさと無力感を表情ににじませた彼は、力なく微笑んだ。
「瀬野さん。もし瀬野さんが異世界へ渡航できたとして、その世界に俺の弟がいたら……帰ってきてほしいと伝えてくれませんか?兄ちゃんはいつでも、お前の帰りを待っていると。」
「わかりました。……必ず。」
俺は改めて頭を下げ、佐々木に見送られながら家路を急いだ。
顔をあげると、これまた派手な格好をした佐々木が立っていた。
「こんばんは。」
挨拶を返して、席を立つ。
佐々木に促され、向かったのは彼の住むマンションだ。
仕事終わりの彼に無理を言って、じっくり話をする時間を作ってほしいと頼むと、自宅に招待された。
駅からは多少歩くが、小奇麗な良い部屋だ。
部屋の中は整然としており、彼の見た目のイメージとはかけ離れて、落ち着いた雰囲気だった。
「そこ座ってください。……コーヒーでいいですか?」
「ありがとうございます。」
ソファに腰かけ、周囲を見渡すと、本棚には一面異世界物の小説や漫画が詰まっていた。
情報収集につながるのではないかと、必死に集めたのだろう。
どうぞ、とコーヒーを差し出される。
砂糖とミルクも勧められたが、ブラック派だからと遠慮した。
佐々木は甘党らしく、自分のコーヒーに砂糖とミルクをたっぷり加えている。
「それで、急にどうしたんですか?」
佐々木に問われ、「信じてもらえないかもしれませんが…。」と前置きしたうえで、俺は昨日の夢について話し始めた。
※
「それはまた、突拍子のない話ですね。」
半信半疑といった風に、佐々木が零した。
「ほかの被害者家族から、同じような話を聞いたことはありますか?」
「いや、俺の知る限りでは…。」
「そうですか。……それで、今回伺ったのは、佐々木さんにお願いがありまして。」
ここからが本題だ。
神は、俺を向かわせる異世界に転移者がいるといった。
それはもしかしたら、異世界転移被害者の会のメンバーの家族である可能性もあるということだ。
だからこそ、代表である佐々木にそれぞれの転移者の詳細について話を聞きければと思ったのだった。
「個人情報なので勝手に教えるわけには……とは思いますが、もしもその話が本当だとしたら、情報の有無が大きな分岐点となりかねないですよね。……わかりました。俺の知る範囲でよければお教えします。少し待ってください。」
そういって、佐々木は立ち上がり、本棚に手を伸ばした。
本棚の片隅にあった一冊のノートを手に取り、俺に向かって差し出す。
「どうぞ。俺が個人的にまとめた情報です。瀬野さんを信頼してお見せします。」
深く頭を下げて、ノートを受け取る。
ノートには几帳面な文字が並んでいて、佐々木の弟はもちろん、ほかの異世界転移被害者の情報が事細かに記されていた。
彼の努力の結晶だ。
絶対に無駄にしてはならない。
「……どうして、瀬野さんなんでしょうね。」
ぽつり、佐々木がひとりごとのように呟く。
彼がそう思うのも無理はないだろう。
くたびれた中年の俺よりも、若く体力もあり、腕っぷしも強そうな彼のほうが、異世界で上手くやれるはずだ。
可能であれば、彼に一緒に来てもらいたい。
神は同行者の人数は明かさなかったが、彼の口ぶりからして、おそらく佐々木は違うだろう。
申し訳ないような、やりきれないような気持ちに胸が締め付けられる。
悔しさと無力感を表情ににじませた彼は、力なく微笑んだ。
「瀬野さん。もし瀬野さんが異世界へ渡航できたとして、その世界に俺の弟がいたら……帰ってきてほしいと伝えてくれませんか?兄ちゃんはいつでも、お前の帰りを待っていると。」
「わかりました。……必ず。」
俺は改めて頭を下げ、佐々木に見送られながら家路を急いだ。
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