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27 出発
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魔法の練習を始めて、2週間がたった。
最近の俺たちの生活はというと、朝一番にギルドへ行って依頼を受注し、午前中に依頼を終わらせ、日暮れまで魔法の練習、そしてギルドに報告に行って宿に戻るというのが一連の流れだ。
依頼内容は、初めの一週間は薬草採取がメインだったが、その後は魔獣や魔物の討伐が主になった。
初めて討伐した魔物は、スライム。
漫画やゲームなどでも、最初の敵として登場することが多いモンスターだろう。
しかし、初陣の結果としては情けないものだった。
ノアの指示で、心臓部分ともいえる核を狙って攻撃したが、体内で核があちこち移動するから、なかなか攻撃が当たらない。
そうこうしているうちに、相手から酸を噴射され、顔に浴びてしまった。
幸い装備のおかげで怪我はしなかったが、一瞬死が頭をよぎった。
……それにしても、防具を着ているだけで、装備で隠れていない部分まで防御力が上がるというのは、改めてすごいな。
何はともあれ、情けないながらも時間をかけてスライムの討伐を果たした俺は、その後数をこなすにつれて少しずつ戦闘に慣れていった。
妻も戦闘に参加すると聞いたときは反対したが、ノアに「いざというときのために、身を守るすべを身に付けておいた方がいい。」といわれて渋々認めることにした。
実際に戦ってみると、妻は俺よりも圧倒的にセンスがあった。
俺があんなに苦戦したスライムも、氷魔法で凍らせて身動きできない状態にしてから、短剣でとどめを刺すという鮮やかな流れで、1分も経たずに討伐していた。
敵の動きを封じてからとどめを刺す、というのはなるほど、合理的だ。
魔法を使うことを思いつかず、ただ剣を振り回していた自分が恥ずかしくなったが、拗ねてもどうにもならない。
俺の戦闘能力の向上は、妻の戦闘を参考にしたおかげだといってもいいだろう。
そんなこんなで俺たちがそれなりに異世界生活に慣れてきた頃、ようやくノアからこの街を出発する許可が下りたのだった。
※
わずか2週間ではあったが、リバーサイドの街での生活は充実していた。
街の住人はおだやかで、よそ者に対しても親切だった。
とくに門の兵士やギルド職員、宿屋の従業員などからはさまざまな情報を得ることができた。
このあたりの地理や出没する魔物の特徴、名物料理から船旅の備えまで、幅広い情報を集められたのは僥倖だったといえるだろう。
……まあ、ノアがすでに情報をすべて把握していた可能性は高いが、秘密主義の彼はなかなか情報を共有してくれないからな。
住人によると、この街は辺境の領地を治める領主の住む土地らしい。
この大きな川が貿易の要になっていることから、王都より遠く離れた街ではあるものの、この辺りでは一番栄えている場所だという。
また友好国である隣国との境界も近く、さまざまな人種が受け入れられているのも特徴だ。
王都に行くと、獣人などの亜人はあまり見かけないらしい。
また王都では、数ヶ月前に降臨した勇者が力をつけるため修行中だという噂も耳にした。
なんでも、勇者はとてつもない力を秘めているが、まだ発展途上。
戦闘にも不慣れなため、国王直属の実力のある騎士による指導を受けているのだとか。
その勇者が、おそらくノアの言っていた転移者だろう。
この辺境の街では、勇者の詳細については詳しく語られておらず、性別や年齢もわからなかった。
ちなみにノアにも訊ねてみたが、「会ってからのお楽しみ。」だとはぐらかされてしまった。
街の住人とのいざこざもなく、平和な街で魔法や剣の鍛錬をできたのは、ノアの想定通りだったらしい。
順調に成長する俺たちに、満足した様子だった。
ちなみに本人の言った通り、ノアの訓練は厳しかった。
にこやかな表情で、とても簡単にこなせない量の課題を「日没までに終わらせてね。」と次から次へと出してくるのだ。
ギルドへの報告を終え、宿に戻って食事と入浴をしたら、次は勉強会が始まる。
この世界の通貨や時間の概念などといった常識から、さまざまな魔物や魔獣の特徴・討伐方法、各国の情勢など、内容は多岐にわたる。
正直、こんなに勉強をするのは学生以来だった。
妻は「精神的に幼いから。」という理由でおおかたの勉強が免除された分、俺に余計に詰め込まれることになったのかもしれない。
この世界の言語に関しては、異世界転移の特典として難なく理解できるようになっていたのがありがたかった。
そうでなければ、この2週間は言語の習得で終わっていた可能性が高い。
そうして一通りの学習を終えることも、この街を出発するための条件のひとつだったようだ。
昨日の夜、ノアによる最終確認のテストに及第点をとったことで、出発の許可を出すことを決めたらしい。
出発の準備はすでに整っていた。
俺たちが鍛錬や学習をする傍ら、ノアが着々と手配してくれていたようだ。
ノアが言うには、最終目的地は勇者のいる王都。
しかし王都へたどり着くには、3つの街を経由する必要があるらしい。
初めの目的地へは、水路を船で移動するという。
移動期間はおそよ3日間。
ノアの言った「平和な船旅になるといいね。」という一言が気にありつつも、俺たちはそろって船に乗り込んだ。
最近の俺たちの生活はというと、朝一番にギルドへ行って依頼を受注し、午前中に依頼を終わらせ、日暮れまで魔法の練習、そしてギルドに報告に行って宿に戻るというのが一連の流れだ。
依頼内容は、初めの一週間は薬草採取がメインだったが、その後は魔獣や魔物の討伐が主になった。
初めて討伐した魔物は、スライム。
漫画やゲームなどでも、最初の敵として登場することが多いモンスターだろう。
しかし、初陣の結果としては情けないものだった。
ノアの指示で、心臓部分ともいえる核を狙って攻撃したが、体内で核があちこち移動するから、なかなか攻撃が当たらない。
そうこうしているうちに、相手から酸を噴射され、顔に浴びてしまった。
幸い装備のおかげで怪我はしなかったが、一瞬死が頭をよぎった。
……それにしても、防具を着ているだけで、装備で隠れていない部分まで防御力が上がるというのは、改めてすごいな。
何はともあれ、情けないながらも時間をかけてスライムの討伐を果たした俺は、その後数をこなすにつれて少しずつ戦闘に慣れていった。
妻も戦闘に参加すると聞いたときは反対したが、ノアに「いざというときのために、身を守るすべを身に付けておいた方がいい。」といわれて渋々認めることにした。
実際に戦ってみると、妻は俺よりも圧倒的にセンスがあった。
俺があんなに苦戦したスライムも、氷魔法で凍らせて身動きできない状態にしてから、短剣でとどめを刺すという鮮やかな流れで、1分も経たずに討伐していた。
敵の動きを封じてからとどめを刺す、というのはなるほど、合理的だ。
魔法を使うことを思いつかず、ただ剣を振り回していた自分が恥ずかしくなったが、拗ねてもどうにもならない。
俺の戦闘能力の向上は、妻の戦闘を参考にしたおかげだといってもいいだろう。
そんなこんなで俺たちがそれなりに異世界生活に慣れてきた頃、ようやくノアからこの街を出発する許可が下りたのだった。
※
わずか2週間ではあったが、リバーサイドの街での生活は充実していた。
街の住人はおだやかで、よそ者に対しても親切だった。
とくに門の兵士やギルド職員、宿屋の従業員などからはさまざまな情報を得ることができた。
このあたりの地理や出没する魔物の特徴、名物料理から船旅の備えまで、幅広い情報を集められたのは僥倖だったといえるだろう。
……まあ、ノアがすでに情報をすべて把握していた可能性は高いが、秘密主義の彼はなかなか情報を共有してくれないからな。
住人によると、この街は辺境の領地を治める領主の住む土地らしい。
この大きな川が貿易の要になっていることから、王都より遠く離れた街ではあるものの、この辺りでは一番栄えている場所だという。
また友好国である隣国との境界も近く、さまざまな人種が受け入れられているのも特徴だ。
王都に行くと、獣人などの亜人はあまり見かけないらしい。
また王都では、数ヶ月前に降臨した勇者が力をつけるため修行中だという噂も耳にした。
なんでも、勇者はとてつもない力を秘めているが、まだ発展途上。
戦闘にも不慣れなため、国王直属の実力のある騎士による指導を受けているのだとか。
その勇者が、おそらくノアの言っていた転移者だろう。
この辺境の街では、勇者の詳細については詳しく語られておらず、性別や年齢もわからなかった。
ちなみにノアにも訊ねてみたが、「会ってからのお楽しみ。」だとはぐらかされてしまった。
街の住人とのいざこざもなく、平和な街で魔法や剣の鍛錬をできたのは、ノアの想定通りだったらしい。
順調に成長する俺たちに、満足した様子だった。
ちなみに本人の言った通り、ノアの訓練は厳しかった。
にこやかな表情で、とても簡単にこなせない量の課題を「日没までに終わらせてね。」と次から次へと出してくるのだ。
ギルドへの報告を終え、宿に戻って食事と入浴をしたら、次は勉強会が始まる。
この世界の通貨や時間の概念などといった常識から、さまざまな魔物や魔獣の特徴・討伐方法、各国の情勢など、内容は多岐にわたる。
正直、こんなに勉強をするのは学生以来だった。
妻は「精神的に幼いから。」という理由でおおかたの勉強が免除された分、俺に余計に詰め込まれることになったのかもしれない。
この世界の言語に関しては、異世界転移の特典として難なく理解できるようになっていたのがありがたかった。
そうでなければ、この2週間は言語の習得で終わっていた可能性が高い。
そうして一通りの学習を終えることも、この街を出発するための条件のひとつだったようだ。
昨日の夜、ノアによる最終確認のテストに及第点をとったことで、出発の許可を出すことを決めたらしい。
出発の準備はすでに整っていた。
俺たちが鍛錬や学習をする傍ら、ノアが着々と手配してくれていたようだ。
ノアが言うには、最終目的地は勇者のいる王都。
しかし王都へたどり着くには、3つの街を経由する必要があるらしい。
初めの目的地へは、水路を船で移動するという。
移動期間はおそよ3日間。
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