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30 反省会
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「お嬢様!」
いかにも苦労人と言った風貌の中年の男が、食堂に勢いよく飛び込んできた。
そのあとに、2人の若い男が続く。
どうやら彼らが、リオナの護衛らしい。
中年の男はリオナに怪我の有無を確認したあと、くどくどとお説教を始めた。
説教癖があるのだろう、リオナは慣れた調子で聞き流し、切りが良くなったタイミングで話を切り替える。
「もう護衛を撒いたりしませんわ!……それより、彼らにお礼をしたいのだけれど、我が家に招待できるよう手配をお願いできる?」
「彼らは……?」
「私を守ってくださった方々よ。そこで眠っている男たちを拘束してくださったのも、船員ではなく彼らなの。」
「なるほど……それはありがとうございました。心よりお礼申し上げます。」
そう胸に手を当て感謝を告げる姿は、男の目から見ても格好いい。
騎士の彼らも上品な振る舞いが身についているということは、リオナは想像以上に身分の高い娘なのかもしれない。
「お嬢様、私は屋敷に伝言を送ってまいります。くれぐれも、お一人で行動することのないように。」
「わ、わかってるわよ。」
釘を刺されて、リオナがバツの悪そうな顔をしている。
中年騎士とは付き合いが長いのか、彼と話すときは少し子どもっぽい表情をしていた。
※
リオナたちを別れ、客室に戻る。
今回の騒動で食堂は一時閉鎖されることになったため、食事もしばらくお預けだ。
お腹が減ったな、とぼんやり考えていると、ノアが隣に腰かけた。
「じゃあ、反省会だね。」
何の、というと、おそらく先程の対人戦だろう。
スマートとは程遠い戦闘だったと自覚している分、笑顔のノアが余計に恐ろしく感じられた。
案の定、ノアからは厳しい言葉の嵐だった。
やれ「判断が遅い」「焦りすぎ」「特訓の成果が一切活かされていない」だの、ぐうの音もでない正論だ。
しかし最後には「初めてだった分を加味して、おまけで合格。」と褒めてくれた。
また「人を傷つけたくないと思うのは恥ずべき点ではなく、君の美点だよ。」と言ってくれたのもうれしかった。
「詩織ちゃんも、よく彼女を庇ってあげられたね。でも抱き着くだけでは相手の攻撃から守り切ることは難しいから、今度からは防御壁を張った方が安全だと思うよ。」
「うん、わかった!」
妻にはずいぶん優しい評価だ。
その差を少しだけ不満に感じたが、今の妻は子どものようなものだから仕方ないだろう。
「今回の一番の優等生は、コトラだね。魔法のタイミングも、攻撃の威力も申し分なかったよ。……でも、詩織ちゃんだけじゃなくて、伊月くんも助けてあげようね。」
ノアがコトラを抱き上げて言う。
コトラは俺を一瞥して、すぐに顔をそらした。
まるで小馬鹿にするような仕草にムッとする。
そもそも、コトラがあんなに強くなってたなんて聞いてない。
「伊月くんと詩織ちゃんが頑張って特訓したように、コトラもちゃんと課題をこなしていたんだよ。」
俺とコトラの様子に苦笑しながら、ノアが言った。
自分の練習に精一杯だったとはいえ、コトラが鍛錬していたことには一切気が付かなかった。
「コトラはもともと野良だったんでしょ?その記憶が残っているおかげで、訓練も一番スムーズだった。多分本気でやったら、伊月くんと詩織ちゃんが力を合わせても勝てないんじゃないかな。」
「えー!コトラすごーい!」
妻に褒められ、コトラが嬉しそうに鳴いた。
「ま、日々精進だね。」
そう言って俺を励ますノアは、どこか面白がっているようだった。
いかにも苦労人と言った風貌の中年の男が、食堂に勢いよく飛び込んできた。
そのあとに、2人の若い男が続く。
どうやら彼らが、リオナの護衛らしい。
中年の男はリオナに怪我の有無を確認したあと、くどくどとお説教を始めた。
説教癖があるのだろう、リオナは慣れた調子で聞き流し、切りが良くなったタイミングで話を切り替える。
「もう護衛を撒いたりしませんわ!……それより、彼らにお礼をしたいのだけれど、我が家に招待できるよう手配をお願いできる?」
「彼らは……?」
「私を守ってくださった方々よ。そこで眠っている男たちを拘束してくださったのも、船員ではなく彼らなの。」
「なるほど……それはありがとうございました。心よりお礼申し上げます。」
そう胸に手を当て感謝を告げる姿は、男の目から見ても格好いい。
騎士の彼らも上品な振る舞いが身についているということは、リオナは想像以上に身分の高い娘なのかもしれない。
「お嬢様、私は屋敷に伝言を送ってまいります。くれぐれも、お一人で行動することのないように。」
「わ、わかってるわよ。」
釘を刺されて、リオナがバツの悪そうな顔をしている。
中年騎士とは付き合いが長いのか、彼と話すときは少し子どもっぽい表情をしていた。
※
リオナたちを別れ、客室に戻る。
今回の騒動で食堂は一時閉鎖されることになったため、食事もしばらくお預けだ。
お腹が減ったな、とぼんやり考えていると、ノアが隣に腰かけた。
「じゃあ、反省会だね。」
何の、というと、おそらく先程の対人戦だろう。
スマートとは程遠い戦闘だったと自覚している分、笑顔のノアが余計に恐ろしく感じられた。
案の定、ノアからは厳しい言葉の嵐だった。
やれ「判断が遅い」「焦りすぎ」「特訓の成果が一切活かされていない」だの、ぐうの音もでない正論だ。
しかし最後には「初めてだった分を加味して、おまけで合格。」と褒めてくれた。
また「人を傷つけたくないと思うのは恥ずべき点ではなく、君の美点だよ。」と言ってくれたのもうれしかった。
「詩織ちゃんも、よく彼女を庇ってあげられたね。でも抱き着くだけでは相手の攻撃から守り切ることは難しいから、今度からは防御壁を張った方が安全だと思うよ。」
「うん、わかった!」
妻にはずいぶん優しい評価だ。
その差を少しだけ不満に感じたが、今の妻は子どものようなものだから仕方ないだろう。
「今回の一番の優等生は、コトラだね。魔法のタイミングも、攻撃の威力も申し分なかったよ。……でも、詩織ちゃんだけじゃなくて、伊月くんも助けてあげようね。」
ノアがコトラを抱き上げて言う。
コトラは俺を一瞥して、すぐに顔をそらした。
まるで小馬鹿にするような仕草にムッとする。
そもそも、コトラがあんなに強くなってたなんて聞いてない。
「伊月くんと詩織ちゃんが頑張って特訓したように、コトラもちゃんと課題をこなしていたんだよ。」
俺とコトラの様子に苦笑しながら、ノアが言った。
自分の練習に精一杯だったとはいえ、コトラが鍛錬していたことには一切気が付かなかった。
「コトラはもともと野良だったんでしょ?その記憶が残っているおかげで、訓練も一番スムーズだった。多分本気でやったら、伊月くんと詩織ちゃんが力を合わせても勝てないんじゃないかな。」
「えー!コトラすごーい!」
妻に褒められ、コトラが嬉しそうに鳴いた。
「ま、日々精進だね。」
そう言って俺を励ますノアは、どこか面白がっているようだった。
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