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230 緊急
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娘の出産に備えて、里帰りさせることも検討していた。
しかし病院や戸籍などのため処理が必要になるため、再びノアに頼らなくてならなくなること、そして魔王が出産に立ち会いづらくなることから、異世界で出産することに決まった。
ただし魔王城の医師は、人間の出産に立ち会った経験はないらしい。
不安はあったが、神がうまくサポートすることを約束してくれたので大丈夫だと願いたい。
もしものときは、ノアにも「いつでも呼んでいいよ」と言ってもらえているが、そんなもしもがないことを祈るばかりだ。
産後は娘の希望により、しばらく妻が魔王城に滞在し、娘の手伝いを行うことになっている。
高位魔族の子育ては乳母に一任するのが一般的らしいが、自分で子育てをしたいという娘の意向を汲んでくれたのだ。
あくまで娘が無理をしないことが条件だと魔王が釘を差していたが、頑張り屋の娘のことだから、本人が大丈夫だと言い張っても注意しておく必要があると耳打ちしたら頷いてくれた。
仕事を終えて自宅に戻ると、妻が夕飯の準備をしてくれていた。
美味しそうな匂いに、思わず頬がゆるむ。
異世界の食事も悪くなかったが、やはり妻の手料理に勝るものはない。
そんなことを思いながら、ベランダの掃き出し窓をちらりと見る。
妻は俺の視線に気づき、苦笑しながら「手紙は届いてないわよ」と言った。
そろそろ娘の出産も近づいてきたころで、いつ陣痛の知らせが入るかわからない。
そう思うと、つい窓に目線を向けてしまうのだ。
それに俺に呆れた視線を向けながらも、妻も逐一窓を気にしてそわそわしていることを知っている。
娘には月に一度は会いに行っていて、元気に過ごしていることを確認している。
定期的に現状報告の手紙も届く。
それでも不安が募るのは、親であれば仕方ないものだろう。
食事を終え、妻と他愛のない話をしながらもお茶を飲む。
穏やかな時間に目を細めていると、急にベランダの方から淡い光が放たれた。
ぱっと窓の方を見ると、白い扉が出現している。
娘からの連絡だろうかと扉の下から手紙が出てくるのを待っていると、ゆっくりと扉が開いた。
戸惑いながら扉を見つめていると、小さな黒い影が扉をすり抜けるようにして出てきた。
俺と妻は驚いて「コトラ?!」と愛猫の名前を呼ぶ。
コトラは妻の足元に駆け寄り、心許ない鳴き声を幾度となく上げた。
俺と妻は顔を見合わせた。
ただ事ではなさそうな雰囲気に、手汗がにじむ。
薄く開いたままの扉を数回ノックしてみたが、返事はない。
いよいよ心配になって、扉に手をかけた。
そして娘の名前をよびながら、そっと扉を開ける。
扉の先は、娘の寝室のようだった。
ベッドに寝そべっている後ろ姿は、娘のものだろう。
勝手に入ることに抵抗はあったが、無性に嫌な予感がして、娘に近づく。
覗き込んだ横顔は、真っ青だった。
脂汗を額いっぱいに浮かべて、苦痛に顔を歪めている。
「ちょ、どうしたんだ?!柚乃!柚乃……!!」
娘の視線が宙をさまよい、俺と妻に向けられる。
どうやら意識はあるらしい。
「誰か!誰かきて!!」
妻が声を張り上げて、何度も叫ぶ。
しばらくすると、慌ただしい足音とともに部屋の扉が開き、驚いた様子の娘の護衛騎士が顔を出した。
「娘の様子がおかしいんだ!医師を呼んでくれ!」
俺が告げると、護衛騎士は混乱した顔をしながらも駆けていった。
しかし病院や戸籍などのため処理が必要になるため、再びノアに頼らなくてならなくなること、そして魔王が出産に立ち会いづらくなることから、異世界で出産することに決まった。
ただし魔王城の医師は、人間の出産に立ち会った経験はないらしい。
不安はあったが、神がうまくサポートすることを約束してくれたので大丈夫だと願いたい。
もしものときは、ノアにも「いつでも呼んでいいよ」と言ってもらえているが、そんなもしもがないことを祈るばかりだ。
産後は娘の希望により、しばらく妻が魔王城に滞在し、娘の手伝いを行うことになっている。
高位魔族の子育ては乳母に一任するのが一般的らしいが、自分で子育てをしたいという娘の意向を汲んでくれたのだ。
あくまで娘が無理をしないことが条件だと魔王が釘を差していたが、頑張り屋の娘のことだから、本人が大丈夫だと言い張っても注意しておく必要があると耳打ちしたら頷いてくれた。
仕事を終えて自宅に戻ると、妻が夕飯の準備をしてくれていた。
美味しそうな匂いに、思わず頬がゆるむ。
異世界の食事も悪くなかったが、やはり妻の手料理に勝るものはない。
そんなことを思いながら、ベランダの掃き出し窓をちらりと見る。
妻は俺の視線に気づき、苦笑しながら「手紙は届いてないわよ」と言った。
そろそろ娘の出産も近づいてきたころで、いつ陣痛の知らせが入るかわからない。
そう思うと、つい窓に目線を向けてしまうのだ。
それに俺に呆れた視線を向けながらも、妻も逐一窓を気にしてそわそわしていることを知っている。
娘には月に一度は会いに行っていて、元気に過ごしていることを確認している。
定期的に現状報告の手紙も届く。
それでも不安が募るのは、親であれば仕方ないものだろう。
食事を終え、妻と他愛のない話をしながらもお茶を飲む。
穏やかな時間に目を細めていると、急にベランダの方から淡い光が放たれた。
ぱっと窓の方を見ると、白い扉が出現している。
娘からの連絡だろうかと扉の下から手紙が出てくるのを待っていると、ゆっくりと扉が開いた。
戸惑いながら扉を見つめていると、小さな黒い影が扉をすり抜けるようにして出てきた。
俺と妻は驚いて「コトラ?!」と愛猫の名前を呼ぶ。
コトラは妻の足元に駆け寄り、心許ない鳴き声を幾度となく上げた。
俺と妻は顔を見合わせた。
ただ事ではなさそうな雰囲気に、手汗がにじむ。
薄く開いたままの扉を数回ノックしてみたが、返事はない。
いよいよ心配になって、扉に手をかけた。
そして娘の名前をよびながら、そっと扉を開ける。
扉の先は、娘の寝室のようだった。
ベッドに寝そべっている後ろ姿は、娘のものだろう。
勝手に入ることに抵抗はあったが、無性に嫌な予感がして、娘に近づく。
覗き込んだ横顔は、真っ青だった。
脂汗を額いっぱいに浮かべて、苦痛に顔を歪めている。
「ちょ、どうしたんだ?!柚乃!柚乃……!!」
娘の視線が宙をさまよい、俺と妻に向けられる。
どうやら意識はあるらしい。
「誰か!誰かきて!!」
妻が声を張り上げて、何度も叫ぶ。
しばらくすると、慌ただしい足音とともに部屋の扉が開き、驚いた様子の娘の護衛騎士が顔を出した。
「娘の様子がおかしいんだ!医師を呼んでくれ!」
俺が告げると、護衛騎士は混乱した顔をしながらも駆けていった。
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