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あれ? ここはどこ?
私は、真っ暗な場所で目を覚ました。
周囲に視線を向けても、闇に閉ざされた空間には光一つ見ることができず、自分の手があるらしい場所すら何も瞳に映さない。
異常な状況であるのに、私の心は不思議と落ち着いていた。
(私は今まで一体何をしていたのかしら?)
記憶を探ろうとすると、ずきりと後頭部が酷く傷んだ気がした。慌てて手を当てたけど、指がさらっとした髪をすくうだけで、痛みを感じさせる元凶は何一つ見つからなかった。
だけど、さっきまで落ち着いていた気持ちが、ざわつきだす。
心臓が大きく跳ね上がり、身体中が寒気に包まれる。
そして――
全てを思い出した。
*
私の名は、アンティローゼ・レファ・エリオンフィール。
エリオンフィール公爵令嬢であり、トロイメラル王国の王太子エリオット・ディル・ダ・トロイメラル様の婚約者であり、未来の王妃となる者。
幼い頃、両家の結びつきを強めるために、殿下と婚約が結ばれた。
厳しい妃教育を受け続け、自由はほとんどなく、来る日も来る日も、エリオンフィール家の名に恥じぬよう、婚約者であるエリオット様の名を穢さぬよう、緊張を強いられる日々を過ごしてきた。
幼い頃は、何度も父と母に泣きついたものだ。しかし耐え続けることができたのは、エリオット様が私を常に大切にしてくださったからだ。
「私のせいで辛い思いをさせてすまない、聡明なアンティローゼ……私が王太子などでなければ、こんな思いをする必要などなかったのに……」
殿下は泣きはらした私の顔を見つめながら、申し訳なさそうに詫びる。しかし私の涙を指で拭うと、優しく抱きしめながらそっと耳元で囁くのだ。
「でも許して欲しい。辛い思いをしていると分かっていても君を手放せない身勝手な私を……」
少なくとも私たちの関係は、政略結婚だとされていながらも、互いを愛し愛しみ合う関係になっていたはず――だった。
私たちが、最後の自由として認められた学園へ入学し、
――あの女が転校して来るまでは。
私は、真っ暗な場所で目を覚ました。
周囲に視線を向けても、闇に閉ざされた空間には光一つ見ることができず、自分の手があるらしい場所すら何も瞳に映さない。
異常な状況であるのに、私の心は不思議と落ち着いていた。
(私は今まで一体何をしていたのかしら?)
記憶を探ろうとすると、ずきりと後頭部が酷く傷んだ気がした。慌てて手を当てたけど、指がさらっとした髪をすくうだけで、痛みを感じさせる元凶は何一つ見つからなかった。
だけど、さっきまで落ち着いていた気持ちが、ざわつきだす。
心臓が大きく跳ね上がり、身体中が寒気に包まれる。
そして――
全てを思い出した。
*
私の名は、アンティローゼ・レファ・エリオンフィール。
エリオンフィール公爵令嬢であり、トロイメラル王国の王太子エリオット・ディル・ダ・トロイメラル様の婚約者であり、未来の王妃となる者。
幼い頃、両家の結びつきを強めるために、殿下と婚約が結ばれた。
厳しい妃教育を受け続け、自由はほとんどなく、来る日も来る日も、エリオンフィール家の名に恥じぬよう、婚約者であるエリオット様の名を穢さぬよう、緊張を強いられる日々を過ごしてきた。
幼い頃は、何度も父と母に泣きついたものだ。しかし耐え続けることができたのは、エリオット様が私を常に大切にしてくださったからだ。
「私のせいで辛い思いをさせてすまない、聡明なアンティローゼ……私が王太子などでなければ、こんな思いをする必要などなかったのに……」
殿下は泣きはらした私の顔を見つめながら、申し訳なさそうに詫びる。しかし私の涙を指で拭うと、優しく抱きしめながらそっと耳元で囁くのだ。
「でも許して欲しい。辛い思いをしていると分かっていても君を手放せない身勝手な私を……」
少なくとも私たちの関係は、政略結婚だとされていながらも、互いを愛し愛しみ合う関係になっていたはず――だった。
私たちが、最後の自由として認められた学園へ入学し、
――あの女が転校して来るまでは。
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