私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます

・めぐめぐ・

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 結局今までの物語通り、ルシアはエリオット様の心を奪った。

 二人が秘密の逢瀬を重ねているのを知りつつも、私は暴走しそうになる嫉妬心を押さえつつ、できる限り色々な者たちのと交流を計った。
 
 私は未来の王妃。
 民を思い、国を支える者なのだ。

 その想いが、自然と学園の秩序を保つ役目を担うことになった。立場関係なく公平に接するようになったことで、皆から信頼を得ることができ、親しげに話しかけてくれる者も多くなった。

 特に、親友と呼べる友人ができたことが大きい。

 今までは殿下との問題を一人で抱え込むしかできなかったが、彼女たちに相談することで気がまぎれた。それだけで、酷い嫉妬心を押さえることができたのだ。

 特に、男爵令嬢であるミシェル・デ・ドルレアックに至っては、

「本当に殿下は心変わりしただけかしら? ……ちょっと気になることがあるから調べてみるわ。何か分かったら知らせるわね?」

と独自で調査を申し出てくれた。
 もちろん、自身が危うい立場にならないよう気を付けるよう、お願いはしたけど。

 ルシアには一度、警告をした。
 もちろん脅しにならないように、細心の注意を払い、言葉も選んで。

「ルシア。エリオット様と仲良くしてくださるのはとても嬉しいわ。だけど、彼も私という婚約者がある身です。世間の目から見ると、エリオット様に対してもあなたに対しても、良からぬことを考える者も出てくるかもしれません。ですからせめて、エリオット様とお会いする時は、私も同席させて頂けないかしら?」

 しかしルシアは、今までにない反応を見せた。
 怯えた表情が印象的だった彼女の口元が、笑いで歪んだ。

「あら、アンティローゼ様、嫉妬は醜いですわよ? でもまあ仕方ありませんわね? 殿下の心はもはや私のものですから。エリオット様に捨てられるのを、指をくわえて見ていらっしゃるといいですわ」

 勝ち誇った様子で見せられた、ルシアの本性。
 小動物のように震えながら、私を見つめていた彼女からは想像できないような、堂々とした宣戦布告だった。

 正直、呆れてしまった。
 公爵令嬢たる私にそのような暴言を吐くなど、よほど世間知らずなのか、

(それともエリオット様が私を捨てるのを確信しているから?)

 何気なく思った考えだったが、全身の肌が粟立った。
 
 私に対して強気に出られる理由が、ルシアにはあるのではないかと――
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