平凡な村人だと思われていた俺、実は神々が恐れる最強存在でした〜追放されたけど、無自覚チートで気づけば世界の頂点〜

uzura

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第2話 静かな村と奇妙な加護

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朝の光が差し込み、ルグナの村は穏やかに目を覚ましていた。  
昨日の魔物襲撃のことが嘘のように、鳥の鳴き声が高らかに響く。  
しかし村人たちはみなそわそわと落ち着かない。村の中央に集まって、ひそひそと噂を交わしていた。

「あの若い男が倒したんだって?」「魔法も使わずに一撃でドーンだ!」  
「いや、そんなわけないって。見間違いじゃないのか?」  
「けど、魔物の死骸も痕跡も残ってない。まるで消滅したって話だぞ」  

中心にいるのはレオン。いつもより落ち着かない村人たちに囲まれ、彼は苦笑いを浮かべていた。  
「いや、ほんとなんです。俺、ただ殴っただけですし……あの、できれば目立たないようにしてもらえると助かります」  

そう言って頭を下げるが、誰も納得しない。  
リリアだけが遠くの木の幹にもたれ、腕を組んで見つめていた。  
そして、ため息をついてテーブルに座る。  

「……本当に気づいてないのね。あなた、何かしら常識外れの力を持ってるわ」  
レオンは振り返り、困ったように笑った。「そんなはずないですよ。俺なんて、勇者様たちの中でも一番足手まといでしたから」  
「それが一番不思議なのよね」  

リリアは紅茶のカップを置き、真剣な顔で言葉を続けた。  
「昨夜の一撃、衝撃波の範囲から見て、少なくとも高位の魔導士や聖騎士でも無理。魔狼が光になったっていうのも……浄化系の加護が発動した可能性が高いわ」  

「加護、ですか?」  

「そう。神が特定の人間に与える庇護と力のこと。だけど、そんなもの普通は教会に認可されなきゃ授からない。あなた、何かおかしいのよ」  

レオンは黙り込む。  
自分にそんな特別な力があるなんて、想像もつかない。  
それでも、どうしてか心の奥に引っ掛かるものがあった。幼い頃、村の祈祷師が呟いた言葉を思い出す。  

——「神々の目が宿る子」  

当時は意味がわからず笑って聞き流した言葉。  
だが今、その断片がじわりと蘇ってくる。  

リリアは椅子から立ち上がった。「あなたの力を確かめたい。今夜、森の奥にある遺跡に行きましょう。あそこには古い魔力の残滓があるはず」  
「いや、俺、そんな大層なもんじゃ……」  
「文句はなし。私、どうにも気になるの。」  
そう言い残してリリアは立ち去った。  

レオンは苦笑しながら頭をかく。  
「……ほんと、なんでこうなるんだろうな」  

***

夜。  
森の奥へと続く古道を、月明かりが照らしていた。  
レオンとリリアの二人が静かに歩く。獣の遠吠えが響くが、妙に近づいてはこない。まるで何かを恐れているようだった。  

「この先に古代遺跡がある。魔法文明期のものね。魔力の濃度が高い場所では、加護が反応することがあるの」  
「なるほど……けど、俺、加護なんて受けた覚えないですよ」  
「自覚がなくても、発動することがあるわ。特に神格級の加護は、自分の意思なしに周囲を変えるの」  

リリアの言葉の意味はよくわからなかった。  
だが、歩を進めるうちに、レオンは少しずつ異変に気づく。  
森の木々が、彼らの行く先に合わせて道を広げていくのだ。  
葉の隙間から差す月光が淡く揺らめき、二人を導くように輝く。  

「……まるで、歓迎されてるみたいだな」  
「歓迎……? 普通は魔獣だらけの森よ。あり得ない」  
リリアは目を細め、剣の柄に手をかけた。だが、敵意の気配はない。むしろ穏やかさすら感じる。  

やがて二人は森の奥深くにある小さな祠に辿り着いた。  
白い石で作られた柱、魔法陣のような紋様。中央には青白く輝く水鏡があった。  
リリアが一歩進み出て、その水鏡に触れようとした瞬間——  

水面が渦を巻き、光が弾けた。  
眩しさに思わず目を細めたレオンの目の前に、一人の女性の姿が浮かび上がる。  
透き通る白髪に、星のような瞳。人ではない気配。  

「……神、さま?」  
リリアが息を呑む。  

女性は微笑み、まっすぐレオンを見つめた。  
「ようやく見つけた。創世の子よ。」  

「え、えっと、俺、人違いじゃ……」  
「いいえ。お前こそ、この世界を支える“理”そのもの。人の形をしているが、その身に創世の加護を宿している」  

「創世の……」  

言葉を繰り返すレオンの頭に、再び記憶が霞のように広がっていく。  
——幼い頃、森で見た光の粒。  
——その中で誰かが「また会おう」と囁いた声。  

あれは夢のような出来事だった。だが今、その声が確かに蘇る。  

リリアは剣を構えながら声を荒げた。  
「ちょっと待って! 創世の加護なんて、神々の中でも最高位だって聞いたことあるわ。そんな存在が人間に宿るはず——」  
「あるとも。世界が滅びかけたとき、この血脈は転生の輪を越えて受け継がれる。彼が“無自覚”で在るのは、かつての世界の記憶を守るためだ。」  

その声とともに、祠全体が一気に輝きを強める。  
空気が震え、地面が割れ、周囲の木々が根ごと浮かび上がる。  
リリアは思わずレオンの腕を掴んだ。  

「な、なんなのこれっ!? 崩れるわ!」  
「わ、わからないっ! 俺、何もしてないのに!」  

レオンの身体から淡い光があふれる。  
その光は優しく、しかし凄まじいほどの力を感じさせた。  
風が止み、崩れかけた祠が再び形を取り戻す。  
まるで時が巻き戻るようだった。  

神の声が再び響く。  
「お前の力は、破壊でも創造でもない。“均衡”だ。人と神、闇と光、滅びと救済すべてを調和させるもの。それゆえに、お前はただの人間として生を受けた。」  

その言葉を最後に、女性の姿は霧のように消える。  
ただ水鏡の中には、彼女の微笑だけが残っていた。  

***

静寂。  
リリアは呆然とその場に座り込み、額の汗をぬぐった。  
「はぁ……本格的にとんでもない人を拾っちゃったわけね」  
レオンは苦笑しながら頭をかいた。「いや、俺まだ何もわかってないんですけど……」  
「それでいいのよ。むしろその“鈍感さ”が一番危険。あなたが力に気づいた瞬間、下手したらこの世界ひっくり返るわ」  

リリアは軽く笑い、最後に肩をすくめた。  
「ま、せいぜい平和に暮らすことだけ考えなさい。私はそれを見守る役にでもなろうかしら」  

レオンは少し照れたように笑い返す。  
夜の森を抜けると、月がふたりを優しく照らした。  
神の言葉も、光の記憶も、いまは遠い夢のよう。  

だが、その力は確かにレオンの内に眠っていた。  
そしてその日以降、村には信じられないほどの豊穣がもたらされていくことになる。  
水は澄み、作物は異様に育ち、病が消える。  

誰も知らない。  
それが一人の「無自覚な創世者」による、最初の奇跡だったことを。  

続く
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