平凡な村人だと思われていた俺、実は神々が恐れる最強存在でした〜追放されたけど、無自覚チートで気づけば世界の頂点〜

uzura

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第3話 村人が見せた奇跡

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朝日が昇るころ、ルグナの村は慌ただしく動き始めていた。  
前日の不思議な出来事――森の祠での光、そして翌朝の豊穣。  
村人たちは畑を見て、口々に驚きを上げた。

「見ろよ!小麦の穂がたった一晩で育ってるぞ!」  
「馬鹿な、昨日までは芽が出たばかりだったはずだぞ!」  
「果樹まで実がなってやがる。どうなってるんだ……」

誰もが信じられない光景を前に立ち尽くしていた。  
村人の一人がレオンの姿を見つけ、慌てたように駆け寄ってくる。  

「おいレオン! お前、何か知らないか? 昨夜あの森で光が見えたって噂だぞ」  
「え、いや……俺はただ、リリアさんとちょっと散歩に」  
「散歩でどうにかなるかよ!」  

誰かが冗談めかして笑いを漏らすが、半分は本気の疑念だ。  
レオンは苦笑して頭をかく。彼にとっても昨夜の出来事は夢のようだった。あの祠で見た光。神の声は今でも耳に残っている。だが、それが現実なのかどうか、自分でも半信半疑だった。

「俺がやったわけじゃないですよ。ただ……あの光が何かを浄化したのかも」  

「浄化?」  
村人たちは首を傾げる。だが、どこかで感じていた。  
村を包む空気が昨日までとは違う。  
肌を撫でる風はやわらかく、呼吸するだけで胸の内が軽くなる。  

リリアが静かに近づき、レオンに小声で告げた。  
「やっぱり……均衡の力が働いてる。無自覚でも発動するのね」  
「うーん、そんな実感はないんですけど」  
「そう言えるうちはまだ平和ね」  

そんな会話をしていると、村の北側から叫び声が上がった。  
「誰か来てくれ! ミーナが息してない!」  

悲鳴に近い声。レオンたちは駆け出した。  
民家の前では老夫婦が泣き崩れ、五歳くらいの小さな少女がぐったりと寝かされていた。  
頬は青白く、脈も弱い。近くの村医が首を振る。  

「熱がひどい……。薬草を煎じたが効かん。もう夜までもたないだろう」  

レオンは唇をかんだ。  
彼の胸に、何か熱いものが流れ込んでくる。  
知らずに膝をつき、少女の小さな手を握った。  

「まだ、生きられる……よな」  

彼の掌に、淡い光が灯った。  
リリアが驚いて声をあげる。「レオン!」  

光は静かに少女の身体を包み、温かな風のように周囲に広がっていく。  
次の瞬間、少女の頬に赤みが戻った。喉が動き、かすれた声が漏れる。  

「……おにいちゃん?」  

母親が泣き叫び、少女を抱きしめた。  
人々は目を見開き、沈黙したままレオンを見つめる。  

「な、なんだ今のは……神の奇跡か……?」  
「まさか、本物の加護持ち……?」  

ざわめきが広がる。  
レオンは戸惑いながら立ち上がり、手を見る。光は消えていた。  

「俺、ただ、助かればいいなって思っただけなのに……」  

リリアが肩に手を置く。「それで十分。あなたの力は人を救うためにある。けど気をつけて。この規模の奇跡は確実に噂になる」  

レオンはうなずいた。その言葉が現実になるまで、それほど時間はかからなかった。

***

数日後。  
ルグナの村には旅商人や修道士が次々に訪れ始めた。  
「辺境の村で聖者が現れた」「病を癒やす青年がいる」  
そんな噂が王都まで届いていたのだ。  

レオンは困っていた。  
「いやあの、本当に違うんです。ただの村人ですから」  
そう否定するたびに、周囲は感謝を深めてしまう。  
村人からは供物が届き、鳥の巣箱まで彼の家の前に置かれ始めた。  

一方で、村長が深刻な顔でやって来た。  

「レオン……王都の教会から使者が来るらしい。神の奇跡か否かを調べたいそうだ」  
「え、俺、そんな……」  
「抵抗しても無駄じゃ。お前を害する気はないと言っておるが……気をつけろ」  

リリアが腕を組んでうなずく。  
「まあ、ここまで騒ぎになれば当然ね。下手に触られなければいいけど」  
レオンが苦笑する。「触られるって?」  
「つまり――“神の器”として扱われるってこと。人間扱いされなくなるのよ」  

リリアの言葉に、レオンは息をのんだ。  

***

翌日、王都から修道騎士団が到着した。  
純白の外套をまとい、金の紋章を胸に輝かせた男たち。  
その中央に立つのは中年の神官。鋭い目がレオンを見据える。  

「……あなたが癒やしの奇跡を起こした者だな?」  
「いえ、奇跡なんてそんな。あの時はたまたま……」  
「神の御心に“たまたま”などない。確認させていただく」  

神官は携えていた聖書を開き、聖印を掲げた。  
「天の名において問う――この者に神の加護は宿るか」  

静寂。  
だが、答える前に周囲の空気が震えた。  
聖印が眩い光を放ち、神官が驚いて両手を離す。  

「な、なにっ……!?聖印が……!」  

地面から薄い金の光が現れ、レオンを中心に円が広がった。  
リリアが息を呑む。「こりゃ本格的ね……」  

神官の顔が蒼白になり、膝をついた。  
「信じられぬ……まさか、これほどの純光。人の身でありながら、神の波動をこれほど――」  

「だから言ったでしょ?」リリアが皮肉混じりに笑う。「本人はまるで気づいてないのよ。」  

レオンは苦笑いするしかなかった。  
「どうすれば……いいんでしょうね」  

神官は静かに頭を垂れ、祈りの言葉を唱えた。  
「――“創世の印”を継ぐ者よ。いずれ王も神もあなたを恐れよう。生きている限り、その加護が世界を揺るがすだろう」  

その言葉を残して、神官は急ぎ王都へ帰っていった。  
村人たちは不安と畏敬とが入り混じった目でレオンを見ていた。  
そんな視線を感じながらも、彼はただ畑の世話を続けた。  

「俺はただ、静かに暮らしたいだけなのに……」  

翌朝、彼が畑に立つと、再び周囲の植物が一斉に芽吹いた。  
空気に漂う花粉が光の粒のように舞い、畑全体が柔らかい輝きに包まれる。  

村の子どもたちが歓声を上げ、走り回る。  
老夫婦が涙を流して頭を下げる。  
リリアがその後ろで呆れたように笑いながらつぶやいた。  

「これが“無自覚最強”ってやつね」  

レオンは苦笑して肩をすくめた。  
神々の意志も、王都の動きも、まだ彼の知るところではない。  
平穏な日々が続くと思っていた――だが、それはほんの束の間のことだった。  

続く
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