平凡な村人だと思われていた俺、実は神々が恐れる最強存在でした〜追放されたけど、無自覚チートで気づけば世界の頂点〜

uzura

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第4話 襲い来る魔物と素手の一撃

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それは、雷鳴のような地響きから始まった。  
晴れていた空が突如として暗転し、風が唸りを上げた。  
ルグナの村の西の森、その奥から、何か巨大な存在が地を踏み鳴らす音が響いてくる。  
村人たちは恐怖に顔を青ざめさせ、手にしていた作業道具を放り出した。  

「おい……まさか、また魔物か!?」  
「こないだ魔狼を倒したばっかりだろう!?」  
「いや、あの音は……もっとでかい……!」  

焦りと恐怖が瞬く間に村全体を覆う。  
そんな中、走ってきたのは剣を携えたリリアだった。  
いつもは落ち着き払っている彼女が、今はわずかに息を荒げている。  

「西の森から群れが来るわ!三十体以上のオーガ、それにリザードマンも混じってる!」  
「なっ……!?」  

オーガは巨人のような肉体と怪力を持つ上級魔物だ。  
小さな村の守備力でどうにかできる相手ではない。  

レオンは鍬を置き、迷いなく立ち上がった。  
「リリアさん、俺も行きます。」  
「あなたは村人を避難させるの。戦いに関わっちゃダメ!」  
「でも、俺……多分、放っておけないんで。」  

その瞳はまっすぐで、迷いの影がない。  
リリアは小さく舌打ちして剣を抜いた。  
「……もう好きにしなさい。でも死んでも恨まないでよ。」  
「はい。」  

***

森の入り口。  
土埃が舞い上がり、鳥たちが一斉に飛び立つ。  
木々をなぎ倒して現れたのは、巨体のオーガ。その後ろには黒い鱗を光らせるリザードマンの群れが続いている。  
どの個体も普段なら森の奥に生息しているはずの生き物だった。  
何かが、彼らを異常に興奮させている。  

「くそっ、教会の結界は!?」
「村にはそんな立派な術式ないわ!」  
リリアが叫ぶ。  
彼女が前に出て、蒼い刃を構えた瞬間、オーガの一匹が吠えた。  

その咆哮だけで空気が震える。  
村を取り囲む木柵が、ばきばきと音を立ててひび割れた。  

「うわっ!」  
村の若者が吹き飛ばされる。  
リリアが後衛の子供たちを下がらせる間もなく、オーガが一歩踏み出した。  
その巨腕が振り下ろされ――  

「危ないっ!!」  

レオンが咄嗟に前へ飛び出し、腕で受け止めた。  
ドォン、と地面が鳴った。  
だが、オーガの腕は止まっている。止められたのだ。  
レオンの片腕一本で。  

「……え?」  
リリアが目を見開いた。  
レオンの腕から光が滲む。  
その光は優しい薄金色で、熱くも痛くもない。  
次の瞬間、オーガの体がぶるぶると震え、粉々になって消滅した。  

静寂。  

「……あの……投げたつもりだったんですけど……」  
レオンが戸惑い気味に腕を振る。  
整然と並んでいたリザードマンたちは怯え、後退した。  

しかし、その一体が本能的な恐怖を振り払い、鋭い槍を突き出してくる。  
レオンは反射的に身をひねり、その槍を素手で掴んだ。  

「危ないって言っただろ!」  
軽く返すように投げる。  
槍ごとリザードマンの身体が空へ舞い、見えなくなるほど遠くへ吹き飛んだ。  

「……ひぃ。」  
後ろで誰かが小さく悲鳴をあげた。  

「ちょっ……あなた、本気で言ってる? それ普通じゃない!」  
「え、やっぱり……そう見えます?」  
「見えるわよ! 何それ、神話級の戦闘力よ!」  

周囲の魔物たちは完全に混乱していた。  
恐怖で群れが崩れ、逃げ場を求めてうろつく。  
だが、森の奥、木陰の奥からひときわ大きな影が姿を現した。  

肌が黒曜石のように硬質な光を放つ、二階建ての家ほどもある巨躯。  
「……オーガロード。」  
リリアが低く呟く。  

普通のオーガとは比べ物にならない魔力の膨張。  
火山のように赤熱した瞳が、村を見下ろす。  

「レオン、下がって!!」  
リリアが叫んだが、レオンは動かなかった。  

ゆっくりと巨人が一歩を踏み出す。地が沈んだ。  
手にした棍棒が振りかぶられる。  
レオンは息を吸った。その瞬間、時間が止まったような感覚があった。  

目の前の光景が遠ざかる。  
鼓動の音が消える。  
かわりに、あの神の声が耳の奥に響いた。  

——“均衡を”  

短い響きが身体を貫いた。  
気づけば、自分の掌に何か温かい力が集まっていた。  

「……!」  

振り抜いた拳が空気を裂く。  
棍棒が砕け、巨体が湾曲し、轟音とともに森ごと吹き飛んだ。  
風が村全体を包み、埃と葉が渦を巻く。  
だが、その風に痛みも熱もない。  
ただあたたかく、優しい。  

全員が黙り込む。  
風が止み、静寂が戻ったとき、そこにはただレオンが立っていた。  
巨大な魔物だったはずのオーガロードは、地面の凹みだけを残して消えていた。  

リリアがまるで現実を確認するようにゆっくりと近づく。  
「……殺した、の?」  
「いや……たぶん、光の粒になって消えた。どこかへ……戻った感じです。」  
「戻った?」  
「壊すよりも、ただ、いなくなった……そんな感じがしました。」  

リリアは息を吐いて天を見上げる。  
「本格的にヤバいわね……これ。世界の秩序に干渉してるレベルよ。」  

レオンはぽかんとしたまま、「ええと、つまり、よくないってことですか?」と尋ねた。  
「どころじゃない。あんた下手すりゃ神々の会議で議題に上がるわよ。存在そのものが禁忌級よ。」  

困惑するレオンを見て、リリアは諦めたように苦笑する。  
「いいわ。とりあえず今日のところは村を守ってくれてありがと。」  

安堵に包まれた村人たちが次々に頭を下げる。  
「レオンさん、命の恩人だ!」  
「まさか素手でオーガを……」  
「やっぱり本物の救世主だ!」  

レオンは照れながら後頭部を掻いた。  
「いやいや、偶然です。ほんとに。」  

だが、リリアは心の中で確信していた。  
この男は偶然ではない。理そのものが、この世界に彼を送り込んだのだと。  

遠くで、森から微かに光の粒が舞い上がる。  
神の加護が残した跡。  
レオンはそれを見上げながら、静かにつぶやいた。  

「……まだ、誰かが見てる気がするな。」  

その瞬間、空の彼方で、何かが蠢いた。  
天界の扉が、わずかに軋むような音を立てて開き始めていた。  

続く
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