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王宮を飛び出した俺は仲良くしている御者に頼んでメアナイト男爵の屋敷に向かった。屋敷に着くと男爵の使用人たちが眼を丸くして驚きながらも通してくれる。俺が屋敷の中に入っていくと、リビングに居るアノマとその父親であるロカリス・メアナイト男爵に会えた。
「マグーマ殿下!?」
「殿下!? いかがなされたのです!?」
メアナイト男爵親子は俺に心配の声をかけてくれる。王宮の連中やリリィと護衛のあの女とは大違いだ。
「悪いな。無性にアノマの顔が見たくてな」
「そ、そんな、殿下ったら……」
「ありがたきお言葉でございます」
アノマが顔を赤く染めて照れて、ロカリスはありがたいと言ってくれる。このロカリスはでっぷり太っていて本当にアノマの父親かと疑っていたが、王宮の奴らと違って俺を敬ってくれる頼れる貴族だ。
「ロカリス、いきなり押しかけてしまった詫びだ。受け取ってくれ」
「おお、これは……! よろしいので?」
「ああ、金銭的に困っていると言っていたからな」
「殿下! ありがとうございます!」
ロカリスには王宮の国庫から借りた金を渡した。この前メアナイト男爵家は借金があると聞いていたから、アノマの将来を危惧した俺はこうしてこの屋敷に来るたびに金を渡すようにしていた。そのたびにロカリスが露骨に笑みを見せる。喜んでくれると俺も嬉しい。
「……殿下、アノマと話したいというのであれば私は席を外しましょう。むさ苦しい男がいては若い二人で話し合えないでしょう」
「いや、ロカリスにも話を聞いてほしい。俺はずっと王宮の連中やリリィのことで我慢してきたがもう耐えられなくなったんだ!」
「殿下……」
「どういうことですかな?」
俺のただならぬ様子を悟ったメアナイト男爵親子は真剣な顔になる。そこで俺はさっき王宮であったことは勿論、今まで家臣やリリィに軽んじられてきたことすべてを話した。
誰も彼もが俺のことを遠回しに軽んじて蔑んでくるのだ。俺をフォローするはずの家臣たちや婚約者のリリィですら、そもそもリリィがその筆頭だとすら思えるくらいに。
気がつくと俺は激しい激情をもってまくしたてていた。それでも二人は真剣な顔で聞いてくれていた。
「――というわけだったんだ! どいつもこいつも俺をバカにしやがって!」
「殿下……」
「……」
「……済まない、いきなりこんな話を聞かせてしまって……」
「いいえ、殿下はよく頑張ったと思いました」
「むしろ、周りの方々に不快な気持ちを抱きましたぞ」
メアナイト男爵親子の言葉に俺は安堵した。ああ、味方になってくれるのはやっぱりこの二人だけ、王宮の家臣共に見習ってほしいくらいだ。
「マグーマ殿下!?」
「殿下!? いかがなされたのです!?」
メアナイト男爵親子は俺に心配の声をかけてくれる。王宮の連中やリリィと護衛のあの女とは大違いだ。
「悪いな。無性にアノマの顔が見たくてな」
「そ、そんな、殿下ったら……」
「ありがたきお言葉でございます」
アノマが顔を赤く染めて照れて、ロカリスはありがたいと言ってくれる。このロカリスはでっぷり太っていて本当にアノマの父親かと疑っていたが、王宮の奴らと違って俺を敬ってくれる頼れる貴族だ。
「ロカリス、いきなり押しかけてしまった詫びだ。受け取ってくれ」
「おお、これは……! よろしいので?」
「ああ、金銭的に困っていると言っていたからな」
「殿下! ありがとうございます!」
ロカリスには王宮の国庫から借りた金を渡した。この前メアナイト男爵家は借金があると聞いていたから、アノマの将来を危惧した俺はこうしてこの屋敷に来るたびに金を渡すようにしていた。そのたびにロカリスが露骨に笑みを見せる。喜んでくれると俺も嬉しい。
「……殿下、アノマと話したいというのであれば私は席を外しましょう。むさ苦しい男がいては若い二人で話し合えないでしょう」
「いや、ロカリスにも話を聞いてほしい。俺はずっと王宮の連中やリリィのことで我慢してきたがもう耐えられなくなったんだ!」
「殿下……」
「どういうことですかな?」
俺のただならぬ様子を悟ったメアナイト男爵親子は真剣な顔になる。そこで俺はさっき王宮であったことは勿論、今まで家臣やリリィに軽んじられてきたことすべてを話した。
誰も彼もが俺のことを遠回しに軽んじて蔑んでくるのだ。俺をフォローするはずの家臣たちや婚約者のリリィですら、そもそもリリィがその筆頭だとすら思えるくらいに。
気がつくと俺は激しい激情をもってまくしたてていた。それでも二人は真剣な顔で聞いてくれていた。
「――というわけだったんだ! どいつもこいつも俺をバカにしやがって!」
「殿下……」
「……」
「……済まない、いきなりこんな話を聞かせてしまって……」
「いいえ、殿下はよく頑張ったと思いました」
「むしろ、周りの方々に不快な気持ちを抱きましたぞ」
メアナイト男爵親子の言葉に俺は安堵した。ああ、味方になってくれるのはやっぱりこの二人だけ、王宮の家臣共に見習ってほしいくらいだ。
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