ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

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第2章 奴隷編

後ろ盾

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数時間後。

 バルムドとハイドを縛り上げ、ローグは改めてルドガーに魔法協会のことを聞き出した。ルドガーもローグの意志が固いと感じ、すべてを話すことにした。知ったローグが諦めることを願いながら。

「俺はかつて、王国の騎士団にいたんだ。魔法協会に関わるようになったのは、俺の魔法に連中が目を付けたからだった」
「え? そうだったんですか?」
「あんたは騎士団だったのか、どんな魔法を持ってたんだ?」
「……【再生魔法】だ。肉体の傷の再生を一瞬で終わらせたり、破壊された物を直せたりできる。今もあれば嬢ちゃんの傷も治せたんだが……」
「奪われた。関わった魔法協会を裏切った代償にか?」
「……そうだ」
「ルドガーさん……」

 ローグは内心驚いていた。【再生魔法】は旧時代でも希少な魔法で、主に医療機関に重宝された魔法だった。ルドガーが奪われたことを肯定したことは、【再生魔法】も魔法協会にあることになる。

「俺は自分の魔法が役に立てるならと、たいして目立つことができなかった騎士団から魔法協会に移籍した。だが、そこで見たものは嬢ちゃんが言ってたことと同じだ。それが許せなかった俺は『会長』を非難して騎士団や国王に訴えようとしたんだ。しかし、『会長』はそんな俺に信じられないことを告げたんだ……」
「それはあんたがこの外町でひっそり暮らし続けるほどの理由なのか?」
「そうなの? ルドガーさん?」
「……ああ」

 そこまで言うと、ルドガーは少し黙ってしまった。どうやらあまりにもつらい何かがあったようだ。やがて、ルドガーは再び口を開いた。 

「……魔法協会には、強大な後ろ盾がいたんだ」
「う、後ろ盾? 強い味方がいるんですか?」
「魔法協会を支援する強大な組織がいた。それを知ってあんたはショックを受けた。それはあんたもよく知っていた……」
「その通りだ、頭が回るな坊主」
「な、何なんですか、その後ろ盾って?」
「……国だ」
「へ?」
「…………」
「この国、王国そのものさ。国王が知ってて黙認どころか支援してるっていうんだよ……」
「王国が!? 国王様が!?」
(やはりそういうことか)

 ルドガーの話は事実だとローグは思った。というよりも、そういう展開も予想していた。王都で魔法協会の悪い噂をよく耳にしているにもかかわらず、騎士団が魔法協会に取り調べをしたという話を一切聞かない時点で、黒幕が国そのものだという可能性を考えていた。

「そんな!? どうしてそんなことに!?」
「俺も耳を疑ったが、後になって考えるといろいろと辻褄が合うんだ。ろくな噂が絶えない組織を王国がほったらかしてるのは事実だ。思えば、騎士団に魔法協会の手先がいたかもしれない……俺に縁がなかったはずの魔法協会が目をつけてくるんだからな……」
「そんな、そんなことって……! そういえばレオンも魔法協会との仲がどうとか言ってたけど、そういうことだったのね、あいつ……!」

 ミーラは国そのものが憎むべき魔法協会に加担してると知って、深く絶望した。さらに、レオンがこのことを知っていた可能性を思い返して怒りもあらわになった。

「坊主、これが真実だ。魔法協会に敵対するのはやめろ。国そのものを敵に回すことになるんだ。いや、そもそも復讐自体止めろ。お前さんはまだ若いんだから、人生を無駄にすることはない」
「……ロー、憎いから復讐したい気持ちは分かるけど、横取りされた気分になったから敵対するなんて馬鹿げてるよ。復讐を望むなら私で最後にして……。その後で、昔の優しかったあなたに戻ってよ……」
「………………国が敵か………………」

 ローグは考える。最初の方針は目立たないことだったが、国を相手にすると嫌でも目立つ。しかし、自分の復讐を台無しにした魔法協会は許せない。それに、レオン・ビリーが残っている彼は国に使える騎士団にいる。最終的に国を敵に回すことになる。遅かれ早かれだ。

 ローグは決断した。方針を変える形で。それをはっきり口にした。

「俺は復讐を続ける」
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